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出発地は京都駅
一応、大人の修学旅行のプランを立てるにあたって留意してほしいことはGemini先生に伝えてあって、
・JR京都駅から日帰りできること
・教育的な意図が感じられること
・今はそれほど面白いと感じなくても、20年くらいたってから良さがわかってくるものであること
である。
三つ目がちょっとわかりにくいと思うから説明する。
中学のときの修学旅行は広島→山口→福岡と移動しながら各地の名所を見ていくというもので、山口における見どころは秋吉台の鍾乳洞と萩の街の散策だった。ただ、いかんせん中学生には渋すぎたものらしく、当時の私には洞窟と古い町のひたすら茶色っぽいものを見たという感想だけが残ったのだった。周りの生徒たちもたぶん似たようなものだったろう。
では今、鍾乳洞や萩の街をどう感じるかというと、すごく面白そうだと思うのだな。
だから、この「長い時間がたって自分が変化してから面白さに気がつく」という要素も修学旅行に織り込みたいと思った。
とても回りくどいお願いを、Gemini先生は喜んで聞いてくれた。
現在の明日香村は、日本史に出てくる飛鳥時代の名のもとになった飛鳥京が7世紀頃に置かれていた地域である。全域が古都保存法の対象になっている日本で唯一の自治体で、「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」というそれ専用の法律まで整備されているというから驚きだ。
明日香村のあちこちから出土している古墳であったり、なんのために作られたか定かではない巨石の数々は、それ以降の日本文化と趣が違うこともあって、色々な方面にインスピレーションを与えてきた。
明日香村のほかには大阪・吹田の民族学博物館や滋賀・近江八幡を提案されたけれど、こちらは興味のど真ん中だったり、すでに行ったことがあったりしたので却下。
近畿に住んでいながら明日香村は一度も行ったことがないから、その点は楽しみだ。
マイペースな旅行に慣れた大人の目には、このスケジュールはなかなか忙しそうに写る。
一応、全て実在する観光地であることは確認しておいた。さらっと「自分なりの偽史を付与する」とか言ってしまうあたりに、昨今のAIが抱える問題の根を見た気がする。
筆記具に鉛筆が推奨されたり、スマホ(携帯)が使用禁止だったり、うっすらと2000年代前半の公立中学感が出ている。
古いアニメを見終わるまでもなく到着
さあ、出発だ!
Gemini先生は電車の時刻表までは考慮してくれなかったらしく、9時を過ぎてからの出発となった。
道中はアマプラでダウンロードした『ルパン三世 ルパンVS複製人間』を見た。クローン人間のマモーが出てくる有名な作品である。真ん中くらいまで見たあたりで下車。バスの車内モニターで上映される映画を見ていて、目的地に着いたところで中断されてしまい抗議の声が上がる、あれの再現である。(ちなみに帰りの電車では脳を積んだロケットが出てきたところで最寄駅についた)
この日の明日香村は風が吹いていて、電車を降りると盛大に散った桜の花びらが空に波を立てているところだった。桜の咲く頃に修学旅行というのも妙な感じだ。
村内の移動は自転車で
Gemini先生の選んだスポットはそれほど広く分散してるわけではないので、移動にはレンタサイクルを利用することにした。
その前に、駅を出てすぐのところに案内所があったから入ってみた。
キトラ古墳の壁面に描かれているという白虎、玄武、青龍、朱雀の神獣たちがお出迎え。よくできているな。
Gemini先生は「亀石の亀裂を写し取ってみよう」と言っていたっけ。ちょうどいいということで購入。
案内所で念のため紙の地図をもらい、横にあるレンタサイクルの貸出所で自転車を借りた。必要なものが全部駅前にまとまっていて助かった。じつはこの時点で10時半を過ぎていて、ここから最初の目的地である飛鳥資料館までは15分ほどかかる予定なのだ。
飛鳥資料館には悠久の時間が流れている
カマキリの腕みたいに高くせり上がったハンドルを握って先を急ぐ。七百円で借りたママチャリは、ブレーキをかけるたびに軋んで叫び声を上げた。不安定な走行感が懐かしい気持ちをそそる。
自転車で走っているだけでそこそこいろいろなものに目が行って、道草を食いそうになる。かつて修学旅行のスケジュールを過密だと感じなかったのは、こういう楽しみを知らなかったことの裏返しでもあるのだな。
残念ながら館内展示物の写真は私的利用に限られているから、ここに写真を載せることはできない。
館内には出土した木材や石像、宝物が並べられていて、地下には高松塚古墳を解体保存するときに使われた巨石運搬用のクレーンの展示もあった。
私は感動した。何百年も前のものが残っていることもだが、その保存作業のエピソードがすごい。
「木材を腐敗させないよう保存液に浸潤させるのに5年かかった」
「タンクの大きさの制限で一度に全て処理できないので、出土品全てに保存処理を施すのに15年かかった」
「石室を解体するとき、絶対に傷つけないように細心の注意を払って少しずつ少しずつ動かした」
「出土した何百枚もの瓦の重なり方を全部記録した」
全てがこんな感じなのだ。流れている時間が外の世界とは違うようだ。

