茶色いジェノベーゼは2019年の期間限定メニューだった
サイゼリヤで食べた茶色いジェノベーゼの写真を探して確認したところ、2019年3月の話だった。誰かのツイートで変わったジェノベーゼがあると知って、いそいそと食べに来た覚えがある。確か「サイゼリヤのメニューには、知る人ぞ知る本場の味がシレっと混ざっている」と話題になっていた頃だ。
メニュー表には、ジェノバの緑色をした「ペストジェノベーゼ」と、ナポリのマンマからだという茶色い「ナポリジェノベーゼ」の二種類が載っていた。
サイゼリヤのサイトを確認したら、当時のプレスリリースが残っていた(こちら)。
ナポリにナポリタン(ケチャップ炒めスパゲティ)は存在しないそうだが、こんな隠し玉パスタがあったのか。
ジャガイモとサヤインゲンが入った緑のペストジェノベーゼも気になるが、ここはやっぱり茶色いナポリジェノベーゼを注文させてもらおう。
どんな味だろうと食べてみると、タマネギの甘さがしっかりと引き出されていて、肉ジャガの残りをご飯に混ぜたみたいな(良い意味で)、すごく優しく身に染みた。これがナポリのマンマの味ですか。
このジェノベーゼは人気だったのか、この年の秋には期間限定ではなくグランドメニューとして、太くて穴の開いたパスタを使ったナポリジェノベーゼが登場したようだ(こちら)。
緑のジェノベーゼも食べてみた
2020年8月、またあのナポリジェノベーゼを食べようと思ったら、もうメニューからは消えていて、期間限定としてペストジェノベーゼだけが用意されていた。
これも気になっていたので、頼めるうちに食べようと注文をした。すべてのメニューは一期一会だ。
緑色のペストジェノベーゼは、イメージ通りの味だった。チーズのコクとバジルの爽やかさがとてもよく合う。
これはこれでおいしいのだが、あの茶色いジェノベーゼはもうサイゼリヤで食べられないのだろうかと思いながら、黙ってフォークを口に運んだ。
ちなみに2023年10月のサイゼリヤのメニューには、残念ながらジェノベーゼは茶色も緑も存在していないようだ。
イタリアのナポリでジェノベーゼを探す
そして2023年の9月、なんやかんやの縁があって、私はナポリに来ることとなった。なにをしにイタリアへ行ったんだという話は長くなるので、それは別の記事で書く予定である。もし書かなかったら、会ったときにでも聞いてください。
ということで、ナポリといえばジェノベーゼ。同行者の一人である飴細工職人の吉原さんは、前職がイタリアンの料理人であり、ナポリを放浪していた時期もあるという頼もしい方だったので、ジェノベーゼが食べられそうなお店を探していただいた。
食事を一緒にしたメンバーは、飴細工職人の吉原さん、そのお弟子さん、チンドン屋さんのコンビ、餅つきの人、そして私(藁細工の人)。
この旅を通じて初めてお会いした方々と、私一人だったら絶対に入れないであろう路地裏のトラッテリア(食堂)の入り口をくぐる。生きているといろんなことがありますね。
ジェノベーゼだけがなかった
店の雰囲気は最高だった。これが本場のサイゼリヤ(のエッセンスの一つ)なのかと、一歩目からすでに心が躍りまくっている。ナポリのジェノベーゼは、やっぱり茶色いのだろうか。やっぱり緑、いや意外と赤だったりして。
だがメニューの説明を受ける吉原さんの表情が暗い。なんでもメニューにジェノベーゼはあるのだが、今日はその用意がないとのことだった。
なるほど。個人経営の店だから、そんな日もありますよね。