緑色のペストジェノベーゼも食べてみたい
今回のイタリア旅行は、ナポリ二週間、ペルージャ二週間というスケジュール。ナポリのジェノベーゼは茶色だったが、ペルージャではどうだろうと探してみたのだが、こっちのお店ではジェノベーゼ自体を見かけなかった。
イタリアのレストランでは、地方に行けば行くほど郷土の味を大切にするので、わざわざジェノバ(あるいはナポリ)の名物であるジェノベーゼは出さないのかもねというのが、吉原さんの見解だ。
だがペルージャの人がジェノベーゼを食べないのかというとそんなことはなく、スーパーに行くと「PESTO ALLA GENOVESE」がどこの店にも陳列されていたのだ。実はナポリのスーパーにも普通にあったんですよ。外食ではなく、家でよく食べるパスタソースなのかな。
見覚えのある緑色のペースト。材料はバジル、ナッツ類、チーズ、オイルなど。
これを日本に持ち帰って食べればいいかと買ったのだが、帰りに立ち寄ったフィレンツェ駅近くのファミレスみたいなところで、緑のたぬき、じゃなくて緑のジェノベーゼを発見した。やった。
フィレンツェまで来てジェノベーゼの存在に喜んでいる日本人は私だけかもしれない。
都市部だとジェノベーゼを置いている店が多いらしいです。
STROZZAPRETI (手巻きパスタ)の PESTO GENOVESE E PATETEがあった。
運ばれてきたのは、チーズがどっさりと掛けられた緑色のジェノベーゼ。パスタが初めて見るタイプでそっちに気を取られるが、ようやくイタリアで緑色のジェノベーゼと出会うことができてうれしい。
ローストしたジャガイモがゴロンゴロンと入っている。サイゼリヤがそうであったように、吉原さんによるとイタリアでもジャガイモやサヤインゲンは定番とのこと。もちろん店によって具やパスタの種類はそれぞれなので、絶対にそうだという話ではない。
モキュモキュと歯ごたえのあるパスタがうまい。驚くほどたっぷりのパルミジャーノにバジルの爽やかな後味が合う。
茶と緑、二種類のジェノベーゼが食べられて大変満足なのだが、できればもうちょっと知識を深めたかったなと思いつつ帰国をした。
で、ジェノベーゼとはなんなのか
私の語学力の問題で、現地でジェノベーゼについて突っ込んだ話が一切できなかったので、後日イタリア在住の日本人の方から、ジェノベーゼの話を伺ってみた。
■イタリア北部に留学中のマサキさん
「緑色のジェノベーゼは、いわゆるPesto alla genoveseですね。イタリア出身の友人らは3日に一回はこれ食べてるイメージなんですが、みんなPestoって言ってます。基本的にパスタ用ですね。こっちだとインゲンや芋は一緒に茹でないです。
Genovaで食べた時の写真と、ナポリで食べたGenoveseはこちらをどうぞ」
■イタリア南部にお住いのえりさん
「ナポリのジェノベーゼは、『carne alla genovese(ジェノバ風お肉の煮込み)』のことですね。 ジェノバ出身のシェフがナポリに持ち込んだって言われているので、本番ジェノバにも残るレシピなのでは。
ジェノバでは今でもタマネギをたくさん使う煮込みを作ると聞きます。トマトの赤味が少ないのも、南イタリア勢の私からするといかにも北国の料理って感じがしますね。
イタリア(少なくとも南伊ナポリ文化圏)では、一般的に『ジェノベーゼ』と聞くと、『玉ねぎがいっぱい入った料理かな?』というのが第一印象。うちでも冬場はよく作ります。大量に作って残りをパスタソースにすることもあります。素敵に美味ですよ。
我が家の場合、味付けの基本はオリーブ油と塩、フランベする白ワイン(できれば辛口)だけです。あとは山盛りのタマネギと、ちょっとだけニンジンとセロリ。私は月桂樹の葉、ginepro(ジェニパーベリー)も使いますが、使用するスパイスはご家庭ごとにレシピが違うかも。
おそらく、日本ではバジルペースト(pesto alla genovese)を『ジェノベーゼ』だと思っている方が多いのかな。なのでタマネギたっぷりな煮込み肉が出てくると違和感があるのかと思います。
イタリアでは、バジルペーストは一般的に『ペースト』と呼ばれることの方が多くて、そのあたりの違いでしょうか。
基本的にジェノバ含めリグーリア州は野草をたくさん食べる文化です。その本場で使われるバジル (basilico genovese)は葉が小さい土着品種で(ギリシャのに似てます)、風味も独特。特に若葉の頃のバジルを使ったペーストは抜群に美味しいですよ!」
ナポリのジェノベーゼが茶色いのは「ジェノバの人はタマネギと肉を煮込んだ料理をよく作るらしいから、それをジェノベーゼと呼ぼう」みたいなノリで、どこかのナポリの人が命名したのかもしれない。
それは「ナポリのパスタはトマトが使われているから、トマト(ケチャップ)味のスパゲティをナポリタンと呼ぼう」と日本人が考えた話とよく似たストーリーだ。あるいは名古屋名物となった台湾ラーメンとか。
またイタリアに行く機会があれば、少しはイタリア語を勉強して、ジェノバで本場のジェノベーゼだったり、肉とタマネギを煮込んだ料理を食べてみたいと思う。