特集 2023年10月23日

ナポリのジェノベーゼは本当に茶色いのかを確かめたい

別の店に行ってみよう

翌日、同じメンバーでナポリにある別の食堂を訪れた。

今度こそ茶色いジェノベーゼがあってくれ。

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本場ナポリの縦列駐車。
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その向かいの店に入った。

昨日の店もそうだったが、ここも地元の人しか来ないであろう地域密着型の定食屋。日替わりのメニューから、PRIMI PIATTI(パスタ類)、SECONDI PIATTI(メイン料理)、CONTORNI(付け合わせ)を一つずつ選ぶという方式だった。

日本でもたまにあるスタイルだが、自分ひとりで来ていたら、果たしてそのルールが理解できただろうか。セットで12ユーロだったかな。

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さてジェノベーゼはあるでしょうか。
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2023年9月14日のメニュー。

入店した時間がラストオーダー間際で、メニューのいくつかは売り切れで消されていたが、MEZZANELLI ALLA GENOVESE が PRIMI PIATTI の一番上に書かれていた。MEZZANELLI はパスタの種類っぽいので、きっと待望のジェノベーゼだ。

さらに SECONDI PIATTI には CARNE ALLA GENOVESE(MAIALE) があった。直訳すると「ジェノベーゼ(豚)の肉」。せっかくなので、これも注文してみよう。

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ジェノベーゼがあって良かったねと、ハッピーな気分で飲む PERONI(ビール)のうまさよ。
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CONTORNI に頼んだ CROCCHE DI PATATE。中身が純粋にジャガイモだった。
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誰かが頼んだ何か。気になる人はメニューを解読しよう。
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これがナポリのジェノベーゼだ

しばらくして、待望のジェノベーゼが運ばれてきた。ちゃんと茶色い。

日本であればマカロニと呼ばれるパスタの上に、濃い飴色のタマネギと煮込まれた肉。そしてすりおろしチーズがたっぷりと載っている。まるでグラタンを作る途中のようである。

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サイゼリヤのナポリジェノベーゼよりも茶色い。
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ナポリのジェノベーゼに辿りついて、すごく嬉しい。

しっかりと甘味が出るまで炒めたタマネギと豚肉をじっくり煮て、ちょっとの塩で味付けしたのではと推測される、シンプルかつ深い味わい。これはグラタンの途中経過というよりも、気合を入れて作る欧風カレーの序盤っぽい旨味の濃さだ。

あえてパスタソースの定番であるトマトやクリームを入れず、チーズだけで仕上げるという引き算の美学が生む独自性。この店ではママン(母)ではなく男性の料理人が作っているようだが、これがナポリの家庭の味なのだろう。

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豚とタマネギのコクがすごい。これは良い食べ物だ。
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誰かが頼んだ何か。気になる人はメニューを解読しよう。
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ナポリの味に舌鼓を打っていたら、アコーディオンを弾きながら陽気に歌うおじさんが登場。せっかくなのでチップをお渡しして写真を撮ってもらった。物語の中の一コマみたいだ。

セコンドのジェノベーゼがすごかった

続いてやってきたのは、セコンド(メイン料理)に注文した CARNE ALLA GENOVESE。まさにジェノベーゼの肉である。

塊だからこそよくわかる、ホロッホロの煮込まれ具合。豚のカシラと呼ばれる部位だろうか。

これを一人で一皿全部食べることによって、味見ではなく食事として、ジェノベーゼを理解できるような気がした。

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これが「ジェノベーゼです」と出てきたら、日本人なら確実に混乱する。
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これが柔らかくて甘くてうまいのよ。

ナポリでジェノベーゼといえば、飴色に炒めたタマネギと塊肉を煮込んだ料理であり、それをパスタソースに使うだけでなく、肉料理としても楽しむのか。

私はプリモとセコンドの両方にジェノベーゼを注文したので、店の人から「ジェノベーゼ・ジャポネーゼ」と呼ばれていたかもしれない。

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肉団子もおいしかった。

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