日本最古のダムは616年頃建造
いきなりではあるが、日本最古のダムは大阪府大阪狭山市にある狭山池(の堤)である。作られたのは、なんと616年頃であるとのこと。初っ端から大本命だ。
飛鳥時代にはコンクリートなどあるはずも無く、その構造は土を盛って作られたアースダム。「所詮は盛土だろう、原始的」なんて思っちゃいけない。小規模なダムにおいてこれほど効率の良い工法は無く、今でも相当数のアースダムがあるそうだ。
その狭山池、場所も大阪府内ということで、大阪在住の私としてはアクセスも難くない。そんな身近にあった日本最古。古いもの好きの私としては、行かぬ訳にはいかんだろう。
「次は、狭山、狭山」という車内のアナウンスを聞いて、その声に押されるがままホームへと降り立ったものの、どうも周囲の様子がおかしい。駅舎は小さく、駅前からすぐに住宅街が広がっている。このような所に、池とかダムとかあるのだろうか。
そのような疑問を抱きつつ、傍らに掲げられていた放置自転車の回収先案内に目をやった。それに描かれていた地図で、狭山池との位置関係を確かめてみると……
なんと、狭山池の最寄り駅は「狭山駅」ではなく「大阪狭山市駅」だった。私はこの路線を初めて利用する。「狭山駅」の次に「大阪狭山市駅」が待ち構えているなど、毛の先ほども、露ほども、全くもって想像できなかった。っていうか、紛らわしいよ。
駅から出てしまった以上、また切符を買って次の電車を待つのも癪である。しょうがない、少々遠くはなってしまうが、ここから狭山池までは歩いて行く事にしよう。
狭山駅からのんびり歩いて15分ほど、視界の先に小高い土手のようなものが現れた。階段が設けられ、木々が植えられ、管理施設みたいなものもあって、公園のような雰囲気が漂っている。ひょっとしたら、あれが狭山池だろうか。
早速、その階段を上ってみると……
そこには、だだっ広い池が広がっていた。いや、池というより、小規模な湖というべき広さだろうか。曇っていたこともあって、対岸の建物が霞んで見える。
案内板を見ると、そこには確かに狭山池とあった。日本最古というと、もっとこう、野性味溢れるプリミティブな感じの、いかにも「溜池!」というような池を想像していたのだが、思った以上、小奇麗な感じに整備されている。
この日は休日。数え切れないくらいの人々が、そこここでウォーキングやらランニングやらに勤しんでいた。
一見すると、どこの町にでもありそうな市民公園。しかしながら、そこは長い歴史を持つ狭山池なだけあって、文化的な要素もちょこちょこ見られる。
というか、まぁ、ぶっちゃけ、目に見える文化的要素はこれくらいしか無かったりするのだが。池やその周囲は徹底的に整備されていて、古の香りはほとんど残っていないという印象。何でも平成になって、大規模な改修が行われたのだそうだ。それは、池の景色が一変する程の大工事だったという。
いやいや、遺跡探訪というのは目に見えるものを追うのみにあらず。今に残るわずかな証跡を手がかりに、過去の姿を妄想……もとい、想像するのがキモなのだ。
いいねいいね、テンション上がってきた。