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バッタの季節がやってきた。
私は虫が好きな子供だったため、かつてはよくバッタを捕まえて遊んだものだ。とはいえバッタがとくに好きだったわけでもなく、
「カブトやクワガタは近所にいない。セミは採っても飼えない。バッタでも採るか」
と消去法で獲物にしていたわけである。バッタにすればいい迷惑だろう。
彼らは捕まると口から黒っぽい汁を吐き出す。ささやかな抵抗である。工作に落とし込めれば、無駄にバッタを捕まえた経験を有効活用できるんじゃなかろうか。作るのは、黒い液体つながりで醤油入れがいい。
編集部から あらすじ
編集部から連載企画を頼まれたライターこーだいは自らの経験をもとにバッタの形の醤油さしの製作に着手する。しかし「ショウリョウバッタは捕まえると黒い液体を出す」という部分に一般性はあるのだろうか。企画に理解を得るべくまずはそこから説明することにしたのだが……
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> 個人サイト 海底クラブ

ライター:こーだい
第一回:ショウリョウバッタは口から黒っぽい汁を出す
第二回:シリコンか粘土でいく
第三回:かたどり用の原型が良い感じすぎる
第四回:石粉粘土のショウリョウバッタ
連載のはじまりは手探りのうちに

この記事は全5回の連載企画の初回である。つまり5回目の掲載日までに工作を何かしらの形にしないといけないのだが、実のところまだ製作に着手すらできていない。
なかなかのプレッシャーだ。読者にも、このヒリつくような感覚を味わってもらえたらと思う。
今回は「バッタが吐く黒っぽい汁」でピンとこない人のために現物を紹介しよう。
バッタを見に雨上がりの河原へ
天気は激しい雨続きだが、晴れ間を見つけてバッタの好物のイネ科の植物が茂る河原にやってきた。


7月のショウリョウバッタはまだ小さい
水没していない場所を見つけてなんとか観察をはじめた。
工作のモデルにするバッタは、ショウリョウバッタだ。刀傷のようなシュッとした姿がかっこよくて、バッタのなかでは一番のお気に入り。
ショウリョウバッタは梅雨の頃に地中の卵から生まれ、秋になると産卵して死んでしまう。
今いるのは生まれたての子供なんである。




しかし、なかなか汁を吐かない


今年の春から夏にかけて、暇なときは河原で食べられる草を採って生活の足しにしていた。バッタとは、いわば同じ河原の草を食った仲なのである。
気分がのらないのかもしれないが、兄弟を助けるつもりで頑張っていただけないだろうか......。

指先でバッタをいじめて3分ほどたっただろうか。ようやく思いが通じたのか口元からじわっと茶色い球が湧いてきた。

綱をわたりきった。
「よい工作を作ります......」
ひとしきり感謝したあと、野にお帰りいただくことに。恩人である。秋まで生きのびてもらえればと思う。
次回は材料をそろえて製作にかかります。

ライター:こーだい
第一回:ショウリョウバッタは口から黒っぽい汁を出す
第二回:シリコンか粘土でいく
第三回:かたどり用の原型が良い感じすぎる
第四回:石粉粘土のショウリョウバッタ
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