人んちこそ最後の秘境
林:
今週はたねあかしが必要な謎記事はなくって、秀作揃いでした。
古賀:
たしかに。問い詰めねばならないような記事はないですね。
古賀:
私はスズキナオさんの担当なんですが、原稿の受け取りのメールが異常に長くなりました。全部良くて。ほめてたらほめ止まらなくなった。
林:
どこが良かったですか?
古賀:
これ、「家で作る雑なラーメンもまあうまいよね」というだけの記事なんですよね。
ただそれだけなんですが
・まず自分のを見せる
・上手な友人のを見せる
・自分の実家を見せる
・ひとんちの実家を見せる
で4段階構成になっていて、全部に独自の良さと共感が詰まってます。
林:
なるほど。すらすらーっとエッセイのように読めたけど。
古賀:
構成があって、各パートが全部エッセイなんですよね
古賀:
デイリーポータルZにはうまいものを紹介するときはライターがうまそうに食べてる顔を載せるというテクニックみたいなものがあるんですが、今回の顔はこれです。
古賀:
「まあ、こんなもんだろ」という美味さ。
とんだ日常系ですよ。
林:
グルメ記事へのとんだカウンターパンチですよ。
古賀:
ぶっこわしましたね。ポストモダンってこれか
古賀:
実際の実家ラーメン。もはや腐ってる可能性すらある。
林:
うますぎず「ちょうどいい」という食べ物
古賀:
みんなもういろんなことに飽きてるから、ちょうどよさっていうのは重要なキーワードですよね。
古賀:
最後の知り合いの実家が、でも急に過激なんです。
古賀:
フランスパンという歓待。
めちゃめちゃに歓迎されてる感じがあって笑いました。
息子さんが歓待に慌てるという。
林:
前に同じ興奮を味わったことがあります。この記事で食べた人んちのおかずがすごく新鮮でした。橋田さんのソーセージ醤油炒めとか。
古賀:
あー!
林:
Airbnbで人んちに泊まるのが大好きなんですが、次は人んちの料理です。
そういうシェアリングサービスできないですかね。
古賀:
どうしても独特になるんですよね、人んちの料理は。
隠しきれないものがあって
林:
人んちの味としか言いようがないものがありますね。
クックパッドを見て作ると、人んち味にはならないんですよ
古賀:
スズキナオさんの記事、最後のおうちでラーメンはスープを飲むのが禁止なんですよ。塩分過多になるからって。
林:
ローカルルール!
古賀:
そういう、人んちっぽさは料理だけじゃなくてルールも込みなんでしょうね。
林:
変な名前ついてたりしますね。食材や料理に。
古賀:
うちでは飴のことを「元気パワー」って呼んでます。宗教みたいだ
林:
実家ではコーヒーを入れるコップを、アナマイドカップと読んでました
古賀:
アナマイド??
林:
「穴の空いたコップ」をそう聞き違えた翌日から、そういう名前になってました
トルーの取材相手への畏怖
古賀:
これ良かったなあ
林:
動画がむちゃくちゃおもしろいので、週末に家でじっくり見て欲しい
古賀:
すごいですよね。ノウハウが明文化されてるのが。
林:
いいもの見たわい、という気分になりました。
古賀:
動画のトルーも笑ってますよね。怖いんだけど内容が怖くないから笑っちゃうっていう。
林:
この記事で注目してほしいのは最後の締めです
トルーってこういう取材ものに慣れてないと思うんですよね。でも感激したのが伝わる
古賀:
そうそう!この記事、取材対象への畏怖がすごいにじみ出てたなと思いました。
畏怖、恐縮、リスペクト
林:
ライターの成長も一緒に感じられる記事です。
半年しか経ってないのに10年のキャリアを感じる
古賀:
この流れでいまいずみさん、どうですか?
新人のはずなのになにかもう貫録を感じさせる書き口でした。
2018年7月18日公開 ライター:いまいずみひとし
林:
2004年ぐらいから参加してそうな雰囲気ですね。
古賀:
なんでこの人いきなりこんなに書けてるのか
古賀:
老練ですよね
そして嫌味なきこの上から目線
林:
ここ、むしろいまいずみさんに気を使わせてませんか
古賀:
私たちが遠慮なく変態変態言ったから。
林:
「あの…変態っていい意味ですから!この人すぐ変態って言っちゃうんですよ~」とフォローさせている
古賀:
暴れ馬をフォローする係の人だ
暴れてるの担当編集!
林:
だって古賀さん、変態っていい意味で言ってないでしょう?
古賀:
あ、いや割と私は変態はいい意味だと思ってました!ほんとうです!!
林:
いい意味なんですね。僕は人に「林夫婦は変態だな!」って言われてムッとしてました。あれ褒め言葉だったのかな。
古賀:
慣れているという意味ではこことかも。最後のまとめです。
古賀:
けっこうここ時間かけてやったんですよ。飲み物を緑にして全部飲むところ。
でも大した結果はなくて。そこをばっさり切ってまとめにもってきた。こういうのテクニックだなと思います。
林:
すごいな。時間かけるとそこを書きたくなっちゃうんですが、
古賀:
読者の方にはみえにくい部分で恐縮なんですが、同じ書き手としておしゃれだなと思いました。
もうおれたちには教科書しかない
林:
いまいずみさんと同世代のハナウタさん
彼も器用です
古賀:
毎回工作とかさっとやってますよね。
林:
キラカードって知ってました?
古賀:
ビックリマンのヘッドがキラキラしてたのをギリギリ覚えてる程度です…。
林:
いや、僕も最初企画を聞いたとき、そういえばそういうのあるね。ぐらいだったんですが1600リツイート。おじいちゃん編集者か、おれは!と思いました
古賀:
全く同意見です。手から汗が出ました。
古賀:
一方で、「どうだ明るくなったろう」はめちゃめちゃピンときたんですが、これハナウタさんくらいの世代はもしかしたら分からないだろうか。
林:
これは教科書で読むやつだから知ってるんじゃないかな
古賀:
教科書にすがるしかないですねもうこうなったら
世代を超えていけ教科書
林:
ジェネレーションに関係なく全員が知ってるものって教科書ぐらいですかね。
古賀:
教科書最強伝説ですね
林:
教科書を資料として買おう
古賀:
買いましょう……!
林:
大久保に教科書売ってる店ありますよ。
学校で売ってる期間に書いそこねたうっかりの子ども買いに来る店
古賀:
いまうちの子どもが小学校5年生なんですが、習ってることぜんぶキャッチ―でふるえます。工業地域とか。
小5くらいからの教科書がやばい気がします。
林:
日本地図の上に「だいこん」「テレビ」とか書いてあるやつですか?
古賀:
そうですそうです。
林:
あの地図はいいですよね。
古賀:
あるあるの宝庫ですよね。
林:
こんど企画会議に教科書を持っていきます。資料集も
デイリー初!小唄で終わる記事
林:
資料つながりでこれいいですか
古賀:
辰井さんががっつりやるやつ!
林:
資料つながりでこれいいですか
がっつりやる辰井
古賀:
辰井はやるよ、本当辰井は
林:
郷土史家まで出てきてますからね。今回
古賀:
引っ張ってきましたね。
林:
ブラタモリか
古賀:
古い新聞を資料として載せるとか、芸風確立されてきましたね。
古い新聞を引用するという芸風
林:
しかし「手賀沼ディズニーランド」って、大喜利の答えみたいです
古賀:
この頃ってこういう勝手にバーンとぶちあげてとん挫するってカジュアルにあったんですかね…?
林:
日本の城が建ってて、野生動物がいるってめちゃくちゃですよね。
古賀:
後半とかすごいリアルですよね。
林:
いまこのノリに一番近いのってテスラじゃないですか
宇宙にロードスターを飛ばす。
古賀:
手賀沼ディズニーランドのいまがテスラなんですね
熱い
林:
辰井さんと趣味は近いので次回も楽しみです。
古賀:
あと、終わり方がすごいですよねこの記事。
歌で終わってる。
デイリーポータル1万記事以上ありますが、こんな哀愁ただよう終わり方ないですよね。
林:
「手賀沼よいとこ ハアきやしゃんせ」
古いパンフレットってこういう小唄のってますね
古賀:
載ってますね……!
自分とこの媒体が古いパンフレットみたいになる日が来るとは。
いや、でもすごく辰井さんらしいというか、この感じ好きでした。
林:
こういう古い観光パンフレットが好きで一時期集めてたのですが(
むかしの観光パンフレットが優雅)、たいてい小唄で終わってるんですよね。それがそのままデイリーに現れた感じあります
古賀:
1周回っていい、ってところから、そのままいい、という価値観へ
林:
スズキナオさんのラーメン記事と似てる
古賀:
ダイレクトな良さがいまきてますね
結果としてぬらぬら
2018年7月13日公開 ライター:DEEokinawa
林:
これなんですけどね。
最後のまとめで、特徴として
とあって、結果として……といったわりに「ぬらぬら?」ってなりませんか?
古賀:
わ!くやしい、読み逃がしてました。
「ぬらぬら」。味わい深いですね。
古賀:
官能小説っぽい言い方だなと思いました。
>自由な肉使い
っていう表現もいい。
林:
> 味付けのバリエーションが豊富
味付けが豊富、使ってる肉が自由、ってかなり幅広いですね
古賀:
それは結局なんなのかというと「ぬらぬらしたもの」だと。すごいですね。沖縄。
林:
たしかにここまで幅広いと、「ぬらぬらしたもの」ってまとめるしかないのか
妖怪っぽい
古賀:
本当だ。妖怪ですね。
林:
ここに妖怪ぬらぬらの想像図を入れておきます
古賀:
楽しみです…!!
妖怪ぬらぬら
夏休みにやろう!幽霊になるハウツー
林:
妖怪から幽霊です。流れるように話題を変えます
古賀:
私はこれはすごくいい記事だと思いました。
井口さんがすごくいいですよ。こういう記事が女性ライターの手で出せるところがデイリーの誇りです。
病んでないし、めんどくさくないし、自意識も感じさせないし。
ただ、おもしろいだけの企画になってる。
林:
スカッとエンターテイメントですね。
古賀:
クオリティも普通に高いですよね。
林:
メイク途中をモノクロで撮った写真があるのですが、それが80年代サブカル女でした
林:
古いサブカル
古賀:
本当だ!
古賀:
ハウツーがしっかりしてますよね。
情報があって、写真もきれいに撮れていて。
林:
デイリーはへんなハウツーが蓄積されてますね。代々木公園は2m以上の棒を使う撮影は許可が降りない。とか。
古賀:
「今後人生に必要ない知見を得た」みたいなくだり異様に多いですよね。
まとめ
林:
自由研究記事は小学館の掲載が遅れて、デイリーが勝手に小学館とコラボと言ってるみたいになりましたが、来週以降、たぶん載ります。
古賀:
デイリーが間に合うって意外すぎですね。
林:
いつも遅れる立場だから、こういうときにどうしていいのかよくわからない
古賀:
ほんとですね。にやにやしてるだけになりますね。
林:
いいんですよー(ニヤニヤ)
来週のデイリーの予定はこんな感じになってます
・掲載予定の記事「うまかっちゃん食べくらべ」「小学1年生の付録を作った人インタビュー」
・明日のアー公演
・石川夏休み
・給料日
それではまた来週。ショーンKでした。
古賀:
道端ジェシカでした~!給料日~!ヒュ~~!
ウェイウェイ~~!