特集 2018年10月17日

タイのおつまみナッツがマジでうまい

タイに来て驚いたことに、「おつまみナッツの豊富さ」がある。

そしてこれがまた、うまいのだ。本当にうまい。うますぎる。

発見に震えていた頃、日本から遊びにきた友人たちに対して真っ先にしたことは、観光案内でもおいしいタイ料理屋へ連れて行く訳でもなく、「ナッツの買い置きを食べさせる」ことだった(そしてお土産にスーパーで買って持たせた)。それくらい、ハマっている。そんな魅力を語らせて。

1984年大阪生まれ。2011年に旅先で誘われベトナム移住。ダチョウに乗って走ったり、ドリアンの皮を装備したりと、人は羨まないが平和な人生送ってます。世界のカルチャーを紹介するサイト「海外ZINE」編集長。(動画インタビュー

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> 個人サイト べとまる

吟味しきれないほどあるナッツコーナー

豊富さについては、百聞は一見にしかず!まずはこちらをご覧ください。

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写っているもの、
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ぜんぶナッツ!
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目ぼしいものを買ってみた
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先に書いておくと、これが私の推しナッツです。あとにも書くけど、最強です。

ここに写っているものだけで、プレーンから、ガーリック、海苔、エビ、唐辛子、はちみつ、Pad Khi Mao(タイ料理)、さらに小魚やレモングラスが入っていたり、果てはクランベリー味だったりと、実にさまざま。

日本はちょっと離れている間に進化するので、アップデートされていないか若干心配だけど、ナッツにここまでの捻りはないですよね。カシューナッツに至ってはプレーン原理主義的なメッセージ性すら感じる。これは以前住んでいたベトナムでも大差がなかった。ではどうしてタイだけが、ナッツの味にこれほど種類があるのか。

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友人と食べ比べもしましたが、この結果はのちほど。

そもそもタイはスナック菓子のレベルが高い

アジアでも最多の日本人人口を誇る都市・バンコク。街中には高品質のアイコンとして日本語が使われ、あちこちに日本を感じる街ですが、「日本以上かも…」と思ったものがスナック菓子の種類とおいしさです。

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左端から右端までぜ~んぶ、スナック菓子!…が、3列もある!
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そして適当に手にとったお菓子がだいたいおいしい
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食感(形状)についても、「攻めますな!」というものがちらほら。

以前暮らしたベトナムのお菓子は、お世辞にもおいしいとは言えなかった。そりゃまずくはないけど、どれも「日本のあのお菓子のちょっとおいしくないヴァージョン」という感じで、最初から最後まで暫定一位は世界ブランドのプリングルス。だからタイもさほど期待はしていなかったんだけど、これが大いに違ってうれしい誤算。

思い返せばベトナム在住の友人と以前、「タイのお土産には地元のお菓子をよく頼む」と話していたことがある。当時は「へーおいしいんだ」、としか思わなかったが、実際に自分が住んでみると確かになるほどこれは確かにおいしいです。なにしろ友人の土産に持たせるレベル。孫におはぎを持たせるおばあちゃんだよ。

でも、あなた今こう思っていませんか?「そんなこと言ったって日本のお菓子ほどじゃないんでしょ」、とか。

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タイには日本のお菓子もたくさんあるものね
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なんちゃってな日本風お菓子も多いけど…「独特な味」てなに。

いや、確かに、日本のお菓子はクオリティが異常に高い。味にしろ形にしろ繊細さや完成度においては我らがジャパンは圧倒的だなと思っています。そもそも、たとえば弁当にしたって、日本は冷めても外で食べられるものに対するコダワリティ(こだわりとクオリティを組み合わせた造語、今つくった)が高いのだから。

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ちなみにイタリアの弁当の一例、美食の国は「昨夜の残り物」が当たり前!(提供:鈴木圭

しかし日本とタイのお菓子には、決定的な違いがある。それは「味のパンチ力」。

在住者を悩ますタイ料理の甘・辛・酸が「裏返る」

辛い辛いと言われるタイ料理、それが全面に出すぎて気づかれぬ伏兵が、「甘味」と「酸味」。

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タイの麺料理屋などに置いてある定番の調味料四点セット

庶民的な飲食店のテーブルには「砂糖」「唐辛子」「ナンプラー」「唐辛子入りの酢」の四点セットが常備され、自分好みの味付けが大前提。よく料理下手のエピソードで「甘くなったから塩入れた」「辛くなったから砂糖を入れた」なんてものがありますが、タイではあれを地でいっちゃう。ただひとつ決定的な違いは、下手なんかじゃなくって、真っ当な「調味」として。

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激辛!イサーン料理の暴れん坊、ソムタム(パパイヤサラダ)。

しかし大半の日本人には何もなくとも辛いタイ料理。在住初心者がまず体得しなければならないスキルのひとつが、タイ語でもなければ、タクシーの交渉術でもない、「辛い料理の見分け方」だという話も聞きます。

辛さのひと突きをかわしたところで、足元から甘さに刺され、背後から酸味に袈裟斬り。マイルドにローカライズされた日本のタイ料理で食べるものと違って、当たり前ながら本場はすべての味が強いんです。リスペクトはもちろんあるけど、翌日の胃腸のためにも激辛料理は避けて暮らしたい。

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タイ料理の矜持が感じられる陳列

たとえば、上の写真を見てほしい。上半分の甘いポッキーはいちごにクリーム…なんなら「抹茶」と日本に寄せている節があるのに、下半分のしょっぱいプリッツだと基本的にはタイ料理の味。「塩っけなら俺たちの独壇場よ!」と言わんばかりに、日本のサラダ味やトマト味が付け入る隙がまるでない。味の鎖国である。

という訳で、タイ食生活三大問題ともいえる甘・辛・酸。でもこれって、スナック菓子において、めちゃくちゃ重要なフレーバーじゃないですか?なにしろお菓子のベースはたいてい小麦粉やじゃがいも。「あとから味付け」のプロフェッショナルであるタイ食文化は、スナック菓子では完全に強みとなって「裏返って」くれるのです。

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そこにしれっと昆虫スナックも加わるあたり、この国のスナック菓子は本当に裾野が広い。

うまいおつまみナッツはどれだ

そんな味のバラエティが、ナッツにも活かされることは自然の成り行き。なにより、カシューナッツをはじめナッツ類は南国タイの名産品で料理にだって使われる。日本だと希少性と食文化から本来の味を…となるのかもしれないけれど、タイだと「いくらでもあるんだしいろんな味付け試してみようぜ!」と、なるのでしょうか。

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カシューナッツと鶏肉炒め、食べさしであることは真摯に謝ります。
昔から、料理を前にすると撮影を忘れがち。

でー!

冒頭のナッツ食べ比べ、その結果はどうなのか?厳選4ナッツを発表します!

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「ナッツはふだん食べない」というバンコク在住のおともだち
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ビール飲んで…パクッ!

 

■タイスパイシーミックスナッツ(25バーツ/およそ85円)

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カシューナッツ、小魚、唐辛子、グリーンピース、が入っている。味付けは塩以外にあまりなく、小魚によって全体的に磯っぽい風味も。

・いろいろと入っていて贅沢!
・機内食で出たらテンション上がるやつだ
・乾燥唐辛子もあるがそのまま食べてはいけないしぬ
・それぞれの味はバラバラなので、お菓子というよりはおつまみ向き。

 

■ローストアーモンド&ドライクランベリー(24バーツ/およそ82円)

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アーモンドをクランベリーでコーティングしたものに、乾燥した果実も少しだけ入っている。温かい場所に置いておくとひっついて固まるので要注意。

・おいしい、OLがおやつに食べてそうなイメージがある。
・バーとかスナックで出されても違和感ない仕上がり
・高級チョコの上にのっていてもよさそう

 

■ブロードビーンズ(そら豆)&海苔(10バーツ/およそ34円)

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タイのスナック菓子の定番フレーバー、海苔をまぶしただけのシンプルなそら豆。そら豆そのものが珍しめ。

・そら豆の味がちゃんと活きている
・海苔が濃い、おにぎりせんべいっぽい。 ※東日本では取扱店舗が少ない
・ただしタイらしさはないので、観光客というより在住者にオススメしたい味。

 

■カシューナッツ・タイトムヤムフレーバー(19バーツ/およそ65円)

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パッケージの写真の通り、カシューナッツ、レモングラス、しょうが、ライム、唐辛子、マッシュルーム、こぶみかんの葉、が入っている。これぞ背徳の味。

・マッチングの神!
・お菓子ながら、料理の一歩手前かもしれない。
・レモングラスをお菓子に使うのはタイでも珍しい
・残った粉をガッサー!と食べたい、そんなやみつき系の味。

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ガッサー!いきたくなるよね、の図。

という訳で、タイにお越しの際には、並びに在住者のみなさんはこちらのおつまみナッツをお求めください。

あれ、もっとなかったっけ?と思われた方は…ご明察。いや、ここまで来てとても言いづらいのだけど、ぜんぶがぜんぶおいしい訳でもなかった。正確に言えば、今回分かったことでタイのおつまみナッツにはタイ産とインド産があって(どちらもタイ向け商品)、我々の味覚においては前者しか褒められねーな、という結論に。

褒められないと分かっているものを紹介するのも、意地がわるい。という訳で上記の4つに絞った訳でした。

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変わり種(文字通り)で「スイカの種」という意外性抜群のナッツもあったんだけど、
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これは縦に割って中身を食べるものらしく、ほかと方向性が違った。
写真は、割り方が分からず端を噛み切って開けようとしている私。

余談:仏教国のタイでは昼間に酒が買えない

最後に余談ですが、この撮影で改めて感じたこぼれ話。

「おつまみにはビールだよね」ってことで、日が暮れる前から乾杯して食べ比べをスタートしたのですが、タイでは11~14時と17~24時の間しかお酒は買えません。仏教国ならではの法律で、仏教関連の祭日に至っては終日買えなかったりもする。 

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デパートのお酒コーナーには入場禁止の柵が置かれ、
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祭日前日の24時前、コンビニの冷蔵庫はこの通り。
日本のタイ料理屋でも飲めるシンハービールは売れ切れ状態。

そんな、基本的に外ではどこも買えないという状況下、キンキンに冷えたビールは背徳感マシマシ。仏教では徳を積めば良い来世を迎えられるという功徳の考えがあるから、そういう意味でも「背徳感」という言葉を使うにこれ以上に相応しい状況はないのかもしれません。


とりあえず、『カシューナッツ・タイトムヤムフレーバーは「甘じょっぱい」の最高峰』。

「おまえ回し者だな」といくら言われてもいい。「カシューナッツ・タイトムヤムフレーバー」は本当に、本当においしいので、旅行者も在住者もとりあえず買ってみてはくれないか。こんなんもう、お菓子から料理に進化する一歩手前状態ですよ。それが70円以下で買えるなんて、マァ~!バンコクは中心地だと駅前にたいていデパートがあるので、その食料品店に行けばけっこうな確率で置いてあります。

ちなみにそれすら凌ぐ、私が個人的に世界一おいしいスナック菓子だと思っているものが「バンコククッキー」なのですが、これはタイの空港でしか買えません(市内の免税店にもあるけど)。日本で売られたらスナック菓子界がひっくり返ると思っているのですが、空港の外へすら飛び出さないのでやはり買いに来てください。

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今回、理屈をこねつつ好きなものを好き!としか言ってない気がしなくもない。

 

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