地主恵亮
なすの漬物が苦手なものの、ずっと高いのは美味いよと言われ続けてきた。またとない機会と参加。
今回は評判の良いところてんとして、
- 浅草「梅園」
- 墨田「関根食品」
- 伊豆「伊豆河童」
こちらのお店の品を謹んでいただきます。
※各お品は、サイトTwitterアカウントで読者のみなさま、はげます会会員のみなさまから情報をあつめました。ご回答くださった頼もしきみなさま、ありがとうございました!
登場人物
ネッシーあやこ
羊羹は絶対に食べられないわけではないが、進んで買うイメージがなく、まるごと買う勇気が今まで持てなかった。大好きな人も多い食べ物なので興味がある。
古賀及子
安いところてんに絶望したのをきっかけに苦手になってしまった。寒天はむしろ大好きなのでちゃんとしたところてんを食べてみたい。
問題はタレなのか、ところてん そのものなのか
古賀:
おふたりは、ところてんってどうですか?
ネッシー:
大好きです! 自分で作ったこともあるくらい。
古賀:
わ、なんとガチ勢。
地主:
苦手です……! 酢醤油が苦手なんです……。
ネッシー:
味つけが苦手なんですね、黒蜜だとどうですか。
地主:
あ、黒蜜ならいいですね!
古賀:
そうそう、ところてんについては、「良いお店は知らないのだけど、もしかしたら関東風の酢醤油が苦手なんじゃないでしょうか」とのアドバイスの声をたくさんいただいて。黒蜜や出汁で食べる地方もありますよ! って。
今回あとでご紹介する「伊豆河童」というところてんの専門店さんが、投稿を集めて各地のところてんの食べ方を紹介しているすばらしいページがあるんです。
ところてんマップ。通称「とこマップ」がリニューアルしました!
— 伊豆河童のつぶやき (@izukappa) June 8, 2016
ぜひ皆さん、地元の食べ方、実家の食べ方などなど投稿お願いいたします!https://t.co/rx5RY3TNRq#ところてんマップ #とこマップ https://t.co/G2yczaxuJb
古賀:
それによるとざっくり関東以北と全国一般的には二杯酢(酢、醤油)、中部が三杯酢(酢、醤油、砂糖)、関西が黒蜜、四国がだし汁で食べがちだそうですね。もちろん細かく違う地域なんかもあるみたいです。
地主・ネッシー:
へ~!
古賀:
だから地主くんの場合はきっと黒蜜だと話が変わってくるよね。ただ、わたしとしては多分、酢醤油は苦手じゃない、大丈夫なんです。ところてん自体にちょっとうまくなじめなくて。
ネッシー:
味じゃなくて、存在がだめなんですかね?
古賀:
存在は否定しないんですが……!
ネッシー:
あっ! 「存在」じゃなくて、「食感」って言えばよかったですね!
古賀:
でも……言われてみれば確かに妙な存在感に畏怖を感じるみたいなところはあるのかもですね……。
地主:
海藻があんな形になることが信じられないとかですか?
古賀:
そうそう! 存在に摩訶不思議アドベンチャー感あるんですよね。その不思議なものがすするとドゥルドゥルするの怖くないですか? 多分ね、すごく安いやつがそうだと思うんです。
地主:
ドゥルドゥル、しますね!
古賀:
するよね!
ネッシー:
ドゥルドゥル……?
古賀:
実はちょっとまえに親が激安だったからたくさん買ったんだって2個パッケージのをくれて。それがこう、1本に折れ目がたくさんあるみたいな感じなんです。すするとドゥルドゥル! って口内に飛び込んでくるような。
ネッシー:
あ~~~……。
古賀:
とにかく安かったらしいんですよ。だから、ちゃんとした良いやつを食べれば一気に好きになれるんじゃないか? と思って。
ブリンブリンのコシ、そして海苔のこうばしさ「梅園」
古賀:
で、最初に食べたのが、浅草の梅園のところてんです。有名な甘味屋ですよね、ところてんは夏季限定品です。せっかくなのでイートインでいただきました……!
地主:
ここの、あんみつは食べたことあります。
古賀:
あんみつ美味しいですよね……。そもそも寒天は大っ好きなんです。だからなんでところてんだけ苦手なんだろうとは前々から思ってました。
ネッシー:
おおお……660円のところてん…!
古賀:
はい、660円です!(テイクアウトなら495円みたいです)
地主:
高級だ。
古賀:
天ぷらそばなの……? というお値段。
ネッシー:
わらびもちとほぼ互角にはりあっている……!
古賀:
いつもならこの流れで絶対あんみつなんですが、心を鬼にしてところてんを頼みました。
まず食券を買って、それから着席するシステムです。食券がかわいいんだ。店員さんがとても丁寧でやさしくて癒やされます。
地主:
涼しげ!
ネッシー:
わ!強そうな麺!
古賀:
着丼してすぐ、うわ、めちゃくちゃ綺麗! と。ところてんのエッジがすんごい美しさ。
地主:
お、「着丼」って言うんですね。
古賀:
憧れからつい言ってしまいました。ラーメン用語らしいです。
ネッシー:
天草の成分いっぱい入ってそうです!
古賀:
そう! 今回寄せられた情報にも、天草に注意してくださいって、良い天草を使っているのを選んでくださいってコメントめちゃくちゃ多かったです。梅園は国産の天草を使っているとのことでした。
古賀:
で、たべたら、これむっちゃうまいのね。ちなみにタレは「秘伝の三杯酢」だそうで、二杯酢じゃないんですが、わりと酸っぱめでした。薬味も辛子で。
ネッシー:
おお~~!
地主:
美味しかったんですね!
古賀:
笑いましたよ、うまいじゃんと。ぜんぜんドゥルドゥルしないんですよ。ブリンブリンでつるんつるんで。特筆すべきが海苔で、かおりが芳醇なんです。全体を海苔がさわやかにまとめあげてて、笑って泣いた次第です。
地主:
やっぱり値段! 金で解決できるんですね、この世界!
ネッシー:
金!
古賀:
660円なので昼食と思えば……!
ネッシー:
めちゃくちゃ食べたい……。
古賀:
ネッシーさんはぜひ行ってください。三杯酢とはいえ、酸っぱさは強めだったから、地主くんにはあんまりかも。
私としては問題をところてん自体にかかえていたので、はやくも一気にクリアしてしまいました……。
地主:
おかわりしたいくらいですか?
古賀:
いや! そこなんだけど、美味いことはわかった、でも2杯目いくならあんみつだよな~という感じではあるんですよね。そこはどうしても好みですよね。
ネッシー:
止まらなくなるタイプのうまさとは違うんですね。
古賀:
そうですね、梅園で「まずはわかった!」という手応えがありました。
地主:
1杯で理解できると思うといいですよね。
古賀:
はい、で、これは行けるぞ! と気持ちが強くなり、その足で向かったのが墨田区の関根食品というところで……
150円でもここまでいける! 関根食品
ネッシー:
わーーー! 風情。
地主:
もう美味しそう!
ネッシー:
いいですね。すごく行ってみたいです
古賀:
めちゃくちゃ良い雰囲気で、基本卸しの店なんですが、小売もしてくれるんです。
ネッシー:
1人前から買えるんですか?
古賀:
はい! サッシをあけると中は工場で、お店の方に声をかけてその場で売ってもらいました。ところてんの他にも寒天とかこんにゃくとかプルプルしたもの全般扱ってました。
ネッシー:
ぷるぷる専門店ですね。
地主:
風情あるパッケージですね!
古賀:
かっこいいでしょう。これ150円なんです。高いわけじゃない。
地主:
むしろめちゃくちゃ安い!
古賀:
いかにも普通のパッケージだし、実はちょっとひるみました。
地主:
ですね……。
古賀:
とはいえ、心強くもありました。
今回読者のみなさまからいただいた推薦情報、なすの漬物や羊羹と違ってところてんは推薦の数がちょっと少なかったんですね。
そんななかで数件推薦が来てるんですよ。
ネッシー:
わ! 人気なんですね。
地主:
涼しげではありますね!
ネッシー:
ところてん然としたTHEところてん。
古賀:
トッピングもおなじみの感じです。ですが、よく見るとわかるんですが、1本1本が弱くないんです。ハリがあって、目で見てもう食感がわかりました。これはいけるな! と思ったら、やっぱりいけたんです。美味しかったです……。
地主:
値段じゃない……!
古賀:
わたしがダメなのは、麺(というんですかね)が折れててコシがないやつだとはっきりわかりました。
ネッシー:
まっすぐな感じのは大丈夫なんですね…!
地主:
でもそれ、より難しくなってませんか? 値段を基準にできない、食べないとわからないというのは……。
古賀:
そうなんですよね、お店の天草へのこだわりを見極める感じですかね……。
地主:
なるほど……!
天草、水、そして職人の饗宴 ところてん専門店「伊豆河童」
古賀:
で、最後がいちばん高いやつ!
ネッシー:
わあああ、突き棒つき! 伊豆!
地主:
自分で突くんですね!
古賀:
ところてん伊豆河童というところのです。「つき済み」といって麺の状態になってるのも売ってはいるんですが、基本はブロックなんです。安めのセットを選んだのでプラスチックの天突きなんですが、木製のものも選べます。
ネッシー:
木!
古賀:
ここは富士の湧き水「柿田川名水」と国内最高級の「伊豆天草100%」というふれこみで……。
しかも明治二年創業、熟練の職人さんがコシやかたさを十分確かめながらところてんづくりをしてるそうなんですよ。気合入ってる。
ネッシー:
湧き水で手作りで国内最高級伊豆天草100%、文字からもうすでにおいしそうな予感しかしないです。
古賀:
寡聞にして知らずだったのですが、伊豆半島は日本一の天草の産地だそうなんです。
地主:
絶対に美味しそう!
古賀:
注文したら、どうやら人気みたいなんです。混み合っているとのことで発送までしばらくかかりました。「ところてんが大人気」という状況をはじめて見ましたよ……。
ネッシー:
わ! わーーーーーっ。
古賀:
色がちょっとアイボリーなんですよね。それで、コシがとにかくすごくって。呼子のイカか!? と思った。
ネッシー:
曲げても折れきらないこしの強さ!
古賀:
冒頭でご紹介したとおり、こちらのお店はタレのこともすごく研究していて、苦手とは言わせないという気持ちの熱さすごいですよ。これ!
古賀:
めちゃくちゃタレ入ってるんですよ。ところてんの量の多いセットを買うとさらに「ほうじ茶みつ」とか「三杯酢」とか最大13種類のタレが入ってくるそうです。
地主:
すごい!
ネッシー:
ひい!!
古賀:
頑固に1種類のタレにこだわる、とかじゃないところに優しさを感じました。甘い系もあるので、地主くんは全く問題ないはず。
地主:
食べてみたいです!
古賀:
黒蜜、最高でしたよ……。ゆず蜜も。三杯酢はかなり甘めで、それも良いなあと思いました。ごまだれで一気にサラダ風になったり、楽しかったです。
ネッシー:
皿に置かれたときの佇まい、風格ありますね。
古賀:
かっこいいですよね!
ネッシー:
めっちゃかっこいいです!
地主:
ところてんから自信を感じます!
古賀:
承認欲求とかぜんぜんない感じですよね。自信があるから。強い。
地主:
憧れますね!
古賀:
で、黒蜜を食べてみて解ったんですが、酢醤油がだめなのでは? というご意見、実はちゃんと合ってたみたいなんです。
そんなつもりなかったんですが……黒蜜のほうがガンガン食べたいという結果で、おかわりしました…!
ネッシー:
味でだいぶ変わるのですね……!
古賀:
ドゥルドゥルのやつは黒蜜かけてもダメだったんです。だから基本的にはところてん自体が、今回の3つはどれも美味しかったんだと思います。
地主:
ちなみにおいくらですか?
古賀:
2パック6人前で送料込み1519円です! 送料込なら安いですよね? 種類はかなりいろいろあるみたいでした。
地主:
1人前250円と考えると安いですね、蜜もたくさんあるし、天突きもありますしね!
ネッシー:
突く楽しさもありますよね。味以外の部分でも楽しめるのいいですね。
古賀:
そうそう! これもまたエンタメですよね。タレも存在も込み込みでおいしかった。良いやつを教えてもらえてほんとよかったですわい。
地主:
値段だけではないんですね!
古賀:
今回はいろいろなことが分かりましたな……。おふたりとも、ありがとうございました……!
地主:
ありがとうございました!
ネッシー:
このあとなすの漬物もところてんも色々ポチります!
結論:編集部古賀の場合「ところてん」
- ドゥルドゥルしたコシのないものを食べてしまい参っていた
- 天草にこだわったものはどれもハリがあってエッジが感じられコリコリした美味しさ
- タレもいろいろ入ったセットのおかげで、どちらかというと黒蜜が好み! ということがわかった……!