薪で豚骨を炊くついでに、焼芋と焼豚も焼いてみる
そもそものきっかけは、アウトドア料理として豚骨ラーメンを作る機会があったこと。焚き火にセットした羽釜で豚骨を炊くというので、どうせならその火で焼豚を作ろうと思ったのだ。
どうせついでにサツマイモも焼こうじゃないか。山形に住んでいた学生時代、芋煮会で誰かが必ずやっていたように。
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焚き火で調理する焼芋のコツは、とにかく焦がさないようにすることだ。いくらアルミホイルで覆っていても、火の強いところにおけば簡単に焦げてしまうので、焚き火の勢いが少し落ち着いてから、直接火があたらず、それでいて熱がしっかり届く場所に配置し、たまに向きを変えながら満遍なく全体を焼く。焦りは禁物。
そんな理屈は重々承知だが、鍋の蓋を開けるようにアルミホイルの中身をこまめに確認することはできないので、これまでかなりの確率で失敗している。
どちらも美味しく焼けました
芋も豚も何分焼けばいいのかまったくわからない。丸ごとのサツマイモと豚の塊肉を同時に調理したことがないので、どっちが先に火が通るのかすら謎だ。
とりあえず一時間ほど経ったところで、軍手をしてアルミホイルの上から芋を押してみると、なんとなく柔らかくなっているような手ごたえがあった。そろそろいいのではないだろうか。
豚に関しては、外から触ったくらいではまったくわからない。正解の硬さがまずわからないのだから。
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まずは芋から開けてみると、これが見事に焼けていた。
どこも焦げることはなく、食べればホクホクかつネットリの完璧な仕上がり。さすがはシルクスイートを名乗るだけのことはある。
とりあえず焼芋は大成功である。
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続いて豚をオープンしてみると、焼き色はほぼ無いけれど、煮豚とは明らかに違う、あまり見たことのない状態になっていた。
全体に醤油を纏った状態で、アルミホイルの中で己の肉汁によって蒸し焼きになったということなのだろう。わかりやすく美味しそう、という感じではないかも。
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ドキドキしながら包丁を入れると、しっかりと火が通っていつつも柔らかさと肉汁をキープした状態の断面が現れた。俄然うまそう。そして食べれば当然うまい。程よい噛み応えが最高だ。
「優しい火力でじっくり焼く」という法則さえ守れば、芋も豚も同じように調理できることが判明。やっぱり焼芋と焼豚は、ほぼイコールの料理だったのである。
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オーブンで豚と肉を焼く
そして後日、今度は焼豚のようにサツマイモも醤油に漬け込んでそのまま裸で、そして焼芋のように豚肉を味付けせずアルミホイルに包んでオーブンで焼いてみることにした。
温度と時間をどうするか大いに迷ったが、低い温度でじっくり焼きたいけれど、あんまり低いとイライラしそうなので、とりあえず160度80分でどうだろうか。普段ほとんどオーブンを使わないので、この辺りの勘所がまったく鍛えられていない。
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勘だけで焼き上がりを決める自信がなかったので、有線式の温度計を肉の中心に刺してモニタリングするという、絶対に失敗しないはずの方法を試す。
この温度計、すごく便利なんですよ。ふだんは雑な料理しかしないから、あまり出番はないけれど。
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豚肉を安全に食べるための加熱目安は、肉の中心温度が63度で30分以上、75度なら1分間以上と言われている。ただ個人的には、もう少ししっかり火を通した方が好き。
焼き始めてから65分で芯温は65度まで上がり、最初に設定した80分で76度となった。このくらいがベストだろう。適当にセットした時間と温度だったが、まさかの大正解だったようで嬉しい。
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醤油に漬けた焼芋と焼豚
オーブンを開けると、醤油漬けにした豚肉がこんがりとおいしそうに焼けていて気分が盛り上がる。
この焼き上がりが見えるという点は、ホイル焼きにはない重要な興奮ポイント。そして醤油と肉汁の焦げた匂いが堪らない。
ちなみに醤油漬けの芋は、うっすら醤油の分だけ色が濃いかなあ、くらいの焼き色である。
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念のため、そしてデータ収集のため、それぞれに温度計を刺して、火の通り具合を確認したところ、芋がどちらも100度近くになっていて驚いた。
水なら沸騰直前の高温である。焼芋という食べ物はとても熱いイメージがあるけれど、あれは実際に熱いのか。
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しばらくオーブンの中で寝かせてほどほどに冷めるのを待ってから、焼豚方式の醤油漬けにした芋と豚から試食をする
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芋を半分に割ってみると、これが完璧な仕上がりだった。これぞ黄金色という輝きで、100度近くまで加熱されていたのに水分は失われおらず、昔の記憶にあるサツマイモとはまったく違うしっとり具合。
豪快に皮ごとかぶりつくと、トロトロで餡のように甘い芋を包み込む、醤油の染みた噛み応えのあるしょっぱくて香ばしい皮の存在が素晴らしい。
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和菓子職人があんこに少量の塩を入れるように、スイカに塩をかけるように、醤油の塩味が芋の甘さを引き立てている。宮崎県にある幸島の猿が、海水で芋を洗うという話を思い出した。
塩ではなく醤油だからこそ、加熱による焦げた香りが加わるのがまたなんとも。ほぼ冗談でやった芋の醤油漬け、大いに意味があるじゃないか。甘さが際立っている最近のサツマイモだからこそ、皮をしょっぱくするという方法が有効なのだろう。
そして醤油漬けの焼豚は、少し火が入りすぎの感じもしたがが、これくらい加熱したほうが豚肉の旨味が出るような気もする。どうしても中心がロゼ色に仕上げたくなってしまうが、これはローストビーフではなく焼豚なのだ。
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一切れ食べてみると、しっかり火が通っているものの固くはなく、程よい噛み応えが顎に嬉しい。こんなの一切れで止まれる訳がない。
屋根となっている脂身はトロトロで、そこから溢れた汁が赤身部分をしっとりとコーティング。それを醤油という相棒が受け止めて焼きあがることで、豚の味と香りを強烈に底上げしている。これはうまい肉だ。
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もう少しだけ柔らかく仕上げるのなら、オーブンの温度設定を少し下げて、加熱時間を長くしてもいいが、そうするとこの香ばしさは出ないのかも。
それなら途中で温度を上げて焦げをつけるという手もあるな。漬けダレに甘さやスパイスを足してもうまそうだし、これは試したいレシピが無限にでてくるやつだ。肉を焼くのは楽しいな。