特集 2025年2月15日

焼芋と焼豚は同時に作れる

魚焼きグリルで焼く焼芋と焼豚

最後にもうひとパターン。これまでの経験を活かしつつ、ガスレンジについている魚焼きグリルを使って、焼芋風に芋と豚を焼く方式も試しておきたい。

下味として醤油を使った方が絶対好みなのだが、ちょっとうまくなりすぎるので、あえて味付けなしバージョンでチャレンジ。シンプルに「作り方」だけの味を確認してみよう。

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二つ折りにしたアルミホイルに芋と豚をそれぞれ乗せて、あとで開きやすいよう丁寧に包む。もちろん豚の脂身は上側にする。
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芋が大きすぎて入らなかったのでやりなおし。
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一回り小さい芋にしました。ちなみにこれは紅はるかという品種。
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魚焼きグリルは両面焼き。火加減はもちろん最弱。加熱時間は強制的にグリルの消化タイマーが作動して、その最長が15分なのでそのようにする。

15分後に確認すると、火の通りはまだ半分というところだった。

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15分焼いた芋。触った感じがまだまだ硬い。
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二つに切ってみたら、やっぱり生焼けだった。
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豚は火が通っているようにも見える。
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でも切ってみるとまだ全然。
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温度も50度以下。
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さあ本番はここからだ。

この肉をアルミホイルで包み直して再加熱するのではなく、上部を開いたまま焼くことで脂身を直火で焼けば、適度に油を抜きつつ香ばしく焼き上げることができるのでは。

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これで脂身が香ばしく焼けるはず。芋は焦がしたくないので包んだまま焼く。

様子を見つつ10分が経過。

北京ダックのように香ばしく焼けたことを確認したら火を止めて、ホイルを包み直してグリルに戻し、肉汁を休ませつつ余熱でしっかり火を通す。

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この焼き目、最高のやつなのでは。
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美しすぎる側面は現代アート。

20分ほど待ってから豚をカットしてみたところ、包丁から手に伝わってくる感触がもう美味しい。

ザクッ、ムニュ、ジュワワワワ~。

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こんがりと焼けた脂身、その下にあるトロトロの脂身、そして肉汁を限界まで貯えた赤身(白いけど)。この写真で酒が飲める。

まずはそのまま食べてみると、「パリジュワーン」とフランス語っぽいオノマトペが自然発生。アルミホイルに包んで焼いただけでは生まれない、食感と香りと味の多様性にガッツポーズ。

これまでいろいろな方法を試してみたけれど、この焼き方は一片の肉を噛んだときの歯ごたえに物語を感じる。

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塩と胡椒で。そりゃうまいよ。

 

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今回はあえて味付けなしで焼いてみたが、これがもし醤油漬けにした豚だったら、どこまでうまくなってしまうのか。醤油+紹興酒+蜂蜜、あるいは醤油+ナンプラー+ニンニク、なんなら塩+胡椒+クミンシード+コリアンダーシードでどうだ。

あともう10回くらい肉を焼きたいところだが、さすがにお腹が一杯なのでまた今度。石焼芋用の調理器具を買うか迷ったけど我慢しよう。

それにしても焼いた芋と豚はうまい。焼芋と焼豚を作るということが、すごく身近になる実験だった。

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ふだんはあまり使わないけれど、魚焼きグリルのあるコンロでよかった。

ちなみに同時進行の芋も、おいしく焼けていました。

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この焼き方が一番早いかな。
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このきめの細かさは、もはや栗抜きの栗きんとんですよ。

「芋と豚を一緒に焼くなんて、俺すげえ天才じゃん!」と思ったのだが、よく考えれば肉とタロイモ(サトイモ類の総称)をバナナの葉っぱなどで包んで蒸し焼きにするという料理は大昔から存在している訳で、壮大な食の先祖返りをしていただけだった。

私が焼きながら必要以上の興奮を覚えた理由は、もしかしたらそこにあったのかもしれない。無意識のうちに、テレビで見て憧れていた、あのジャングルのごちそうを作っていたのだ。

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編集部からのみどころ
3ページ目の魚焼きグリルは失敗かと思ったらリカバリして結局おいしいところまで持って行くのが玉置さんらしいところ。 「『パリジュワーン』とフランス語っぽいオノマトペが自然発生。」と書いてますが、このフランス語っぽさは半分ぐらいパリがあるからだと思います。(林) (石川)

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