「芋と豚を一緒に焼くなんて、俺すげえ天才じゃん!」と思ったのだが、よく考えれば肉とタロイモ(サトイモ類の総称)をバナナの葉っぱなどで包んで蒸し焼きにするという料理は大昔から存在している訳で、壮大な食の先祖返りをしていただけだった。
私が焼きながら必要以上の興奮を覚えた理由は、もしかしたらそこにあったのかもしれない。無意識のうちに、テレビで見て憧れていた、あのジャングルのごちそうを作っていたのだ。
最後にもうひとパターン。これまでの経験を活かしつつ、ガスレンジについている魚焼きグリルを使って、焼芋風に芋と豚を焼く方式も試しておきたい。
下味として醤油を使った方が絶対好みなのだが、ちょっとうまくなりすぎるので、あえて味付けなしバージョンでチャレンジ。シンプルに「作り方」だけの味を確認してみよう。
魚焼きグリルは両面焼き。火加減はもちろん最弱。加熱時間は強制的にグリルの消化タイマーが作動して、その最長が15分なのでそのようにする。
15分後に確認すると、火の通りはまだ半分というところだった。
さあ本番はここからだ。
この肉をアルミホイルで包み直して再加熱するのではなく、上部を開いたまま焼くことで脂身を直火で焼けば、適度に油を抜きつつ香ばしく焼き上げることができるのでは。
様子を見つつ10分が経過。
北京ダックのように香ばしく焼けたことを確認したら火を止めて、ホイルを包み直してグリルに戻し、肉汁を休ませつつ余熱でしっかり火を通す。
20分ほど待ってから豚をカットしてみたところ、包丁から手に伝わってくる感触がもう美味しい。
ザクッ、ムニュ、ジュワワワワ~。
まずはそのまま食べてみると、「パリジュワーン」とフランス語っぽいオノマトペが自然発生。アルミホイルに包んで焼いただけでは生まれない、食感と香りと味の多様性にガッツポーズ。
これまでいろいろな方法を試してみたけれど、この焼き方は一片の肉を噛んだときの歯ごたえに物語を感じる。
今回はあえて味付けなしで焼いてみたが、これがもし醤油漬けにした豚だったら、どこまでうまくなってしまうのか。醤油+紹興酒+蜂蜜、あるいは醤油+ナンプラー+ニンニク、なんなら塩+胡椒+クミンシード+コリアンダーシードでどうだ。
あともう10回くらい肉を焼きたいところだが、さすがにお腹が一杯なのでまた今度。石焼芋用の調理器具を買うか迷ったけど我慢しよう。
それにしても焼いた芋と豚はうまい。焼芋と焼豚を作るということが、すごく身近になる実験だった。
ちなみに同時進行の芋も、おいしく焼けていました。
「芋と豚を一緒に焼くなんて、俺すげえ天才じゃん!」と思ったのだが、よく考えれば肉とタロイモ(サトイモ類の総称)をバナナの葉っぱなどで包んで蒸し焼きにするという料理は大昔から存在している訳で、壮大な食の先祖返りをしていただけだった。
私が焼きながら必要以上の興奮を覚えた理由は、もしかしたらそこにあったのかもしれない。無意識のうちに、テレビで見て憧れていた、あのジャングルのごちそうを作っていたのだ。
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