ジャックフルーツが一個500円だった
少し前の話になるのだが、埼玉県三郷市にあるボンゴバザールという大型ハラールショップで買い物をしていたら、冷凍のジャックフルーツがたくさん並んでいた。
ジャックフルーツ、名前だけは聞いたことのある一度食べてみたかった南国のフルーツだ。確か世界一大きな果物だったような。日本での名前はパラミツ(ハラミツ、波羅蜜、菠蘿蜜)というらしい。
値段が「1Pcs 500円」と書かれているので、小さくカットされたものか、100グラムか1キロあたりの値段だろうと思ったが、どうも丸ごと一つの値段らしい。え!ホールなの!
この恐竜の卵みたいな塊が500円(税別)ってどういうことだ。マトンを丸ごと売っている店なので、ジャックフルーツが丸ごと売られていても不思議はないが、ベトナムからの送料だけでも赤字じゃないかという値段である。
値段的には絶対買いだが、その世界一のサイズが購入を躊躇をさせる。これを食べきれるのだろうか。
店頭のポップを確認すると、ジャックフルーツは「マンゴとパイナップルを足した感じ」の味らしく、ゴツゴツした皮の奥に食べられる場所があるようだ。可食部分はそこまで多くないのかも。
「日本人が食べても美味しいと感じる!はず!」というコピーに、ボンゴバザールの絶対的な自信と僅かな不安が読み取れる。
よし、買おう。サイズは5.1~8.2キロでどれを買っても500円だが、大きすぎても食べきれなそうなので、間をとって7.1キロでどうだ。君に決めた!
ちなみにそのすぐ横には、真空パックされたマレーシア産ハニージャックフルーツ(ジャックフルーツの中でも甘い品種らしい)が、200グラム1050円という値段で売られていた。
本来はこういう価格帯のフルーツなのだと思われる。冷凍庫の在庫整理に伴う超特売価格だったのだろうか。
ジャックフルーツを捌いて食べる
買ってきた500円のジャックフルーツはガチガチに凍っていたので、丸一日常温で置いて自然解凍をさせて、包丁でゴツゴツの皮を切って中身を確認する。
果物を切り分けるというよりは、アルマジロでも解体している気分だ。
ニガウリだったらワタと呼ぶ白いフカフカした繊維に詰まっていて、そこに柿のような色の実が詰まっている。自前で緩衝材を用意しているなんて、まるで野生の贈答品高級フルーツのようである。
その果肉の一つを掴んで引っ張ってみたが、しっかりとくっついていて離れないので、付け根を包丁で切って取り出す。
まったく未知の食材をフィーリングで調理していくのが楽しすぎる。なんだか人気漫画の「ダンジョン飯」ごっこをしている気分になってきた。さながらこれは巨大カマキリの卵塊だろうか。
でかいトウモロコシの粒みたいな果肉がとれた。小振りなパプリカのようでもある。
マンゴとパイナップルを足した感じの味らしいが、見た目も確かにそんな感じだ。
やたらと大きな種を取り出して食べてみると、完熟のマンゴとパイナップルとバナナを足したような濃厚な甘さで、これぞ南国のフルーツという力強さを感じる。これはおいしい果物だ。日本人の好きな味。たぶん。
ザクザクの食感がとても特徴的で、繊維感が強く分厚い花弁のようだ。噛み応えと食べ応えがすごい。味は全く違うのだが、野沢菜の茎部分みたいな食感で意外性がある。
値段的にこれよりもさらにおいしいであろうハニージャックフルーツの味が気になってきた。
7.1キロのジャックフルーツは可食部分だけでもやっぱり量が多かったので、とりあえずむき身を再冷凍。
解凍してそのまま食べたり、牛乳とミキサーにかけてラッシーにしたり、じっくり一年くらい楽しんだ。体感的には余裕で5000円分以上食べた気分だ。