特集 2026年3月3日

石垣島で八重山そば(沖縄そば)を小麦粉と豚骨から作るワークショップ

石垣島で出張製麺ワークショップをやってきました。

沖縄本島から南西に約300キロ、石垣島などがある八重山諸島で昔から食べられている麺類が八重山そば。

沖縄そばとは少し違うそのそばを豚骨と小麦粉から作って食べるワークショップを、製麺を趣味とする埼玉県民の私が石垣島でやってきた。

ついでに西表島で手に入れたリュウキュウイノシシで中身そばも作った。実に楽しい日々だった。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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11年振りの石垣島

そもそもは西表島の友人に会いにいくという用事があり、それならば経由地である石垣島でもなにかしようと考えて、石垣島出身で京都にも拠点をもつライターの泡☆盛子さんに相談したところ、製麺ワークショップ(小麦粉から麺を作る会)をやらせてもらえることになった。

せっかく石垣島でやるのであれば、作るべきはやはり八重山そばだろう。11年前に当サイトのイベントで石垣島を訪れた際、『日本最南端の麺文化「八重山そば」』という記事を書いたが、そのネクストをやろうじゃないか。

そんな訳で石垣島に到着し、最初の食事はもちろん八重山そばだ。すっきりした鰹節と豚骨のスープ、断面の丸いストレートの茹で麺、具は細切りの豚肉とかまぼこと青ネギ。そうそう、こういう味だった。

南の島で食べる麺類はこうでなくちゃと指をパチンとさせたくなる味がした。

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八重山そばとジューシー(炊き込みごはん)のセット。ジューシーから仄かにスパイシーな香りがしたのが不思議だった。
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お好みでピパーチ(ヒハツモドキの実を粉にしたもので、ピパーズとかピパチとかヒバーチとか島胡椒とか表記は様々)とコーレーグース(泡盛に島唐辛子をつけたもの)を少し加えるのがお約束。

 

沖縄そばと八重山そばと宮古そばの違い

この記事を読む上の基礎知識として、沖縄そばと八重山そばと宮古そばの違いや共通点を書いておく。埼玉県民の私が書いているので本当に正しいのかは怪しいが。

まず麺だが、どのそばもかんすいの入った中華麺を製麺所で茹でて、油をまぶして冷ましたものが使われる。そばという名前だが粉は小麦粉100%で蕎麦粉は使われていない。中華そばとか汁そばと同じ文脈の「麺」という意味のそばなのだ。

麺の形状は、沖縄そばが太くて縮れた平麺、八重山そばが細いストレートの丸麺、宮古そばが細いストレートの平麺であることが多いが、あくまで傾向の範疇で絶対にそうという訳でもない。

麺はスーパーなどでダシ(スープ)と並んで売られており、家で作って食べることも多い。

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石垣島で丸麺を始めて売り出したという金城製麺所の八重山そば。丸麺がスタンダードだが平麺もある。麺の形状に強いこだわりがあるお客さんも多いそうだ。

ダシは豚骨と鰹節のあっさり味が定番。沖縄そばのほうが比較的濃厚で、ラーメンに近い味の店が多いように思う。

ローカルスーパーでもマックスバリュでも「ダシ骨」と書かれた豚骨のぶつ切りが売られているので、このスープを家で作る人も多いのだろう。

具は青ネギが共通で、肉は豚の三枚肉(皮付きバラ肉)、本ソーキ(骨が固いスペアリブ)、軟骨ソーキ(骨ごと食べられる柔らかいスペアリブ)、テビチ(豚足)、赤身肉など、店によって様々。

デフォルトは沖縄そばが三枚肉、八重山そばが細切り赤身肉、宮古そばが厚切り赤身肉のイメージ。どのそばもかまぼこ(揚げた魚のすり身)がよく乗っている。

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沖縄本島は飛行機の乗り換え以外でいったことがないため本場の沖縄そばの写真がないので、DEEokinawaの「トッピングがでかすぎる沖縄そば」を掲載。紅生姜の乗っている確率が高い。これは麺がちょっと細めかも。
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超あっさりタイプだった「島そば一番地」の八重山そば。この店は細いストレートの平麺で、かまぼこは煮込まれいなかった。
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宮古島の丸吉食堂で食べた昔ながらの宮古そばは、ストレートの平麺の下に具を隠して質素な料理に見せる伝統のスタイル。映え狙いの反対だ。
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麺を持ち上げると、中から豚肉とかまぼこが出てきた。

長々と蘊蓄を書いてみたが、最近は各島同士や本土のラーメンとの融合が進んでいるようで定義することが難しくなっているようだ。茹で麺ではなく生麺を出す店もあるのだとか。

昔ながらを謳う店でもレシピは少しずつブラッシュアップされているだろうし、一般庶民が歴史を紡ぐ食文化は、きっとそういうものなのだろう。

製麺ワークショップのリハーサル

八重山そばを作る製麺ワークショップの会場は、石垣市公設市場という飲食店や土産物屋が入る建物の3階にある「あまくま座」。保育園跡地に昨年オープンした、映画×文化交流を目的としたコミュニティスペースとのこと。

石垣島に住む友人の泡さんが繋いでくれたのだが、映画上映をベースとしつつ、製麺ワークショップもやれば快楽亭ブラック師匠の高座もやるという、とても自由度の高い素敵な場所だった。

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石垣市公設市場の3階に製麺ワークショップの会場となるあまくま座がある。
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まさか快楽亭ブラック師匠と告知が並ぶ日が来るとは。

この場所で製麺ワークショップが行われるのはもちろん初めてなので、本番の前にリハーサルをして諸々のすり合わせを行う。

八重山そばの製麺部分はこちらが主導しつつ、スープや具に関しては泡さんが両親から受け継いだ作り方をベースとした。

「あまくま」は、沖縄の言葉で「あちらこちら」という意味だとか。このワークショップはまさにあまくまの文化交流。私にとっても学びが多い。

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右が企画してくれた石垣島生まれの泡☆盛子さん、左は館長で新潟出身の佐藤真弓さん。
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佐藤さんから「とりあえず一杯どうですか?」とウエルカム泡盛を勧められたが、初対面で緊張していたのでオリオンビールにしてもらった。
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二人が用意してくれた食材や調理道具を使って、さぐりさぐり八重山そばを作っていく。本来は茹でた麺に油をまぶして冷ましたものを使うのだが、ワークショップでそれをやるのは大変過ぎるので生麺タイプとさせていただく。南の島で細かいことを気にしてはいけない。あまくま座スペシャルということで。

事前に家庭用製麺機を宅配便で送っておいたのだが、ほぼ鉄の塊なので検査時に怪しまれたのか、航空便ではなく船便になったことが来島直前に判明し(沖縄あるあるらしい)、急遽手荷物でパスタマシンを持ってきたのだが、こちらはオプションで購入した丸麺(スパゲティ)用の切り刃があるので、結果的に八重山そばっぽい形の麺を作ることができた。

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肉は赤身肉を細切りにすると八重山そばらしくなるが、すっかり忘れていたので皮付きの三枚肉を用意してもらった。ダシ骨と呼ばれるぶつ切りの豚骨ミックスの存在に地域性を感じる。うちの近所でも売って欲しい。
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三枚肉は下茹でするべきか迷ったが、手順の簡略化も兼ねて、ダシ骨と生から煮て1時間後に取り出して味付けすることにした。ダシ骨はこのままもう少し煮ておく。
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一口サイズに切った三枚肉を、醤油、味醂、泡盛、黒糖、スープで煮込む。
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鰹節は豚のスープに直接入れるのではなく、別の鍋で鰹出汁を煮出すことにした。ちなみに昆布を入れるか聞いたところ、泡さん曰く昆布は食べるものだから出汁用には使わないそうだ。
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それぞれを濾して、豚と鰹の合わせスープが完成。ワークショップ形式なので味付けは各自が丼の中で行うスタイルとする。
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製麺のリハーサルもする。小麦粉は金城製麺所から沖縄製粉の「さんにん」という沖縄そば用の粉(粗蛋白10.8%)を分けてもらった。かんすい少なめ、塩多めで八重山そばらしい生地を作る。
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まったく使っていなかったスパゲティ用の切り刃が八重山そばのワークショップには最適だった。会場が粉だらけになるけれど、そこは諦めていただきたい。
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かまぼこは煮込まずに細切りにした。
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ネギは島ネギと呼ばれる細いもの。関東でお馴染みの太い長ネギはこちらだと育ちにくいのだろう。
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諸々の用意ができたら麺を茹でる。
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スープの味付けは石垣の塩や醤油でお好みの味に。味の素を入れると一気に店の味になる。
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三人で作った生麺タイプのオリジナル八重山そばは、麺がツルッツルでとてもおいしかった。スープはすっきりしつつも物足りなさがない。「これでいい、いや、これがいい」という味だ。

石垣島で八重山そばを作るという長年の野望が叶い、すっかり満足してしまったのだが、そういえばこれはまだリハーサルなのだった。

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普段は映画の上映をしている場所で手作りしたとは思えない出来栄えの八重山そば。
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半分くらい食べたところで、泡さんお手製のコーレーグースとヒバーチを加えると、味がビシッと引き締まるんですよ。

 

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ヒバーチの原材料はこの細長いイチゴみたいな実。ツタのように石垣によく生えている。
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ところで公設市場1階の「ひとくち亭」には泡盛の飲み比べセットがあり、古酒(クースー)を頼んだら全部43度ですっかりヘロヘロになった。なかなか愉快な島だ。

⏩ 次ページに続きます

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