案外知らない人も多い?「とん蝶」
先日、大阪でバンドの「cero」のライブがあって、それに行ってきた。最初から最後までずっと圧倒されているような、素晴らしいライブだったのだが、ボーカルの高城晶平さんが合間のMCで、とん蝶の話をしていた。
大意としては、「前に大阪でライブをした時にMCで『とん蝶って美味しいよね!』みたいなことを言ったら、会場が思ったように盛り上がらなくてびっくりした。それでわかったのが、大阪の人でも案外、とん蝶を知らない方が多いみたい。すごく美味しいんですよ!いつも食べているし、明日の帰り道にも食べます」と、そういうことを言っていた(高城さんは「とん蝶、知ってる人いますか?」とお客さんに聞いていたけど、そんなに大勢の手は上がっていなかった)。
それを聞いて私も、「えっ、そんなにとん蝶は知られていないのか」と驚いた。もちろんきっと年齢層や普段の食生活の違いなどもあって、ceroのライブ会場じゃなくて大阪の街なかでアンケートをしたら、知っている人が大多数だったかもしれない。が、とにかくそのことが、私に改めてとん蝶というものを考えさせるきっかけとなったのだった。
こんなことをここまで書いてきたが、私がとん蝶のことを知ったのはそれほど昔のことではない。今(2026年)から、7~8年前だろうか、大阪に引っ越してきて数年が経って、友人と特急電車に乗って少し遠くに出かける時にその友達がとん蝶を買ってきて車内で食べているのを見た。それで美味しそうだなと思ってその後に自分でも買ってみたのだった。「うまーっ!」と叫ぶ感じではない、しみじみとした美味しさ。
それ以来、たまにデパ地下などで見かけると買って、夕飯のおともにしたりしている。とん蝶があって、もう一品用意して、さらに味噌汁があったら私にとってそれ以上望むものはない夕飯みたいな感じだ。
とん蝶を食べてみる
たまにとん蝶を食べる程度である私なので、まずはちょっと久しぶりに買ってみることにした。大阪・梅田にある阪神百貨店梅田本店の1階に全国各地の美味しいものが集まっている「うまいもんみっけ」というコーナーがあって、そこに行くと、とん蝶を買うことができる。
ただ、これは後述することになるが、とん蝶は消費期限がその日のうちに設定された、とにかくできたてが一番!という食べ物なので、遅い時間だと手に入らないかもしれないため注意が必要だ。
ちょうどその日は特別なフェアの期間にあたっており、阪神百貨店梅田本店限定、しかも販売期間も限定された「金ごま入り枝豆とん蝶」という商品も販売されていて、しかし私が行った14時頃にはもう売り切れていた。そんな風に限定のものも含め、とん蝶にはベーシックなものとは別に、いくつかの種類があるのだ。
それでも、「とん蝶」「七味とん蝶」「とうもろこしとん蝶」「ゆかりとん蝶」の在庫はまだ残っていたので、その中から「とん蝶」「とうもろこしとん蝶」を購入。
その日の夜に食べてみることにした。
お皿に乗っている様はまるでケーキのよう……しかしケーキとはかなり違った食べ物である。これも後述するが、いつも思うのが「とん蝶って写真に撮るのが難しい」ということである。簡単に写真映えがする感じではないというか、だからこそ撮影しがいのある対象と言えるだろう。私は下手なので、美味しそうに見えてなかったら申し訳ありません。
食べてみる。もち米の弾力、そして、昆布の絶妙な塩加減、炊かれた大豆の旨み、いい。具材が均一には分散していなくて、下の方に偏っていたりして、一口ごとに食感も味も香りも少しずつ違うのが楽しい。そしてとん蝶好きなら誰もが楽しみにしているであろう、カリッとした食感の小梅と、その梅を食べた後の赤いところのもち米の味よ。たまらない。
とうもろこしとん蝶も美味しく食べて、正直、二個立て続けに食べたら小食気味の私にしたら大満腹という感じであった。食べ応えはしっかりとある。私はだいぶ時間をおいてしまったが、できたてだったらもっともちもちした食感が楽しめたはず。
「やっぱりとん蝶、最高だな」と思った私は、いつもの飲み仲間たちに「とん蝶をつまみながら飲みませんか?」と連絡をした。しばらくして「いいですねー!」と、いい返事がみんなからあり、そのうち一人が「場所はどうします?」と言う。
たしかに、テイクアウトしかないとん蝶だから、それをみんなで集まって、しかもお酒も飲もうと思うと……悩んでいると「カラオケボックスはどうでしょう」と一人から提案が。なるほど、食べ物も飲み物も持ち込み自由のカラオケチェーンの部屋ならそんな遊びにぴったりではないか。


