たらこチューブを求めてスウェーデンへ
今年の6月末に、夫の妹家族に会いに行くためにスウェーデンに行った。
スウェーデン南部にあるルンドは、ベルリンからは電車で10時間ほど。
デンマークを経由する大回りのルートなので、距離的には約830km。大体東京から札幌までの距離なのだが、電車が古いのか線路が悪いのか、とにかくゆっくり進むのでむちゃくちゃ時間がかかる。
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もちろん姪っ子たちに会うのが一番の目的だったが、今回のスウェーデン旅行で楽しみにしていたことがもう一つある。
それは、たらこチューブを買うことだ。
ロシアで出会った、スウェーデンのたらこ
私は無類の魚卵好きである。両親の実家が北海道であることもあってか、子供の頃からたらこやいくらが死ぬほど好きで、毎日でもたらこご飯を食べたいと思っていた。
残念ながら私が住むドイツでは魚卵がなかなか手に入らないのだが、実はスウェーデンでは手ごろにたらこが買えるのだ。それもチューブ入りの。
日本のたらこを期待して食べるとちょっとびっくりする味だが、 私はこのスウェーデンのたらこチューブが大好きである。
たらこチューブとの出会いは、1980年後半のソ連。幼少時代の3年ほど、モスクワに住んでいた時だ。
当時、モスクワには外国人だけが買い物をできるスウェーデン系スーパーがあったのだが、そこで手に入れたたらこチューブで母がたらこスパゲッティを作ってくれていたのだ。
また余談だが、ロシアの魚卵と言えばキャビアである。私たちが住んでいた頃はキャビアがめちゃくちゃ安かったそうで、パンが真っ黒になるぐらいキャビアを乗せて朝ごはんに食べるという大富豪みたいな生活をしていたそう。今では考えられない話だ。
たらこチューブの歴史
さて、話をスウェーデンのたらこチューブに戻そう。
スウェーデンのたらこの歴史は19世紀に遡る。1800年代までは塩漬けにして食べられていたたらこは、1910年頃にオイルを混ぜたよりマイルドな味のペーストにして食べられるようになったそう。
そして1940年頃にはたらこをスモークするようになり、1954年に初めて売り出されたチューブ入りの燻製たらこペーストが現在のたらこチューブの始まりだそうだ。
それ以来、色々な会社がチューブ入りたらこを作ってきたが、やはり最も有名なのが元祖たらこチューブを開発したAbba社の「カレス」だ。
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ちなみにカレスのパッケージに描かれた男の子は、当時6歳だったAbbaの社長の息子、カール君だそう。カールのあだ名がカレなので、たらこペーストもカレス・キャビア(カレ君の魚卵)となった。
現在ではオリジナルに加えてマイルド、ライト、ヴィーガン、ゴールドなど8種類のカレス商品が出ているらしく、 今でも人気が絶えないようである。
ちなみに1980年には箱タイプのカレスが売り出されたそうが、子供に人気がなかったため廃止されたそうだ。やはりチューブに入っていることもカレスの魅力の一つなのだな。
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チューブ王国、スウェーデン
カレスは海外のIKEAでも取り扱われていたらしいが、最近ドイツのIKEAでは見かけない気がする。
希少なたらこチューブをゲットするために、ドイツに帰る前にスーパーに行くことにした。
冷蔵商品のエリアに向かうと、そこには山のようなチューブ商品や魚加工品が待ち構えていた。
缶詰や瓶詰めの魚の加工製品の量ももちろん豊富だが、こんなに多くのチューブ入りの食べ物を売っている国は見たことがない。
アルミ製チューブといえば軟膏とか接着剤とか、あまり食べ物を連想させない入れ物だが、スウェーデンでは食品でこんなにも活躍しているとは驚きである。
よく見るとたらこだけではなく、サバやニシンもチューブ入りになって売られているようだ。パッケージも色々あって目移りしてしまう。
いつもは王道のカレスのたらこチューブだけを買っているのだが、今回はせっかくなので何種類か買ってみることにした。
これを帰って食べ比べしてみよう。


