特集 2025年9月19日

「スウェーデンの国宝」たらこチューブが好きだ

魚卵が好きだ。

たらこ、数の子、いくら、とびっこ。魚の子はみんな大好物だ。

子供の頃は「死ぬ前に食べたいもの」と聞かれたら「たらこご飯」と即答していたし、今でも回転寿司ではとびっこ軍艦を注文し続けるほど魚卵に目がない。

私の住むドイツでは残念ながら魚卵にありつけることは少ないが、いつでも手軽に魚卵が手に入る国がある。スウェーデンだ。それも、チューブ入りのたらこが。

スウェーデンのたらこチューブが好きすぎるので、いろいろ買って食べ比べてみた。

1986年東京生まれ。ベルリン在住のイラストレーター兼日英翻訳者。サウジアラビアに住んでいたことがある。好きなものは米と言語。

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たらこチューブを求めてスウェーデンへ

今年の6月末に、夫の妹家族に会いに行くためにスウェーデンに行った。

スウェーデン南部にあるルンドは、ベルリンからは電車で10時間ほど。

デンマークを経由する大回りのルートなので、距離的には約830km。大体東京から札幌までの距離なのだが、電車が古いのか線路が悪いのか、とにかくゆっくり進むのでむちゃくちゃ時間がかかる。

map berlin lund.jpg

コペンハーゲンで乗り換えて、
いつか記事にも書いたオーレスン橋を渡ってスウェーデン側へ向かい、
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やっとのことでルンドに着いた!

もちろん姪っ子たちに会うのが一番の目的だったが、今回のスウェーデン旅行で楽しみにしていたことがもう一つある。

それは、たらこチューブを買うことだ。

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そうそう、君に会いたかったのよ!
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ロシアで出会った、スウェーデンのたらこ

私は無類の魚卵好きである。両親の実家が北海道であることもあってか、子供の頃からたらこやいくらが死ぬほど好きで、毎日でもたらこご飯を食べたいと思っていた。

残念ながら私が住むドイツでは魚卵がなかなか手に入らないのだが、実はスウェーデンでは手ごろにたらこが買えるのだ。それもチューブ入りの。

日本のたらこを期待して食べるとちょっとびっくりする味だが、 私はこのスウェーデンのたらこチューブが大好きである。

チューブからにゅーっと出してパンに塗って食べます

たらこチューブとの出会いは、1980年後半のソ連。幼少時代の3年ほど、モスクワに住んでいた時だ。

当時、モスクワには外国人だけが買い物をできるスウェーデン系スーパーがあったのだが、そこで手に入れたたらこチューブで母がたらこスパゲッティを作ってくれていたのだ。

また余談だが、ロシアの魚卵と言えばキャビアである。私たちが住んでいた頃はキャビアがめちゃくちゃ安かったそうで、パンが真っ黒になるぐらいキャビアを乗せて朝ごはんに食べるという大富豪みたいな生活をしていたそう。今では考えられない話だ。

母に「キャビアの写真ある?」と聞いたら送ってくれた写真。当時、小さな瓶は150円ぐらいで買えたらしいが、中心の量り売り(!)で買ったキャビアの量が半端なくて脳がバグる。蕎麦ちょこにキャビアが入っているのも非日常的だ
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たらこチューブの歴史

さて、話をスウェーデンのたらこチューブに戻そう。

スウェーデンのたらこの歴史は19世紀に遡る。1800年代までは塩漬けにして食べられていたたらこは、1910年頃にオイルを混ぜたよりマイルドな味のペーストにして食べられるようになったそう。

そして1940年頃にはたらこをスモークするようになり、1954年に初めて売り出されたチューブ入りの燻製たらこペーストが現在のたらこチューブの始まりだそうだ。

それ以来、色々な会社がチューブ入りたらこを作ってきたが、やはり最も有名なのが元祖たらこチューブを開発したAbba社の「カレス」だ。

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ちなみにカレスのパッケージに描かれた男の子は、当時6歳だったAbbaの社長の息子、カール君だそう。カールのあだ名がカレなので、たらこペーストもカレス・キャビア(カレ君の魚卵)となった。

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パッケージのデザインは昔からほとんど変わらないそう

現在ではオリジナルに加えてマイルド、ライト、ヴィーガン、ゴールドなど8種類のカレス商品が出ているらしく、 今でも人気が絶えないようである。

ちなみに1980年には箱タイプのカレスが売り出されたそうが、子供に人気がなかったため廃止されたそうだ。やはりチューブに入っていることもカレスの魅力の一つなのだな。

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チューブ王国、スウェーデン

カレスは海外のIKEAでも取り扱われていたらしいが、最近ドイツのIKEAでは見かけない気がする。

希少なたらこチューブをゲットするために、ドイツに帰る前にスーパーに行くことにした。

ルンド駅前のスーパー。たらこチューブは要冷蔵なのでドイツから保冷剤も持ってきたぞ

冷蔵商品のエリアに向かうと、そこには山のようなチューブ商品や魚加工品が待ち構えていた。

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真ん中の下4段と上1段がチューブで埋め尽くされている

缶詰や瓶詰めの魚の加工製品の量ももちろん豊富だが、こんなに多くのチューブ入りの食べ物を売っている国は見たことがない。

アルミ製チューブといえば軟膏とか接着剤とか、あまり食べ物を連想させない入れ物だが、スウェーデンでは食品でこんなにも活躍しているとは驚きである。 

よく見るとたらこだけではなく、サバやニシンもチューブ入りになって売られているようだ。パッケージも色々あって目移りしてしまう。

デザインがかわいくて思わず買ってしまった
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ヴィーガンものも色々あるぞ

いつもは王道のカレスのたらこチューブだけを買っているのだが、今回はせっかくなので何種類か買ってみることにした。

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左上のカレスのオリジナルを含めて6種類手に入れた

これを帰って食べ比べしてみよう。

⏩ 魚チューブを食べ比べ

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