出奔!ハンモックがある一室
縁もゆかりもない町のアパートの一室をAirbnbで借りて生活をするというのが本企画の趣旨である。
泊まる場所はどこでもいいということだったので、近隣で一番栄えている熊本市の中心部に宿を取った。
田舎暮らしが長いからアーバンライフに憧れを抱いているのだ。
より都会人気分を高めるために、日中の仕事が終わってから家に帰らず直接宿に向かうことにした。
職場は宮崎にあるので熊本市内まで2時間少しかかる。都市部の人は通勤に1時間も2時間もかけると聞いたことがあるのだ。ぜひそれを体験しておこう。
おれは都会人、おれは都会人、おれは都会人、自己暗示をかけながら車を転がす。
しかし2時間は長い。でも今日はその長さが誇らしいぞ。
特になにも起きず、するーっと宿のある街についた。受付を済ませて中に入る。
臆することなく言おう。この部屋、めちゃくちゃ好きだ。
ホテルみたいに無機質じゃないし、かと言って過度な人ん家感もない。俺だけの秘密基地!という感じがしてとても気に入った。
天井が高い。ベランダから人間の姿が見える。壁紙がセブンイレブンみたいでかっこいい。ソファがある。偉い人間になった気分さえしてくる(ソファは貴族のものだと聞いて育ったので)。
なによりハンモックがあるのがいい。自分ではぜったいに買わないものだし。
何をどうやっても罠に掛かった動物みたいになるから不思議だ。
普通に生活する
都会に住んでいる人の何が羨ましいかって、徒歩圏内にたくさんのお店があることだ。
普段の自分は家に帰ってもだらだらするだけだが、今日はここの住人になりきって町を歩いてみようじゃないか。
宿は川のそばにあるので、川べりを歩いて栄えている商店街に向かうことにした。
グーグルマップを見ると川のすぐ横を歩いているはずなのに、城塞都市のように壁が高くそびえていて何も見えない。
壁伝いに歩いていると外側に続く階段を見つけた。カタルシス、いざ。どんな川が見えるのか。
階段は三段で終わって壁だけがあった。せちがらい。
しばらく歩いていると川がちゃんと見える場所に出てきた。水面には川沿いの建物が映り込んでいる。流れは穏やか、澄んでも濁ってもない。う~ん、普通の川だ。