特集 2025年7月10日

新幹線のアイスのあの硬さを復活させたい

新幹線の車内販売のアイスといえば、ものすごく硬いことでおなじみだ。

その硬さは、買ってからしばらく待たないとスプーンが刺さらないほど。とけるのを待つ時間は、新幹線に乗る楽しみの1つでもあった。

しかし、その車内販売は2023年10月に終了。
今はホームの自販機と通販だけの販売なのだが、実はそれらはそんなに硬くないということを知ってしまった。

あの硬さと旅の味わい、どうにかして復活させたい。

1984年岐阜県生まれ。日常のちょっとした工夫でできる楽しい遊びと、街のコネタを見つけるのが好き。妻が世界一周旅行に行っていた。(ライターWiki

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通称「シンカンセンスゴイカタイアイス」

こちらがその、新幹線の車内で販売されていたアイス。スジャータでおなじみのめいらくグループが作っているものだ。

正式な名前は「スジャータ スーパープレミアムアイスクリーム」なのだが、その硬さから、SNSなどでは「シンカンセンスゴイカタイアイス」と呼ばれている。

JR東海の通販サイトを見たら、今や本家もその通称で販売していた。

そんなシンカンセンスゴイカタイアイスだが、最初に書いたとおり、実は自販機や通販で売っているものはそこまで硬くない。

そのことに気づいてしまったのは、もともとやろうとしていた企画の影響だった。

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きっかけは企画だおれ

解凍プレートというものをご存知だろうか。

これです

熱さや冷たさを吸収しやすい金属でできた板で、冷凍保存していたお肉なんかをこれにのせると素早く解凍ができて、料理の時間を短くできるという便利グッズだ。

冷凍庫から出したばかりの氷が1分でここまでとける(右は同じタイミングで黒い画用紙に置いたもの)

僕は最近これを知ったのだが、真っ先に思い浮かんだのは「新幹線のアイスすぐ食べれるじゃん」ということだった。

東京駅のホームの自販機でアイスを買って新幹線に乗り、席についたらすぐ解凍プレートにのせる。そうしたら、あの硬いアイスが東京ー品川間で食べきれちゃうかもしれない。

楽しそうでもあるし、ぜひチャレンジして記事にしたいと思った。

「見た目もiPadみたいでスタイリッシュだし、うまくいったらこれ持って新幹線乗る人増えるのでは?」とまで思っていた。

解凍プレートを買い、編集担当の石川さんに撮影のお願いもして準備は万端。

あとは、当日バタバタしないよう下見をしておこうと思い、東京駅で入場券を買ってホームに行ってみると、

確認よし!

自販機も無事に見つけることができた。
これでひと安心。

のはずだったのですが、
せっかく来たんだしアイス食べて帰るかと思ったところ、

おや!?
ソンナニカタクナイアイス…

カツンとはね返されるはずのスプーンが苦労なく刺さり、普通に食べれてしまった。

新幹線に乗るときの新たな持ち物が生まれるほどの発見をするはずが、見事な企画だおれ。

まだ寒い3月のことでした。

ショック!このまま博多行き飛び乗っちゃおうかな!
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あの硬さを取りもどしたい

なんとか博多行きを思いとどまった帰り道、頭に浮かんでいたのは「記事どうしよう」よりも「あの硬いアイスもう食べれないんだ」ということだった。

たまにのことではあったけど、あの旅の醍醐味がもう味わえないと思うとさびしい。

ホームの売店でも売っていたので期待したけど、こちらも食べやすいアイスだった。

一方、アイスを冷やして硬くするのって、冷凍庫と氷をつかえば僕でもできる気がする。

ならばやってみよう。
硬いアイスを復活させて、新幹線車内の電光掲示板のニュースに号外をだそう。

さっそく通販で3つの味のセットを注文した。ちょっといいアイスが箱で届くとお中元みたいでうれしい。
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アイスを氷漬けにする

まず、よく冷えそうな金属のボールに氷を入れて、そこにアイスをセットする。

(すごい冷たくておいしそうだけど今は我慢…)
その上に氷を追加し、アイスを氷漬けにする
そこに、氷の温度がさらに下がると聞いた塩をかけて、
強さをMAXにした冷凍庫に入れる。
扉を閉めたとたん、冷凍庫が聞いたことない激しさでうなり始めた。普段なら心配になるけど今日は頼もしい。

こうして準備を終えたのが朝の9時。冷凍庫にはそのまま夕方の6時まで、サラリーマンの定時のように働いてもらった。

それだけたっぷり冷やし、取り出したのがこちら。

パッと見はあまり変わらないが、よく見ると氷どうしがくっついて大きなかたまりになっている。

これは中のアイスがしっかり冷やされている感じがする。いいぞいいぞ。

家にあるたこ焼き器についていた、ひっくり返すためのピックで氷をくだいていく。
まるで氷河期の氷の中からアイスを発掘するかのよう。自分で入れたものなのに「わっ、出てきた!」とうれしくなる。

そしていよいよ取り出してみると、カップの表面にはたくさんの霜がついていた。

これはもうキンキンに冷えた状態と言っていい。硬さへの期待を高めながら食べてみると、

スコシダケカタイアイス…

そこにあったのは、ふだん冷凍庫で保存しているものと何ら変わらないアイス。スプーンを刺すのにすこし力はいるが、それ以外は普通に食べやすかった。

恋愛ドラマで、登場人物が「あんなにやさしくしてあげたのに」と上手くいかなさを嘆くシーンがあるが、今はその逆。

「あんなに冷たくしてあげたのに…」という初めての気持ちになった。

⏩ ドライアイスという光

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