酒=悪の時代がすぐそこに……
パリ:
現在(2021年4月24日)、僕の住む東京は昨年から数えて3回目の緊急事態に入りそうな感じです。
ナオ:
私は大阪に住んでいるんですが、大阪も同じタイミングで緊急事態宣言の対象に。というか今、大阪が一番大変なことになっているような状況で。
パリ:
ですねー……。まだまだ不安な日々が続きそう。
ナオ:
ついにもう、飲食店での酒類の提供が禁止になると。
パリ:
いや〜……。としか言えませんね。
ナオ:
居酒屋さんが困ってるみたいなニュースも多くて胸が痛みます。
パリ:
僕らお酒が好きで飲食店が大好きで、ずっとそういうことをテーマに原稿を書かせてもらってきたので、それを仕事にしてる身としても虚しさが募るというか、根本的解決策になるのかな? って気がしますが、飲み屋を経営してる人についてはもう、本当にきついでしょうね。商売的にも、気持ち的にも。
ナオ:
そうですね。かつてこんなに酒が追い込まれたことあったでしょうか! 私がよく行くほぼ年中無休のお店も、さすがに今回は閉めるしかないみたいです。しかも閉めても補償は全然足りない感じだそうで。どうすんのほんと!
パリ:
そもそも、複数人でマスクなしで会食をして飛沫感染することが問題なのであって、カフェでのランチ会食なんかでも危機感がなければ危険性は一緒ですよね。最近はどんな小さな場末の酒場でもきっちりと感染対策して営業してるし。
パリ:
まぁ、酒は飲みすぎると気がゆるむのは確かにあるんだけど、やっぱり酒類提供禁止よりも「マスクをしないで会話をするのを禁止しましょう」のほうを積極的に啓蒙したほうがいい気もしたり。
ナオ:
そうそう。ただ、お酒ってちょっと立場が弱いですからね。
パリ:
そうなんすよねー。
ナオ:
「飲みたいんだ!」っていう主張にちょっと(笑)がつくみたいなさ。
パリ:
ネットのニュースに対して、酒が好きじゃない人なんだろうけど、「なんでそこまでして飲みたいの?」みたいなコメントもけっこう見ません?
ナオ:
見ますね。最近は。
パリ:
でもさ、その人の趣味が例えばゲームだったとして、我々は「なんでそこまでゲームしたいの?(笑)」とは言わないですよ。
ナオ:
はは。そうですね。むしろ自分に置き換えると気持ちがわかるからね。めっちゃくちゃがんばって山に登ったあとに銭湯に入るのが好きっていう人に「意味わかんないです」とは言わないし。
パリ:
はは。「それなんの意味があるの?」って。鬼ですよ。
ナオ:
まあね、酒はどうしても「酔い」という効能があるので、それで危機管理がルーズになると。あとそう、今回はもう「野外飲み」「路上飲み」も慎むべきものとされてね。ついにというか。
パリ:
そうそう。
ナオ:
チェアリングなんかまさに最初は「野外飲みの楽しさの発見!」みたいな感じだったじゃないですか。ずっとマナーには気をつけてきたつもりだけど、ちょっと今は厳しいかもしれないですね。
パリ:
本当、いくら気をつけても、「チェアリングは悪!」みたいな風潮になりかねませんね。つーか、なってきてるんだろうな、もう。
ナオ:
ちょっとこれは、酒についてあらためて考える機会ですね本当に!
パリ:
ただ、酒には本当に幸せな面もあるから。
ナオ:
うんうん。
パリ:
というわけで、取材したのは少し前ながら、これから「酒場に飲みに行った記事」を書こうとしているという。パンク行為とも言える。
ナオ:
ははは。でも、しみじみと居酒屋さんのありがたさがわかるタイミングでもありました。
パリ:
ですね。まぁ、友達とワイワイ飲むのは最高に楽しいけど、ひとりでゆるりと飲めるだけでもありがたい。
東京「銀座らん月 利き酒処 酒の穴」でパリッコが飲む
ナオ:
一応前置きとして、取材はそれぞれひとりで行ってきて、そしてお互いサクッと短時間で飲んで、注文時ももちろんマスクしてって感じの取材だったことをお断りしておきます。
パリ:
ですね。あ、で、今回は何をしてきたかというと、東京と大阪にそれぞれある「酒の穴」って店で飲んできて、報告会をしてみようと。
ナオ:
うん。パリッコさんが行ったのは?
パリ:
実はナオさんと一緒に、大阪の酒の穴には行ったことあるんすよね。そこはまさに大阪な感じの、超お手頃な大衆酒場。
ナオ:
ね!
パリ:
対して、今回僕が行ったのは、なんと銀座。
ナオ:
出た銀座! 私は銀座の酒の穴には行ったことがないんですが、あると小耳に挟んだことはあって、どんな店か気になっていました。
パリ:
銀座に「らん月」という、すき焼き、しゃぶしゃぶ、かに料理、懐石料理の有名店があるんですよ。そのビルの地下1階にある、「らん月」系列の居酒屋が「唎き酒処 酒の穴」。
ナオ:
「唎き酒」の「唎き」が難しい。
パリ:
そしてそもそも唎き酒の才能がないから、今まで縁がありませんでした。
ナオ:
「すき焼き、しゃぶしゃぶ、かに料理」って、上がもうすごい贅沢だから、下もやはり贅沢な店なのかな?
パリ:
結論から言うと、贅沢です。
ナオ:
はは。やっぱり贅沢か!
パリ:
このエントランス、今回みたいな機会がなくて入っていけます?
ナオ:
うおー! これはちょっと身がまえますね。看板の文字がどっしりしている。
パリ:
よくかっこつけて「酒場には下調べなしでいくのがいいんだよ」なんて言ってるけど、それは大衆酒場限定。ここは、さすがにホームページ凝視してから向かいました。
ナオ:
はは。とにかく価格帯だけは知りたい。
パリ:
ただですね、それで判明したのが、料理やお酒は、それこそ我々がよく行くような店の倍くらいの値段するんすよ。だけど、絶対にその価値があるいいものを置いているお店という感じ。まぁ、銀座ですしね。ただ、ランチがかなりお得らしいと。
ナオ:
そうなんだ! ランチがあるのか。
パリ:
なので、ランチタイムにおじゃましました。といってもランチタイムは16時までとけっこう余裕があって、お刺身定食とか、もちろんらん月の経営だから、すき焼き丼とかある。そんななか僕が選んだのはですね、もう、いったん見せちゃおう。
パリ:
ビールは単品で追加したものですが、なんとこの豪華さで、1250穴なんですよ! お得じゃないですか?
ナオ:
すごい! 豪華だなー! って、「1250穴」ってなんですか。穴?
パリ:
この店の通貨単位ですね。
ナオ:
はは。独自の通貨。
パリ:
ちなみに、1穴1円となっております。
ナオ:
なら計算しやすいから安心! 「1250ケツ」って読むんですか? 「1250あな」かな?
パリ:
しまった。読みかたは聞きませんでした。メニューじゃなく冷蔵ケースの酒を指差して「あれはいくらですか?」って聞いてみればわかったのかな。普通に「940円です」って言われたら笑うけど。
ナオ:
何度も「え? 何? 穴?」と聞き返された経験から。
パリ:
ただここ、穴感には相当なこだわりというか徹底を感じまして、
パリ:
もう自分たちのことを「穴人」と呼んでいるんです。だからきっと、円じゃなくて穴で通してくれる気がする。
ナオ:
やばい。もう地底の独立国なんですね。
パリ:
酒の穴なんですよまさに。
ナオ:
「けつじん」かな? 「あなじん」かな?
パリ:
「あなんちゅ」?
ナオ:
「アナリスト」みたいなダジャレ方向もあり得る。
パリ:
わはは! ちなみに、フロア担当のアナリストたちは基本女性で、みんな着物をピシッと着てて、カウンターには等間隔で、
パリ:
がある。
ナオ:
すごいなー! お燗を付ける機械なんだ。お店の方を呼ぶチリンチリンかと思った。
パリ:
はは。それが2個必要なほど、客の酒がなくなってることに気づいてくれないタイプの店じゃないです。むしろチリンチリン必要ない系。で、あらかじめランチメニューを見ていたので、ミックスフライかな〜? それともお好みランチかな〜? なんて考えてたんです。どれも魅力的かつお手頃でしょう?
ナオ:
うまそうー! というか「sakenoana.com」ってURLは、この店のものなんだ。
パリ:
ははは。いいドメイン先に取られてる。で、現地でメニューを見たらですね、他にもいくつかのメニューがあって、けっきょく僕が注文したのは、「穴丼」です。
ナオ:
穴子丼? 穴丼?
パリ:
穴丼です。メニューに「穴丼(酒の穴の丼)」って書いてあって、それ以外の選択肢が一気になくなった。ちょっとジブリアニメのタイトルみたいな。
ナオ:
本当だ! 「風の谷のナウシカ」のリズムですもんね。「酒の穴のドンブリ」。ギャップがすごいけど。これはちなみに何穴?
パリ:
1250穴です。そして、とてもそんな値段とは思えない豪華さで!
パリ:
ご飯の上に、牛すき焼き、豚の炭火焼き、マグロ、鯛、小柱の刺身が乗ってて、
パリ:
これをがーっとかっこむ。超上品な味わいなんだけど、肉のおかずにはパンチがあって。
ナオ:
すごいな。ゴージャス! 海鮮丼であり牛丼であり豚丼でもあり。アース丼というか。
パリ:
加えてお漬物、味噌汁。さらに、サイドががひとつ選べる。ちなみにこの日の選べるサイドメニューはこんな感じでした。
ナオ:
サービス満点ですね。こういう、選べるの楽しいですよね。
パリ:
ね! 僕は刺身を選んで、あとで「あ、しまった、丼にも刺身乗ってるからかぶっちゃった!」と思ったんだけど、
パリ:
ちゃんと丼に乗ってないのを出してくれて泣けました。むちゃくちゃ飲めるでしょう? この内容。
ナオ:
そしてここで刺身選ぶっていうのもまたパリッコさんらしくておもしろい。チョイスに個性が出そうじゃないですか?
パリ:
ナオさんならどれでした?
ナオ:
冷やしキス天そばかな! だってそばが増えるんでしょ? 最高!
パリ:
ははは。柔道部員?
ナオ:
いやーそばには弱くてね。
パリ:
僕は豆富と竹の子の揚げ出しと迷ったんですが。
ナオ:
これ、飲みに行ってるんですよね? 美味しいご飯を食べに行った話じゃなく。
パリ:
そう。これをつまみに最初はビールで始めて、せっかくだから日本酒も飲みたかったんです。だから、完全につまみ目線で選んで。
ナオ:
そうかそうか。刺身を選んだのも、おつまみを増やすという意味での選択だ。
パリ:
そうなんす。で、ビールの次の日本酒。そこで何を頼んだかというと、
ナオ:
え! オリジナルのお酒が!
パリ:
そうなんです! その、大吟醸じゃなく純米のほうを。
パリ:
酒の穴が酒の穴で酒の穴を飲んでいるという状態。
ナオ:
すごい!
パリ:
酒の穴、すっきりと上品な美味しさでしたね〜。とまぁ、こんな機会でもなければ積極的に行くタイプの店ではなかったんですが、すごく満足しました。酒の穴最高!
ナオ:
ランチ飲みしに行ってみたい。
パリ:
あ、あと、帰りに気づいたんですが、
パリ:
酒の穴の意味も判明してしまいました。意外と親しみやすい内容。
ナオ:
素晴らしい! 今まさにっていう感じのフレーズですね。1文字目から「さんざん」だもんな。
パリ:
日々さんざんな目にばっかりあってるから。
ナオ:
酒の「さ」は「さんざん」の「さ」なのか。
パリ:
ははは。そうだったんだ。で、最後の「なにはともあれ元気で」が、投げやりっぽいようで、でももうそれしかないっすよね。
ナオ:
はい。元気がいちばん。
パリ:
銀座の酒の穴、良かったっす。
ナオ:
行ってみたくなりました!
大阪「酒の穴」でスズキナオが飲む
パリ:
大阪の酒の穴のほうは、実はずいぶん前にナオさんと一緒に行ったことあんるすよね。けど、ハシゴ酒でけっこう酔っぱらってた時だったので、記憶がおぼろげで。
ナオ:
いやー大阪の酒の穴もまた素晴らしい店ですよ。新世界、通天閣の近くにあります。
パリ:
ザ・大阪な感じの。
ナオ:
JRの新今宮駅という駅が近いんですけど、ホームから見える場所に星野リゾートのでっかいホテルが建っているところで。
パリ:
へー。
ナオ:
しばらく空き地で、そこでたまにのんびり測量してる人がいて、このままずっと空き地ならいいのにって思ったんですが、久々に行ったらだいぶできてました。
ナオ:
ものすごい巨大。
パリ:
写真だと規模感がわからないくらいですね。
ナオ:
このホテルが建って、町もこれから少しずつ変わっていくらしい気配があって。
パリ:
僕が何度か行った時もすごいパワーに圧倒されたけど、それでも昔とはずいぶん変わったと、昔を知ってる酒飲みの先輩がたが言ってたな〜。
ナオ:
そうですね。自分としては日常的に来る場所というよりはたまに飲みに来る感じなので勝手な言い分になってしまうんですけど、もともといる人のいやすい場所であってほしいところです。
パリ:
ですね。居場所がなくなって追いやられる人がひとりでも少ないように。
ナオ:
そうそう。
パリ:
それで言うと大阪の「酒の穴」なんか、まさに居場所にしている人が多そうな店ですよね。
ナオ:
ですね。
パリ:
おおー! やっぱいい佇まいだ。
ナオ:
ただ、まだお店が開いてなくて。
パリ:
あら。ここは何時からでしたっけ?
ナオ:
以前は10時からだったのかな。それが今は11時からになっていました。なのでちょっと時間潰そうかと、
ナオ:
この有名な国際劇場を見たりして。
パリ:
わはは。すごいな「バカ地獄編」?
ナオ:
「エスケープ・ルーム」めちゃくちゃ見たくなりません?
パリ:
見たすぎる。って、今調べてみたら最新の映画なんですね! 公式サイトのどこにもバカ地獄編なんて書いてないぞ。
ナオ:
ははは。勝手に言ってるだけという。
パリ:
最高。「ZOOM 見えない参加者」ってのもなんなんだ。こわ!
ナオ:
通天閣が建っているふもとに、
ナオ:
ドレミという喫茶店があるんです。
パリ:
いい雰囲気ですねー。
ナオ:
前に5、6個コレクションでここのマッチを見せた気がする。
パリ:
覚えてます! いい絵だなー。
ナオ:
私はこの絵が好きすぎて、本当に自分で自分のためになんですが、勝手にTシャツ作ったほどなんです。
パリ:
わはは! やばい。
ナオ:
そのドレミで一休みすることにしまして。
パリ:
酒飲む前にコーヒー飲む。あんまやんない行為だ。
ナオ:
目をパチッと覚ましてから、酔う。でもメニューを見たら結構お酒があるんですよ。
パリ:
ほんとだ! コーナー名が「ワイン」ですね。
ナオ:
ははは。気づかなかった
パリ:
なのにワインないし。
ナオ:
「お酒」みたいな意味の「ワイン」? 謎です。
パリ:
ハイカラな酒はみんなワインと呼ぶみたいな時代があったとか?
ナオ:
調査が必要ですね。で、ほら、こういう「山菜スパゲティ」とか最高じゃないですか?
パリ:
わかる。食べましたか?
ナオ:
いや、これから酒の穴だしなーと、今回は食べませんでした。しかし帰りにサンプルだけは見ました。
パリ:
地味で最高。
ナオ:
絶対美味しいでしょ。こういう「山菜〇〇」みたいなものに最近すごく惹かれるんですよね。でも、好きなのに山菜ってよくわかってない。
パリ:
わらび、こごみ、ぜんまい、とか。どういう奴なんだ彼ら。
ナオ:
この年齢になって無性に気になるようになってきてるんだよなー。いずれ山菜飲みについても掘り下げたいですね。
パリ:
楽しそうです!
ナオ:
で、くら寿司の看板がこんな風に立体になっていておもしろいなーとか。
ナオ:
これは玉置標本さんが以前取材していたシチューうどんの「あづま食堂」。この日はお休みでしたけど。
パリ:
あー! ここでも前一緒に飲みましたよね。シチューうどんうまかった。
ナオ:
で、ようやく!
パリ:
開店待ちするようなタイプの店じゃないっすけどね。
ナオ:
でも、私の前にひとり女性が待っておられて、その方が先だったのに店が開いたら「こういう時は若い人から入らなきゃダメ!」って謎の頑固さで譲らないの。
パリ:
あぁ、大阪的な良さだな〜。
ナオ:
なので、私がこの日の最初の穴人となりました。
パリ:
はは。ファーストアナリストに。
ナオ:
けっこうすぐに常連さんらしき方々で席が埋まっていって、さすがの人気店でした。なのでとにかくサッと飲んでスッと帰ろうと。
ナオ:
壁全体に色々メニューが貼ってあって、もう全貌はおさまらない。
パリ:
たまらん!
ナオ:
感じてください!
ナオ:
チューハイが310円で、私はここの「ふぐ皮」が好きなんです。270円。
パリ:
あーもう! これこれ! 銀座もいいけどやっぱりこういうのが落ち着くなー!
ナオ:
いいですよね。あと、ちょっと角度的に見づらいのですが、
パリ:
オリジナル! ほしいな〜。っていうか我々のプロフィール写真にしたいですね。
ナオ:
はは。まるで私たちのようにも見えるっていう。おこがましいけどさ。
パリ:
今はまだあんなに立派なビールじゃないけど、いつかはきっと! という意味もこめてね。
ナオ:
いつかキンキンの生ビールになるんだ!
パリ:
今はぬるまった第三のビールだけど。
ナオ:
ははは。そこから生ビールになれるのかな?
パリ:
なれますよ! だって、
ナオ:
そうだった。けっして諦めないんだった。
パリ:
何はともあれ元気でいれば。
ナオ:
そして私の隣、ついたての向こうに、さっきの開店待ちしていて「先に入って!」といって譲ってくれた方がいたんですが、その人がお店の方に「ここのおでんの大根、おいしいー! 私、こんな汁まで飲むことないのに、もう1回おかわりしてもいい?」というようなことを言っていて。
パリ:
なんかもう、泣けちゃいますね。
ナオ:
波紋のようでしょ!
パリ:
はは。大根から波紋が!
ナオ:
美味しい大根を池に投げたらこうなるっていう。
パリ:
ポチャーン! という音が聞こえてくるよう。粋な1皿ですね〜。
ナオ:
大阪の関東煮っぽい、甘じょっぱいダシで最高でした。汁も飲んじゃう味です。あと、ここ「酒の穴」の名物といえばこの、
ナオ:
なんです。
パリ:
出た! 看板にもでかでかと書いてある。
ナオ:
これが大好きなんですよ!
パリ:
いわゆる中華屋で出てくるのとは違う、シチューうどんにも近い優しさを感じますね。
ナオ:
そうですね。サラッとしていてね。ちゃんと食べごたえもあって220円。
パリ:
やしー!
ナオ:
具材を数えたら、ちくわ、にんじん、たけのこ、かまぼこ、しいたけ、キャベツ、ねぎ、豚肉、じゃがいもと、「八宝」どころじゃない。
パリ:
素晴らしい。
ナオ:
あと汁も要素に加えたい。
パリ:
10宝菜だ。
ナオ:
ははは。語呂もいい。
パリ:
すべてが宝物ですもんね。
ナオ:
あるいは8を横に倒して「∞宝菜」。読み方わからないですけどね。
パリ:
わはは! 「関ジャニ∞」にあやかって「宝菜∞」もいいな。
ナオ:
「ポーサイエイト」。かっこいい。
パリ:
これから酒の穴の八宝菜のことはそう呼びましょう。
ナオ:
そうしましょう! そして2杯目のチューハイをお願いし、
ナオ:
この前ほら、昆布酒でカニカマをカニ化させたじゃないですか。あれ以来、本当のカニがどんなだったか気になっていて「かに身」320円を!
パリ:
やっす〜。
ナオ:
三杯酢でいただいて、美味しかったなー。あと鉄板でぎゅーっと焼く
ナオ:
も最高でした。これは2本で270円。
パリ:
今すぐ行きたい。
パリ:
銀座と大阪、まったく方向性が違うけど、どっちも良すぎましたね。
ナオ:
そうそう! 自分で値段のことばっかり言ってしまってなんなんですが、最近思うのは、値つけにも理由があるじゃないですか。土地とか店のスタイルとか。
パリ:
うんうん。今回の2店なんかとくに対照的だし。なのにどっちも同じ店名をつけてるのもおもしろい。
ナオ:
300円のチューハイが愛される土地もあれば、600円でチューハイを出して愛される店もあって、別にどっちにも優劣はないというか。銀座の酒の穴があの値段のランチを出している努力はすごいし、大阪の酒の穴のサービスもやっぱりすごい。どっちもいいですね。トイレが繋がってたらおもしろいのになーって。
パリ:
次元が歪んでて。
ナオ:
我々が酒のゲームを作るならそうするでしょ。新世界編と銀座篇。
パリ:
はは。行ったり来たりしながら謎を解いていく。
ナオ:
楽しそう。とにかく今回、酒の穴があらためていい店だなと思って。お店の方も本当に優しいんです。「こういう店が無くなったら嫌だ!」と強く思いました。
パリ:
こちらもです本当に。状況を見つつ、また飲みに行きましょう!