特集 2024年3月5日

パチンコ店に併設されている食堂のラーメンばかりを食べ歩く

私は普段、パチンコをしないのだが、街を歩いているとパチンコホールをたくさん見かける。そしてその前を通り過ぎる際、たまに、パチンコ店の店舗に併設されている食堂というか、レストランがあるらしいのが目に入る。

中には、ラーメンやカレーがかなり安い価格で提供されているらしい店もある。

パチンコに縁がないからこれまで入ったことはなかったのだが、そういう場で提供されているラーメンを食べてみたいと、ふいに思ったのである。

大阪在住のフリーライター。酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。1,000円以内で楽しめることはだいたい大好きです。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーとしても活動しています。(動画インタビュー)

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私のパチンコ体験談

これまでに二度、パチンコをしたことがある。一回は両親の実家がある山形でのことだ。学生時代に両親と一緒に帰省した際、母の実家に何日か泊めてもらった。

昼間に親戚たちとみんなでお茶を飲みながら雑談していた中で、母の実家に住んでいる叔父が、最近になって近所に大きなパチンコホールができたと教えてくれた。「すばらしく大きな建物なんだー。すぐそこだから見てきてみろ」と言う。

その日、夕飯の時間まで特に予定もなかったので、散歩がてらそこに行ってみることにした。一人で行ったのか、父も一緒だったか、少し記憶がおぼろげだが、私は18歳か19歳か、そんな年齢で、パチンコ店に入る権利は有していた。

何をどうしていいのかわからぬまま、数千円を元手にしてやってみて、球がピョンピョンとはじき出されるのを見ていたらフィーバー的な状態になったらしく、それがしばらく続いて、どうやら私は当たったようだった。

元手を差し引いても5千円ほど勝って、帰ったらみんなにわーっと褒められたのを憶えている。

それで気をよくして、もう一回、今度はパチンコに詳しい幼馴染と、東京の地元のパチンコ店に入った。その時は一回目よりももっと本腰を入れて、長い時間やって、私を含めて三人いた中で、私だけが勝った。近くの中華料理店に入って、その勝った分でみんなの食事代を支払った。

立て続けに勝って、逆に怖くなった。ビギナーズラックという言葉もよく聞くし、パチンコに詳しい幼馴染から、勝つこともあればめちゃくちゃ負けることもあると聞いていたので、勝負事に向き合う根性が足りないことがわかっていた私は、そこで自分の一生分のパチンコ運を使い果たしたと判断し、以降、近づかないことにしたのである。

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とはいえ、気にはなっている

パチンコと縁のない人生を歩んできたとはいえ、周りの友人はよく「最近こんな機種があって、めちゃくちゃアツいよ!」などと語っていたし、「面白そうだなー」とはいつもうっすら思っていた。というか、街の中にあんなにたくさんあるものについて、こんなにも知らないままでいていいんだろうか。

でも私は自分を律する力がめちゃくちゃ弱いので、ハマり過ぎたらきっとやばい。それで、パチンコを薄目で見るようにしていたのである。しかし、まったく気にならないわけではない。

と、そんな自分なのだが、たとえばこの画像を見て欲しい。

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以前、パリッコさんと「酒の穴」として書いた記事の中の写真

「川の駅 あづま家」を目指し妙典の街をふらり旅」という記事の取材で、パリッコさんと千葉県市川市の妙典を歩いた際に撮ったものである。

二人ともお腹が減っていて「どこかで何かを食べましょう」と話しつつ妙典駅前を歩いていたら、パチンコホールの壁に大きな看板がかかっていて、「カレーライス 醬油ラーメン 各¥290(税込)」とあった。

なるほど、大規模なパチンコホールにこのように食堂・レストランが併設されているらしいのはなんとなく知っていたが、こんな風にかなりのサービス価格で食事ができるところもあるのだな。「この醤油ラーメン、シンプルで美味しそうだな」と印象に残った。

そしてこれ以来、パチンコ店に併設された飲食店の存在がなんとなく気になっていた。パチンコはしないとして、そこに行って食事するぐらいならいいのではないか。そこにどんな世界が広がっているのか、知ってみたい。そのような前段があって、今回、思い切って行ってみることにしたのだ。

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実際に食べに行ってみる

それから、出かけた先でパチンコ店を見かけたら店内をチェックするようにしてみたのだが、どうやら、私が思っているような飲食店はどこにでもあるというわけではないのがわかった。

私は、パチンコの台がずらっと並んでいるスペースの端に飲食できる場所が設けられているのをイメージしていたのだが、必ずしもそうではなく、ホールの建物の中に飲食店が併設されていたり、駐車場の一角に飲食店があったり、色々なパターンがあるらしい。そして、飲食店が併設されているのは大規模なホールに限られるようだった。

そこで今度は事前にちゃんと調べた上で、大阪・新今宮駅に足を運んだ。JR新今宮駅の東出口を出るとすぐ、パチンコホールの「マルハン」と量販店の「ドン・キホーテ」が入った大きな建物が見える。

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新今宮駅を通天閣方面に出るとすぐ見える巨大な建物

このマルハンには飲食店が併設されているらしい。建物に向かって左側がマルハンで、右側がドン・キホーテになっていて、二つのちょうど真ん中あたりに、マルハンが運営する「ごはんどき」という飲食店がある。

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パチンコができる場所に来たが、私が目指すのはそっちではなく
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この「ごはんどき」という店である

マルハンとドン・キホーテの真ん中に位置するこの店、どちら側にも入口があって、つまり、必ずしもパチンコホールに用がある人ばかりが利用するわけではない。というか、マルハンもドン・キホーテも通らずにこの店に入ることもできるので、つまり、ごく普通の飲食店として利用してもいいのである。

「ごはんどき」は全国に店舗を展開しているのだが、検索すると、「パチンコはしないけど食べてきました!」というようなレビューがたくさんヒットする。

そうとわかれば、少しだけ感じていた緊張ももはや無用。普通の飲食店でラーメンを食べるつもりで食べてみよう。

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こんな風に食品サンプルが置かれているところもいたって普通である
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もちろん食券の券売機も普通。普通ってなんだ?という話だが

それにしても想像していたのと大きく違う。シンプルなラーメンとカレーがあって、あとは少しだけそれらにバリエーションがあるというような感じなのかと思っていたが、この「ごはんどき」はメニューも豊富で、ラーメンもつけ麺もあるし、海老フライ、オムライス、ハンバーグ定食なども食べられる。

もしよかったら「ごはんどき」の公式サイトの「メニュー」を見て欲しい。「こんなに色々食べられるの!?」と驚くはずだ。

どうやら「ごはんどき」の中に複数の業態があって、ラーメンに注力した「てんがららーめん」があったり、定食や麺類が幅広く提供される「エムズダイナー」があったりするようで、私が来た新今宮の「ごはんどき」では、「てんがららーめん」と洋食専門の「デリシャスグリル」のメニューが食べられるらしい。

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美味しくてびっくりしました

ラーメンのメニューの中から「白てんがら」というのを選んで注文することに。720円と、価格はいわゆる一般的なラーメンらしい感じである。食券をスタッフの方に渡し、調理が完了すると呼び出し番号で呼ばれてカウンターに受け取りにいくというスタイルだ。

できあがった「白てんがら」を受け取って席へ戻る。

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なんだかすごく美味しそうなラーメンである

豚骨系のスープに、細くて歯ごたえのいい細麺。旨味をしっかり感じるチャーシュー。スタッフの方に一声かけるともらえる別皿の紅しょうがをスープに追加すると、味わいが鮮やかに変化し……いや、これは普通に美味しい。

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細くて硬めの麺がいい

公式サイトの説明を見るに、水にこだわり、鶏と豚のガラを12時間かけて炊き出したスープなのらしい。勝手な思い込みで大変失礼な話なのだが、まさかそんなに凝ったラーメンがいただけるとは思っていなかった。

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チャーシューもしっかりと美味しい

私が食べた「白てんがら」の他に、焦がしニンニクマー油の入った「黒てんがら」や、辛めに仕上げた「赤てんがら」もあったりするようで、もはやラーメン専門店なのであった。びっくりした。

⏩ もう一軒、安い価格帯のラーメンも食べてみたい

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