特集 2019年1月12日

乙幡啓子さんインタビュー・自分の作ったクマと対談した理由

今週土日は総集編ウィーク。先月12月に人気だったライター二人とへのインタビューと、人気記事のランキングをお送りします。

この記事では工作ライターの乙幡さんにインタビュー。
ハンドスピナーから抜いたベアリングで木彫りの熊の首を回す「ベアリングマ」が大好評でした。

インタビュアーは編集部・石川です。

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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ピックアップ記事

『「ベアリングマ」を作った』
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獲物がとれて「嬉しい!オラオラオラー!」と、得意になって首をぶん回す、その首にベアリングを仕込もうというわけである。ベアだけに。

――この記事とてもウケたのですが、乙幡さん的にはどうですか?

乙幡
実はけっこう自分で気に入ってて、何回も後から読んでしまうんですよ。手前味噌もいいとこで。

――(笑)どのへんが気に入ってます?

乙幡
やっぱし作品との対談にしたとこですかね。

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まさかの、作品との対談形式で進む記事でした

――あそこ、なんで急にああいう展開になっちゃったのか!っていうおかしさがすごいあって。

乙幡
Eテレの番組みたいに、人形と会話するの夢だったんですよ。

――一方で工作ライター間でも、革命的な手法だと話題になったんですよね。
工作記事って、本当は作ってる過程も見せたいのですが、過程のシーンって地味なんですよね。
家に閉じこもって写真も手元ばっかり映してて、文章も工程の説明で……ってなりがちで。
それはこの手法なら工程も見せつつ、閉塞感もなく楽しくできる!という。

乙幡
書く前はかなり迷いました。ひとりよがりにならないか、そこだけが心配で。
なのでやりすぎないようにな、やりすぎないようにな、と自分に言い聞かせました。

――いやいやもう絶賛です。
対談相手が作品なのもよかったんですよね。架空の人とかだとフィクションすぎるというか
制作って実際、作品との対話じゃないですか。それが文字どおり本当に対話になってる!という。

乙幡
実際、書き始めるといろいろと助けられたんですよ、あの熊に。

――どういうところで?

乙幡
工程の説明って、「誰が聞いてくれてるかわからない」から、詳しく書いていいのかさらっとがいいのか、迷うんですよね。

――はい、すごいわかります。たとえば記事書いてて、「なぜ接着剤でつけないのか、と思う読者もいるかもしれないが…」と書きつつ、自分で「いないっつうの」と心の中で思ったり。

乙幡
でも熊さん相手にすると、熊にはちゃんと説明しないと、という理由づけができて。

――これは熊がちゃんと疑問に思ってくれますもんね。

乙幡
そう、そう!

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質問してくる熊

――「マンガで分かるなんとか」みたいな本を読んでも、聞き手のキャラ(子供とか新人とか)がいて、説明する人はその人に説明するというパターンが多いです。

乙幡
ああしている理由がわかりました。
いざ自分がそう書くとなると、経験がないので焦りましたが、これからもたびたびこうやって書いていこうと思います。

――はい、もう工作は全部これでもいいくらい。他のメディアがマネし始める前に乙幡さんがやりまくった方がいいですよ。乙幡メソッドとして確立して。

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ここでいったん回させていただきます
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核戦争後の世界で

乙幡
みんなも成果物と対話始めたらいいよ!

――いいんですか。僕も対話しても。

乙幡
電子工作と対話?AIとかそういう次元でなく。

――もしかして作品が熊だからキャラ化できるって話ですかねこれ。「醤油をかけすぎる装置」と対話するのとか難しいかな。

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インタビュアー石川の2011年の記事、しょうゆかけすぎ機とUSBしょうゆ差しより

乙幡
目玉つければ?

――目玉付けて、名前も「醤油をかけすぎる君」にします

乙幡
でも顔のない機械と対話、というの、もしかしてすごく感動的な話になったりしないかしら

――最後の方に自我が芽生えるやつですよね。芽生えたところから始まるのかな。

乙幡
そうそう、それで破壊できなくなったり、共闘したりするの

――破壊(笑)

乙幡
なんで敵なんだ(笑)

――でも敵とか味方とかそういう設定もありかもしれませんね。舞台が宇宙とか。写真は部屋なんですけど。対談してる二人はホログラムディスプレーみたいなやつで部屋を覗いてるという設定で。

乙幡
世紀末の荒廃した地球とかは?

――ポストアポカリプスだ。「20XX年、世界は核の炎に包まれた」から始まる工作記事。

乙幡
そこで醤油をかけすぎる、と。人類に残された貴重な醤油を。

――(笑)ストーリー繋がった!それは敵ですね。破壊しないと

乙幡
謎の「醤油を人類に浪費させたい勢」との戦い。
あるいは自分がそっち側で、マッドサイエンティストなわけです。

――そうですね、どっちもいける

乙幡
「醤油を浪費させ、愚かな人類に鉄槌をくだそうではないか」が冒頭文。石川さんが壊れた!と思いますよ。

――衣装買っておきます。白衣とゴーグルみたいなメガネ。

乙幡
爆発後の焦げたアフロヅラも。

――定番オチに着地。

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爆発はしてませんが目は回していたベアリングマ
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量産すると素材が変わる

――すごい細かいこと聞いてもいいですか?ベアリングの軸ってどうなってるんですか?

乙幡
あれはですね、ハンドスピナーから拝借したので、軸のごと移植してます。

――だからキャップみたいなパーツがあったのか。あのキャップに頭を固定してるってことでしょうか

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キャップみたいなパーツ

乙幡
そーそー。よって、量産をもくろんで今後ベアリングのみ調達した場合、軸を作らねばなりません。
3Dプリンタ買うかな…。でも私のことだから、竹串みたいなので済ませちゃうかも。

――量産するんですか?

乙幡
2月に立体物のフェスがあるんで、目論んではおります。でもぐっと小さくするつもり。

――あー手乗りサイズだとかわいいですね。

乙幡
実物はけっこう大きいんですよ。こんなのレジンで作ると大変だから、2回りくらい小さくしようと。なのでベアリングも1.5cm外径くらいかなー

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手が写ってる写真でサイズ感がわかります

――ほほう。量産はレジンになるんですね

乙幡
ソフビとかでやりたいとこですけどね…型代とかかかるし

――なるほど。スムーズに素材選定が行われるのがすごい。量産したらぜひまた見せてください

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クマの有効活用

――やり残したこととかあります?

乙幡
せっかく鮭を着脱可能にしたのに、いろいろ回しきれなかったなーというのが反省です。鉛筆どまりで。カクテルシェイカーとか回させればよかった。

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鉛筆のシーン

――あー、いいですねシェーカー。あと回転するものなんだろう。ワイパーとか

乙幡
納豆の糸切らせるとか

――実用だ。それで商品化できませんか。納豆がいいかどうかはわからないけど、実用系で。

乙幡
鼻先に刃でもつけますか。

――それ何ですか?

乙幡
なんだろ…勢いで言ってしまったが…鼻毛でも切らせる?

――嫌な役ですねそれ…

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ハトヒールが絵本に!

――最後に告知があればどうぞ

乙幡
なんか熊へのひどい扱いで終わりましたが。
告知としては、19日のびっくりセールでハトヒールが熊同様にしゃべる写真絵本をと思ってます。

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「“ハト”ヒールでハトと仲良くなりたい」より

――あの世界に羽ばたいたハトヒールが!(参考:乙幡さん、ハトヒールが世界で話題になった結果、改名を迫られる
もうできてますか?

乙幡
制作風景だけ送りましょうか。

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表情豊かになってる!

乙幡
この後に及んでまだ未完成…!初心者なりにグリーンバックにしたんだけど、ハトの首が緑入ってるの忘れてた。

――首なしハトに…!楽しみにしております。

告知

乙幡さんも出展するウェブメディアびっくりセール。日本のよみものウェブメディアがあつまる展示・即売会です。
ネットの中にいる人たちがリアルな本、グッズなどなどなどを会場で頒布します。
 

2019/1/19(土) 12:00~17:00
入場無料
会場: iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ 

 
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