千葉県市原市で暮らしを感じて
ここはチーバくんの喉元
DPZ編集部の石川さんと共に、『あずの里 いちはら』に置き去りにされた。
ここはいわゆる道の駅のようなところだ。
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まずは情報収集と思い一旦パンフレットを見ようとするも、種類が多い。
その中の1冊を、『お、これよさそう』と手に取ったら、
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無印プロデュースのやつで、なんか負けたと思った。
パンフレットと併せてGoogleマップでも位置を確認していると、林さんからLINEで連絡が来た。
『あずの里いちはらは周りに結構何もないです』
たしかに、マップを見る限り、短時間でサッと行ける観光地はほぼなさそう。
OK。道の駅の店員さんに聞き込みを開始だ。
自由な仕入れ
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さっそくレジにいた店員さんに、「地元のオススメスポットはどこですか?」と尋ねると、「えぇ…?」と首をひねりつついくつか教えてくれた。「養老渓谷と…紅葉の滝…とか?」
ー紅葉!いいですね。
「でも紅葉はもう終わっちゃってるし、この天気じゃどこも…ね…」
人の出入りで自動ドアが開くたびに、ザアザアと雨音が聞こえてくる。ばつの悪い空気が流れる。
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さらに聞くと、どうやらこの道の駅は、さまざまな場所へ行く道中の中継地点にあるそう。
よって、どこへ行くにもやや遠い。道の駅としても『ちょっと一休み』に特化したささやかな仕上がりになっている。大事だ、そういう場所。
ーちなみに地元の方々は、どこで遊んだりお買い物したりすることが多いですか?
「アリオです」
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アリオ。全国チェーンの大型ショッピングモールだ。
…いいな。アリオは積極的に行きたい。地元の人の暮らしを感じられそうだ。
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続けて、この道の駅のオススメ商品を聞く。
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海苔!
たしかに、あずの里いちはらでは、海苔の売り場面積がピーナッツよりも広かった。
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「問屋さんによって製法も違うんです」と、店員さん。たしかに、それぞれ見た目も価格も違う。
そして、他にも説明してもらったのち、『一番のおすすめはこれ!』と紹介されたのが、こちら。
『何に合わせても美味しい!我が家の常備品です!』と、口調にも熱がこもる。
つられて、『そうなんですね!』と強くうなずく。でも、これはどこかで見たことがあるような…。
一瞬脳内に、『カ』から始まり『ディ』で終わる店の名前がよぎったが、飲み込んだ。
そうしてひととおり語り終えた後、一息ついた店員さんが、ポツリと一言つぶやいた。
「ただ、これはカルディで売ってます」
そう、ですよね。
ちなみに、「産地は福島です」とのこと。
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「みんなに食べてほしくて」というピュアな思いから、『あずの里いちはらセレクト商品』として特別枠で仕入れているらしい。道の駅ってそういうのアリなんだ。
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外に出ると、さっきよりも雨が強まっていた。
靴下まで濡らして歩く覚悟を決めつつ、いったんトイレに行く。
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これからどうしよう。
悩みながら戻ると、外で待っていた石川さんが嬉々としてスマホの画面を見せてくれた。
「すぐそこで、こういうのやってるみたいですよ!」
ワークショップ!
この道の駅の隣の建物で開催しているらしい。
「行きましょう」
土砂降りの中、迷いなき足取りで颯爽と現場へ向かう大人二人であった。
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箸、そして餅
道の駅から数十秒ほど歩くと、それらしき建物が。
作業中の職人さんたちが手を止めてこちらを向く。
おそるおそる「ワークショップって…」と言うと、
「…あー、はいはい!どんぐり人形か箸づくりね!」
さっそく石川さんと共に箸づくりスタート。まず、細い木の棒を削る。
出血だけはしないように、おっかなびっくり手を動かす。
「手つきに遠慮があるね!もっと勢いつけて!」と指導を受ける。
こういうとき、どこまで初心者らしくヘラヘラしていいのか、さじ加減が難しい。
危ない橋は渡らず、黙々と作業していると、外から別の職人さんが登場。
「つきたてのモチだよ!」
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唐突なモチ。
まだ少しやわらかい感触を確かめていると、さっき道の駅で接客してくれた店員さんがやってきた。手には、うどんやどんぶりを乗せたおぼんが。
ここで作業をする人たちへのデリバリーだ。一瞬で、空間がおいしい匂いにつつまれる。
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最後にクルミの油を塗布。
隣で石川さんが、「(クルミじゃなくて)ピーナッツじゃダメなんですか?」と千葉に媚びたギャグを繰り出すも、あまりウケていなかった。
これで終わりでいいんだよな!?とモジモジしていたら、「自分でいいって思うんだったらそれでいいんだよ!!」と言われた。
「じゃあ完成で...」と、終了宣言。いつになったらこういう時に堂々と振る舞えるんだ。
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帰り際、職人さんたちにも周辺のおすすめスポットを聞く。
「高滝湖は?」
「小学校を改装した道の駅があるよ!」
「あとはバーベキューだね!」
朗らかな会話が弾む。
しかし「すみません、我々徒歩でして…」というと、一瞬沈黙が流れた。不審がられるとはまさにこのことである。
それ以上は深くつっこまれることもなく、「そうかい!がんばってね!」と激励された。
Enjoy 千葉
外に出ると、雨が上がっていた。最高ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(ビックリマークの数だけ元気者になれるのが、インターネットのよいところ)
丁度お昼時なので、1㎞ほど離れた別の道の駅「房の駅」で昼食をとる。
さっきとはまた雰囲気の違う道の駅。
ここのオリジナルキャラクター(?)が力強く押し出されているのが印象的だ。
この店、我々以外のお客さんが、ほとんど地元の人っぽかった。かなりカジュアルな格好の子ども連れとか、マダムグループとか…。信頼できる。
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魚、美味しい!味がしっかりしてて、食感もなんか…しっかりしてる。いい魚ですよ!という存在感。
美味しいものを食べ終えると、『サンキュー!これにて…解散ッ!』の気持ちになるが、迎えのバスが来るまであと3時間くらいあるので、物販コーナーを見る。
石川さんの誘いで、ピーナッツ詰め放題をやることに。
こういうのって、自分ひとりだったらやらないな。他人と行動する喜びを噛みしめ、Enjoyさせていただく。
『個性が出ますね』と石川さん。
たしかに、わたしのと比べるとカラフルだ。聞くと、全種類を少しづつ入れたらしい。
たぶん石川さんは、ビュッフェで6つ仕切りのプレートに、6種類以上の惣菜を盛り付けるタイプだろう。
一方のわたしは、同じ食材を複数のマスに渡って盛り付けることを良しとする人間だ。その違いが現れたのだろう。
房物語の物語
店の隅で、ひときわ輝くものを発見した。
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つややかな表紙。薄いフォルム。その姿はあまりにも、同人誌だった。
カンナ削りよりも速いスピードで腕を伸ばし、表紙を開く。
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…このキャラ、店内で猛プッシュされているあの子だ!すごい、この本の質感で公式(たぶん)なことあるんだ。
再度陳列棚を見ると、全3巻中、2巻だけがない。ガーン。でも買う。
店員さんいわく、「たしか本社の者が描いていたはず…?」とのこと。
そして2巻については、「今、欠品中です」と即答だった。みんなが2巻の重版を待っている。
帰宅後、さっそく読んだ。
内容は、超王道少年漫画。房の国に住む主人公『せいた』が、平和に影を落とす脅威に立ち向かう話。
2巻を読み飛ばしたせいで、3巻冒頭から突如話が複雑化しておりビビったが、それだけ1話(1冊)ごとにかける作者の熱量が高いのだ。
『熱い話だぜ、房物語…』と、3巻の最後のページをめくると、あとがきが書いてあった。
『ひょんなことから店のチラシにせいたを描いたところ、評判に。絵に関しては素人なので迷いもあったが、今後とも勉強しつつ描き続けたい(要約)』
この漫画、キャラデザした本人が描いてたんだ。
それを踏まえて、もう一度、房の駅にあったせいたのディスプレイたちを思い出す。
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…いや…すごくないか?!偶然描いたオリキャラがみんなに愛されて、店の顔になるって。
絵を描くのは好き。だけど、それとは関係のない職種に就職して…でもいつの間にか、こうして業務として絵を描いている。なんといま、せいたは街の自販機の図柄にも採用されているらしい。
人生よ…!!!!!!
人生じゃん…!!!!!!!!!
巨大せいた人形が設置された日の作者の心境を考えると、胸が熱くなる。お祝いに寿司とか食べたのかな。
ああ、ここに人生が、暮らしがある…。
もっと、暮らしを感じたい。我々は最初に『あずの里 いちはら』で聞いた、みんなが買い物に行くというショッピングモール、アリオに向かうことにした。

