沖永良部島の位置ここです
鹿児島県の沖永良部島に来た。
沖永良部島は鹿児島県だが、距離的には沖縄本島の方が近い島だ。
沖永良部島の位置についての話は、先日の記事でもやったけれど、もうすこしくわしく話したい。なぜなら今回、自分が行ってやっと理解したので。その感動を皆さんにお伝えしたいのです。
南西諸島は、台湾ぐらいから鹿児島まで弧状にならんでいる諸島群だけど、この並びにも細かい区分けがあって、鹿児島側には北から「大隅諸島」「トカラ列島」「奄美群島」という区分けがある。
なかでも、北から奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島が、奄美群島という括りになるのだそう。
奄美群島の島々には12万人の人たちが住んでおり「奄美新聞」とか「南海日日新聞」といった奄美群島をエリアとした地方紙も2つもあるほどの地域だ。
なお、ひとつだけ、徳之島の西側に硫黄鳥島という無人島があるけれども、これは奄美群島には含まない。なぜなら、ここだけ沖縄県久米島町の領土だからだ。
地図帳などをみると、基本的に与論島と沖縄本島の間にある県境はほぼ必ず鍵型に描かれている。それは、徳之島の西方、沖永良部島の北西にある硫黄鳥島が沖縄県であることを示すためだ。
いきなり、行ってもない島の話で700文字も書いてしまった。閑話休題。
今回訪れた沖永良部島は、しずくのような形をしたわりと平坦な島で、和泊町と知名町という自治体が島内に2つ存在している。
それぞれの町が5000人ほどの人口かかえ、島としては1万1千人ほどが住んでいる。ちなみに、ハブは生息していない。
洞窟を見に行く
沖永良部島といえば、みなさんご存知の通り、サンゴ礁が隆起してできた島だ。島全体がこのサンゴ由来の琉球石灰岩に覆われてできている。
海岸の砂浜に行っても、琉球石灰岩の崖が海まで迫ってきている様子が、いたるところで見られる。
曇りなのと、干潮で潮が引いているので、まったく冴えない写真になってしまったが、天気がいいとめちゃくちゃインスタ映えする浜だ。ちなみにトゥモロというのは友留という地名を島の言葉で読むとトゥモロとなるらしい。
さて、浜の横の岩場にある琉球石灰岩をみてみる。
土中に染み込んだ水が、琉球石灰岩の中を通って外に流れ出ているのがわかる。琉球石灰岩は穴が沢山空いており、水を通しやすい。こういう石材をトラバーチンという。
トラバーチンはいろんなところで使われるが、特に琉球石灰岩に関しては、国会議事堂や那覇空港で建材として実際に使われているのを見たことがある。
なお、トラバーチンは、天井でよく使われているあのボードもトラバーチン模様といわれている。
これは実際に石灰岩を切り出して使ってるわけじゃなく、石膏ボードをつくる時に穴の空いたトラバーチン風の模様を付けているということだ。
また話が横道にそれた。閑話休題。
琉球石灰岩の主成分である炭酸カルシウムは酸性雨にたいへん弱く、水に溶けやすい。ということは、穴の中に染み込んだ水は石灰岩の成分を少しずつ削りとり、長い年月をかけて地下に巨大な空洞を作っていく。そんなわけで、沖永良部島には鍾乳洞がたくさんあり、その数は200〜300あるともいわれている。
しかし、観光できる洞窟は数が限られており、気軽にみることができる洞窟としては昇竜洞という洞窟が知名町にある。今回、この洞窟に行ってみることになった。
あまり乗り気でではなかったのだが⋯⋯
さて、さんざん洞窟についてのうんちくを垂れたけれども、実は当初、洞窟に行く気はまったくなかった。
「しんどくなる山登りはなるべくしたくない」という個人的な信条に基づき、洞窟も下るだけでやることは山登りと変わらないだろうし、めんどくせえなぐらいに思っていた。
が、撮影に同行してくれたライターの小堺さんがどうしても行きたいと言い出した。
「洞窟でしょう? 俺は20年ぐらい前に日原の鍾乳洞行ったことあるから、もういいかな〜」などと言葉を濁していると「今行かずしていつ行くの、絶対いったほうがいい」と、林修みたいなことをいい出す。
「だって、行って鍾乳洞の中ぐるぐるまわるんでしょう? 1時間ぐらいで済むはずないじゃん。半日ぐらい時間かかるんじゃないの?」というと「それでも、絶対に行ったほうがいいって」と強く勧めだした。
この人、じつは前々日にケイビング体験をしており。すでに昇竜洞とは別の洞窟に行っている。そのうえでまたさらに洞窟に行きたいと言っているのだ。どれほど洞窟に執着しているのか。
とはいえ、僕が行きたい場所(墓とか図書館)の撮影に同行してもらっているという手前、これだけ行かないというわけにもいかず、昇竜洞に行くことになった。
昇竜洞の入口に「日本鍾乳洞九選」という聞いたことのない9選があった。日原の鍾乳洞選ばれてるな〜などと見ていると、小堺さんが「あぶくま洞と龍河洞は行ったことある」と言い出した。行く先々で洞窟に行ってるらしい。洞窟好きなんだろうか。
事務所で入洞料を払うと、早速洞窟だ。
鍾乳石が垂れ下がる入口を入ると、さすが9選に選ばれるだけある鍾乳洞だ、かなり広い。というか想像以上に広い。え、すごくないこれ。
自然のダイナミックさを写真に写し取ることの難しさよ⋯⋯。こういう写真が一番むずかしい。これで伝わるか自信ないけど、とりあえず、広角で精一杯撮影する。
ドラクエの洞窟とか、天井はこんな感じになっているのだろうか? 洞窟内でルーラを唱えると天井に頭をぶつけるが、天井がこんなにトゲトゲだったらうっかりルーラ唱えてしまった他のパーティーの屍が天井にびっしり張り付いている可能性がある。
さすがの広さに「うわー、すごいな〜」と感想を漏らしたところ。小堺さんが「ほら、来てよかったでしょう」といい出した。いやいやいや、まだ早いって。その境地にはまだ達してないッスよ。
足元も悪いし、坂道も急で、滑りやすい。こけないように慎重に歩いていく。洞窟はこれだから⋯⋯などと思いながら洞窟の中をしばらく歩いていくと「入口」と書かれた場所が出てきた。
え、今の広い場所って序の口だったんかと、膝から崩れ落ちそうになった。
案内板によると、昇竜洞は、1962(昭和37)年に、愛媛大学の学術探検部によって発見されたものらしい。
それまでこれだけデカい洞窟が地元の人に認識されていなかった? というのもすごいが、換言すると、島内に洞窟なんて腐るほどあるから、誰も感心を払わなかったのかもしれない。たしかに、電気で明かりをとる手段がない時代に洞窟に入るなんて危険すぎるだろう。
そんなことを考えつつ進むと、島バナナの前にやってきた。
鍾乳洞の鍾乳石がいろんな形になっているので、おそらくむかし探検した人が何かに見立てて付けたと思しきポイントがいっぱいある。
島バナナといわれればそうみえなくもない。そしてすぐ近くには白鳥のキッスがある。
白鳥のキッスですかねこれ、シュルレアリスム的な文脈があるのだろうか。
小堺さんと二人して、どこからどう見ればそう見えるのか考えるものの、分からないものも多数⋯⋯しかしながら、人はものに名前がついてないとものと認識できないわけで、これはこれでいいのだろう。
鍾乳石は普通に造形としてすごいんです。

