大阪からはちょっと遠い街、長浜
私は大阪に住んでいて、京都へは割とよく行く。「今日の夜、京都のいい居酒屋で飲む予定があるんですけど、行きませんか?」と、もし友人に誘われたとしたら二つ返事で行くぐらい、気軽な距離に感じている。
そして京都まで行くと、滋賀県まではもうすぐだ。今調べてみたらJR京都駅から電車に乗ると、滋賀の大津駅まで10分かからずに着く。「そんなに近いんだっけ」と驚くほど近いのである。
地図を見ると、大津は滋賀県の南西にあり、京都と(山に隔てられてはいるが)距離的に遠くないことが改めてわかる。京都と大津は近い、これは間違いない。なのだが、なんせ琵琶湖は大きいので、湖の北側の方へ行こうと思うと、かかる時間が一気に増す。
先日、琵琶湖の北東の方にある長浜市まで取材に行く用事があった。大阪から乗り継ぎ不要のスムーズな電車に乗って1時間40分ほど。大阪から大津まで45分ほどで着いてしまうことを考えると、急にちょっと遠くなることがわかるだろう。運賃も片道2,000円弱する。
先日の取材の際も、同行者と「小さな旅って感じですねー」と話しながら歩いたのが、長浜がまた、すごくいい街なのだ。
豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎と名乗っていた頃、織田信長に功績を認められて、長浜市の北側、小谷山の小谷城に羽柴秀吉と名を変えて入城し、その後に新しく築いたのが長浜城だった。というか、それまではそのあたりは「今浜」と呼ばれるエリアだったのを、織田信長への忠心を示すために「長」の字をもらって「長浜」と改めたと言われている。
秀吉は長浜城の城下町の整備に力を入れ、町民のさかんな商業活動を奨励した。それによって長浜は琵琶湖畔の重要地として発展し、今に残る街となった。あちこちに史跡のあるような街並みで、観光地としても人気のようだ。
取材の時は、「翼果楼」というお店で名物の「焼き鯖そうめん」を食べて、長浜で「クラフトどぶろく」を作っている「ハッピー太郎醸造所」をたずねて、楽しかった。そのことも別のところで記事にする予定なのだが、今日の本題はまた別なのだ。
その日の帰り際、長浜駅に向かう途中、「ラーメン大学 都」というお店の前を通った。いい雰囲気だなー!と思って後ろ髪を引かれたが、その時は立ち寄ることができなかった。
帰宅後、調べてみたらその「ラーメン大学 都」は地元の方に長く愛される店で、ご家族で経営されていて、自家製チャーシューがたっぷり入った「チャーシューメン」と、さらに、ボリュームたっぷりの「カツカレー」が名物らしい。
今度長浜に行ったとして、ラーメンはまあ食べるけど、小食だからカレーまでは食べられない。カレーはまた今度、と思ってあっという間に一年とか二年とか経ってしまうんだよな。と思う。そこで、まずお昼にラーメンを食べ、夜、カツカレーを食べて帰るという旅にしてしまえば一日で両方味わえるぞ、と考えたのだった。
あらかじめ決められた昼食と夕飯
そうと決め、一日時間が取れそうな日に長浜へ向かうことにした。先述した通り、私の住む大阪市内からJR長浜駅まではスムーズに行けば1時間40分で着くはずなのだったが、その日は電車に遅延が発生し、10時半に家を出て13時過ぎに長浜駅にやっと着くという感じになってしまった。
途中、京都駅のホームで長く電車を待った。ホーム上の立ち食いそば・うどん店を眺めて気持ちが揺らぐ瞬間もあった。
それでもなんとか長浜にたどり着いた。思ったより時間はかかってしまったが、まだ13時過ぎ。お昼時と言っていいだろう。
今回の旅の重要なポイントは、まず急いでお昼ご飯を食べ、その後でしっかりお腹を減らして夕飯に備えるという部分にある。だからお昼ごはんのタイミングは早ければ早いほどいい。真っすぐに「ラーメン大学 都」を目指す。
これこれ、この看板の柳原良平の作と思われるキャラが最高だ。
入店し、カウンター席へ。数年前にリニューアルされたらしい店内は明るく綺麗で、テーブル席とカウンター席がある。
メニューのクリアファイルを開き、「おすすめメニュー」として紹介されている「チャーシューメン(自家製チャーシュー使用)を注文することに。
「みそ・しょうゆ・塩・カレーからお選びください」とあって迷うが、一番最初に来ている「みそ」がおすすめ中のおすすめなのだろうと思い、「チャーシューメンのみそをお願いします」と注文した。
冷たい水を飲んで店内を眺める。ボトルの焼酎を水で割って飲んでいるご常連さんらしき方もいて、いい雰囲気だ。カウンターから見える位置に置かれたテレビをぼーっと見る。ラーメンが来た。
うーん、美味しそう。厚みのあるチャーシューがたっぷり入っている。麺は私の好きな、歯ごたえのしっかりある中太麺で、濃厚なみそ味に合う。これぞ!という、王道な感じで、正々堂々と美味しい。
食べながら、しょうゆ味もきっと「これぞ!」っていう感じで美味しいんだろうなー!と想像する。
食べ進めると少しずつ見えてくる丼の「ラーメン大学」の文字。
お腹いっぱいになった。隣に座った方がちょうど(?)カツカレーを食べていて、失礼と思いつつ、ほんの一瞬だけチラッとそちらを見てしまったのだが、かなりの量に見えた。サラダもついていた。なるほど、あれを美味しくいただくために、これからできる限り歩き回って過ごそう。
会計時、何時まで営業しているかをお店の方にたずねた。今思えば、食べ終わったばかりの人が、「夜は何時までやっていますか?」と聞くのって、ちょっと変だ。なので「夜も来たいと思っていまして!」と自分から白状した。それはそれで、聞かれてもいないのに、変である。
しかしお店の方はすごく優しく「20時で閉店なんです」と言い、「遠くから来てくださったんですか?」と聞いてくれた。そこで、以前からこのお店が気になっていて、ラーメンも食べたいし、カレーも食べたいのでまた夜に来たいことなどを喋った。「あの看板のキャラクターが可愛いですね」というと、「ありがとうございます。表にパネルもありますよー!」と教えてくださった。お礼を言って店を出て、セルフタイマーでパネルとツーショット。
ここからは散策タイムである。20時に閉店されるとのことなので、19時にはお店にまた来たい。時計を見ると13時45分になっていたので、5時間ちょっとをどう過ごすかが問われるわけだ。

