取材前からハイに
JR王子駅からほどちかい飛鳥山公園の中にある博物館前に集合。
石川:桜がきれいですね
唐沢:きれいですよね!ここ飛鳥山公園は徳川吉宗が桜の名所として整備したらしくて…
しょっぱなから、べらべらしゃべりまくっている自分がいました。
脳が暴れぎみの己を律しながらのレポートが始まります。
この展示、何がテンション上がるかっていうと、
レトロなデザインが目にたのしく、なにより一点一点に情報がパンパン!
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佐々木:今回の展示品のほとんどは、北区に関係のある方々の寄贈資料で構成されております。
その大部分が、かつて北区内で駅員として勤務されていた方のご子息からのご寄贈となっております
佐々木:団体旅行の募集業務での資料として使用されていたようです
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唐沢:そうですか…!旅先で使うとぐちゃっとしちゃいますもんね~(パンフ集めが趣味なのに、移動中ぐちゃぐちゃにしがちな私のへりくだった笑み)
佐々木:こういったチラシ類はすぐに捨てられてしまいますし、こんなにキレイにまとまって残っているのは珍しいんじゃないかなと思います
鉄道で旅がスピーディーに~お伊勢参りモデルコース
明治以来、鉄道の敷設がどんどん進んで交通が発達したことで、レジャーの形も変化していきました。
たとえばこの北区飛鳥山博物館が位置する王子では、明治16年に上野発熊谷行のルートが開通。
「東京従上野山下中山道往復蒸気鉄道之図」明治16(1883)年、野川常吉
王子や飛鳥山のあたりは行楽シーズンには臨時列車が出て、とてもにぎわったそうです。
佐々木:大正から昭和前期は、経済的に多少の余裕が出た中間層の人が増え、同時に印刷メディアが成長していきました。
唐沢:旅に行く余裕のある人も増え、広告もたくさん作られ、「旅」が盛り上がったんですね…!
さらに、鉄道の発達で旅にかかる時間は急速に短くコンパクトに。伝統的な「お参り」の旅も変化します。
「伊勢参宮 近畿の旅」昭和12(1937)年、大軌参急、関西急行電鉄東京出張所
佐々木:表紙の人の服装がいいですよね
唐沢:私、大阪出身なんですけど、伊勢にはサークルの旅行で行きましたね。石川さんは伊勢神宮には行ったことないですか?
石川:ないですね~。岐阜出身なんですが
佐々木:伊勢は近代以前から人気のスポットで、江戸時代と昭和期の旅の時間の変化を比較することができます
江戸時代は徒歩で片道約2~3週間、昭和前期は列車で約11時間、現代は新幹線&電車で約4時間半…
江戸から昭和の変化がめちゃくちゃ急です。魔術…?
大阪だと、伊勢・志摩方面へは近鉄電車が便利です。このリーフレットを発行した大軌(だいき)は近鉄の前身にあたります。
佐々木:このリーフレットを見ると、商売上手さも見てとれます
「伊勢参宮 近畿の旅」昭和12(1937)年
唐沢:上の図、「せっかく伊勢に行くなら、ここもどうですか!!」と奈良・橿原神宮・吉野をめちゃくちゃおすすめしてますね…(商魂を感じる…)
橿原神宮は、明治23(1890)年創建の神武天皇をまつる神社。吉野は、明治25(1892)年創建の後醍醐天皇をまつる吉野神宮があります。
「伊勢参宮 近畿の旅」昭和12(1937)年
唐沢:「ぜひいっぱい列車に乗ってくださいね!」という意図が見えますね…
クーポン券でお得な旅へ
鉄道のおかげで身近になった旅に、さらにクーポン券の登場です。大正末・昭和前期には自動車も普及してきて、鉄道が少し苦戦したという事情もあるのだとか
佐々木:海外のお客さん向けに設立されたジャパン・ツーリスト・ビューローが、大正末には邦人向けに割引サービスをはじめました
唐沢:ジャパン・ツーリスト・ビューロー、JTBの前身ですね…!
佐々木:旅の目的地までの交通機関が割引で利用できるクーポン券を発行しました
『旅はクーポン』昭和10(1935)年、ジャパン・ツーリスト・ビューロー、個人蔵
表紙のカップルがパリッとしたファッションでかっこいい。
「昭和10年8月におけるクーポンコース」『旅はクーポン』綴込み付録
全国を網羅しています!
「昭和10年8月におけるクーポンコース」『旅はクーポン』綴込み付録拡大
佐々木:当時、このクーポン券の宣伝企画で懸賞作文の募集がありました
菊田直治郎「クーポンの旅を語る」懸賞二等当選文(『旅はクーポン』より)
佐々木:この方の旅なれていない様子が伝わってきます。汽車の時間を間違えたり、自分には合わない宿に泊まっちゃったり…
唐沢:それが、クーポン券を使ったら快適な旅になったという…。会社にとってかなりありがたい「お客様の声」ですね
ビューローの窓口に行ったシーンもくわしく書かれています。
唐沢:この人、日本橋の三越百貨店での買い物ついでに、ジャパン・ツーリスト・ビューローの案内所でクーポンを買ってますね。
石川:ほんとだ
唐沢:今でもショッピングモールには旅行会社の窓口がありますが、戦前から同じスタイルで営業していたんですね~
「家族乗車券」昭和9(1934)年以降(戦前)、東京鉄道局
唐沢:これは家族向けのクーポンでしょうか。子どもの服がかわいい。
佐々木:大人1人、子ども1人から使えて、最大5人まで使えるクーポンです。
唐沢:色んな構成の家族も使えますね。そこは思ったより今風。
こぼれ話①
実は、私がこの展覧会に来るのは2回目。1回目は、3月に友達と訪れました。
「えー!知らんかった!そんでそんで⁉」の連続で、気づけば3時間経っていましたね...
展示室はそんなに大きくないのですが、展示品一点につき、話せることが多すぎるのです...!会場内には時間どろぼうだらけ。
そのうちの一つがこちら。
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唐沢:立川・大宮公園・船橋・横浜が1円の範囲内…
佐々木:貨幣価値の計算が難しいのですが、当時の1円は現在の2000~3000円くらいですかね
唐沢:思ったよりお高めですね!成田に行くには6000円以上…
こうやって知ってる駅を見ていくだけで、時が過ぎていきます。正直、これだけで3時間もちます。
あと、マップ一点につき、細かい字でデータがぎっしり!
「鉄道路線図 旅客事務用」昭和22(1947)年、東京鉄道局
会場では、小さい文字を拡大して見られる単眼鏡の貸出サービスがあるそうです。(正直、借りたら多分1日じゃ足りなくなりそうでこわい…。)

