特集 2023年5月18日

北海道の焼き鳥チェーン、串鳥は深く深く愛されている

北海道といえば寿司にジンギスカン、ラーメン、スープカレーとグルメの宝庫ですが、おれが今回紹介したいのは、そんなご馳走が一巡したあと、気軽に足を運んでもらいたい大衆酒場。

北海道でこよなく愛されている焼き鳥チェーンの「串鳥」です。

海外旅行とピクニック、あとビールが好き。なで肩が過ぎるので、サラリーマンのくせに側頭部と肩で受話器をホールドするやつができない。

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大人気のローカルチェーン店

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外装の圧が強い

串鳥は全国41店舗のうち35店舗が北海道内という、いわゆるローカルチェーンのお店。特に札幌市中心部における密集具合はかなりのもので、この派手な看板を一区画ごとに目にする。

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店名はおぼえてなくても、印象に残る店舗デザイン
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遠目にも目立つし、
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夜はさらに視認性が高まる

実はいま札幌に長期滞在中で、基本的に毎日外食で済ませている。

ある晩、よく見かけるし一度こういうチェーン店にも行ってみるかという軽い気持ちで串鳥に入ってみたら、店員さんは「満席です!」と爽やかに告げ、忙しそうに去っていってしまった。

ぬかった、ここって人気店だったのか。

道民は語る 「飲み会は串鳥一択」

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この写真にも、密かに串鳥は潜んでいる

あとから札幌のひとに聞けば、串鳥は道民の間では厚い支持を集めている店で、繁華街の店舗に予約なしで飛び込むのはかなり無謀な行為だったらしい。

友人、親戚、仕事仲間など北海道の知人に串鳥の話をすると、急にイキイキすることもわかってきた。串鳥が満席で入れなかったよと話をすると、そうだろうそうだろうと饒舌になり、みな推しの一品をアレコレとおすすめしてくれる。

道民いわく。
「串鳥はお通し。お通しが好きすぎる」
「子どものときからずっと通ってるからね!」
「団体の飲み会は串鳥一択」
「ちょっと値上げしたけどまだまだ安いよ」
「札幌住んでて串鳥いったことない人いない」
「とにかくつくねを食べなさい」
「もちベーコンも食べなさい」
「あのね、豚肉巻いてあんのがうまいのよ」
「鳥貴族?べつにいらないかな」

熱量あるコメントと愛されっぷりに、がぜん興味が高まる。これは万難を排して、しっかりと串鳥を現地調査しなければならない。

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焼き鳥チェーンの雄といえば鳥貴族であるが、意外なことについ先日まで北海道にはなかったのだ(2023年4月にすすきのに初進出)
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異文化お通し体験

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ガラス張りの焼き場に誘惑されておじさんが吸い込まれていく

前回の反省を踏まえて、串鳥デビューは休日の17時前に定めた。さすがにこの時間なら余裕だろう…と思いきや、すでに席はしっかり埋まり、店内は活気にあふれている。

特にお一人さま用のカウンター席が盛況だ。おじさんたちが静かに、満足げに、テレビを見ながら酒をたしなんでいる。店舗によっては休日は15時半から営業開始しているらしい。

噂通りうまくて安くて、さらに昼から飲めるとなれば、酒飲みたちに人気なのも納得である。

運良くぽつんと一つだけ空いていた席に通されると、まもなくお通しがやってきた。噂に聞くユニークな突き出しである。

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何も頼んでないのにつぎつぎテーブルが賑わうので戸惑う

真ん中にどすんと置かれた銀のポット。これが串鳥で人気の「名物」で、なんと鶏だしのスープがお通しなのだ。しかも飲み放題。

「なんで??」が渦巻くものの、一口飲めば疑問を吹き飛ばす勢いで、おいしい。ぎゅうぎゅうに濃い出汁で、塩気も強く、頭がシャッキリする味。これは"酒が飲める汁"だ。

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人気があるというか、これは依存性があるという表現のほうがしっくりくる

一緒に運ばれてくるもう一つのお通しは、ジャンクなスープとは対照的にシンプルを極めた大根おろし。

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ありそうでなかった感じの、シンプルに嬉しいお通しだ

少し醤油を垂らしてそのままつまめばヘルシーな箸休めに。焼き鳥にちょこんと乗せてもいいし、濃い鶏スープに溶かし込んだらマイルドに味変。こちらのおろしもおかわりフリーである。

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脂っぽい串もさっぱりいただける

鶏スープと大根おろし。未知のお通しが2つも並び、初手から異文化体験としても大満足である。

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隣のおじさんがカウンター上のテレビを見て「え、日ハムやってないの?」「すんません今日、地上波ないんすよ」と会話していた。ああこれは地域で愛されている店だなとしみじみする

⏩ 串鳥のスペシャリテはつくね

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