はげます会限定記事(途中から有料) 2023年10月10日

古書店で5000円分の買い物をしたら昭和9年の涙のちんどん屋事件に行き当たった

自由に使っていい5000円で好きなものを買ってよいと言われた。

ファミレスで5000円分食べるとか、外国食材専門店で5000円分買うとかいうのは、弊サイトではもう散々やっているので、なかには食傷気味のひともいるかもしれない。

というわけで、ぼくは古本屋で5000円分使うことにした。

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鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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つちうら古書倶楽部で5000円分使おう

茨城県の土浦市にやってきた。

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土浦駅前の市役所

土浦には、以前取材した「つちうら古書倶楽部」というクソでかい古書店があることで殊に有名だろう。

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パチンコ店跡地にできた古書店
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消失点が古本

30万点以上の古本、古書、古美術、骨董品などがあるため、眺めているだけでも時間がどんどん溶けていく。

どんな本を5000円分買えばいいのか。結局、色々考えて5000円分買ったのだが、その紹介をする前に、ひとまず、結局買わなかったものの、買うかどうか迷った、あるいは気になったものをざっと紹介したい。

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山止たつひこ名義のこち亀。秋本治は当初、山上たつひこをもじったこの名義を使っていたが、本家からクレームがきたこともあり、秋本治に改めた
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松尾茂『鳥取県の誕生』という、元鳥取県民としては見過ごせない書籍。廃藩置県から島根県との統合を経て、鳥取県が再設置されるまでの話が載っている。表紙のチョンマゲ姿の武士が何者かはよく分からなかった、カバーに書いてあったかな?
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『まんが日本昔ばなし』と『まんが世界昔ばなし』の絵本。これ、親が定期購読で保育園から買っており、家にどっさりあった。同じシリーズの『まんがはじめて物語』のいくつかは、いま手元に何冊か持っている
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『大正十四年醤油製成帳』郷土資料の古文書だ。国会図書館デジタルコレクションで「天谷市右衛門」で検索すると、たしかに、大正時代に真鍋町(現土浦市)で醤油製造を「山市(?)」の屋号で行っていた人がいたようだ。土浦は、野田、銚子と並ぶ醤油産地として知られていた
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弊サイトにもファンが多い保育社のカラーブックス。これが並んでいるのをみると「古本屋にきたな……」と思いませんか? 私は思います
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『略暦』の『引き札』。商店が屋号などを印刷してチラシとして配った、昔のカレンダーだ。よく見ると、赤いほうが「中華民国暦」または「中華暦」となっている。あと、通常、店名などが入る箇所が空白になっているのだけど、なぜだろう。何かの復刻版の付録? ご存知の方いらっしゃいましたらご教示ください

というわけで、何を買うか思案しつつ、3、4時間ほど店の中をうろつく。店舗の中をぐるぐる有るき回るだけなのに、足が棒のようになってしまう。そのうち全身の筋肉が痛くなってくる。運動不足も甚だしい。 

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Amazonで絶対手に入らないものを買った

というわけで、せっかく自由に使っていい5000円なので、古本屋に行かなければ絶対に手に入らないものに限って買った。

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古書店で買ったもの5000円分

・『東京朝日新聞』昭和9年9月15日付 500円
・『読売新聞』昭和45年8月20日付 100円
・『少年倶楽部 第十九巻第一号』昭和7年1月1日 800円
・『少年倶楽部 第十九巻第七号』昭和7年7月1日 800円
・『岩波写真文庫19 川―隅田川―』 500円
・『岩波写真文庫〈復古ワイド版〉109 東京湾―空からみた自然と人― 1954』 300円
・『50音別電話帳 茨城県版』昭和48年4月1日発行 2000円

5000円ピッタリの見事な組み合わせだけれど、この組み合わせに決めるのに数時間かかった。

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50年前の電話帳を読む 

NTTは先ごろハローページ(電話帳)の発行を終了させたが、ハローページの前身となったのがこの『50音別電話帳』だ。 

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今から約50年ほどまえの電話帳

昔は、電話の契約をしている世帯には、一冊ずつ無料配布していた(んですよね?)ので、電話のある家庭には必ずあった書籍だ。
今回買ったのは昭和48年の茨城県の50音別電話帳で、おそらく茨城県内で電話の契約をしている人のほとんどすべてが掲載されているものだ。

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ノスタルジーな挿絵がまぶしい
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公衆電話のかけかたというページに昔懐かしい公衆電話がずらり……

よく読んでみると、この頃はどうやら交換手による電話交換もまだ行われていたようで、磁石式電話の使い方も載っている。

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磁石式電話……『となりのトトロ』でサツキが本家に借りて大学にかけていたやつ

よく読むと、ちょっと聞いたことがない電話サービスの案内が色々と載っている。例えば100番通話を覚えている人、どれぐらいいるだろう。
100番通話は、オペレーターが相手通話先と繋いで、通話終了後に通話料金と通話時間を通知してくれるサービスらしい。
他所で電話を借りた時に、利用者がかかった電話料金を置いていくときに使っていたのだろうか、こんなサービスがあるなんて全く知らなかった。
100番通話のサービスはわりと最近までやっていたらしいが、2015年に、コレクトコール(106番)などとともに、サービス終了したらしい。

個人的にグッと来たのがこれだ。 

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市町村紹介のコラム。ちなみに桜村は1987年に大穂町、豊郷町、谷田部町と合併し、つくば市になる。合併する直前の人口は4万人ほどあり、桜村は日本でいちばん人口の多い村だった

各市町村の簡単なプロフィールと市町村章のコラムは、ぼくが子供の頃に読んでいた鳥取県版の電話帳にも載っており、このコラムの部分だけ切り抜いてノートに貼り付けて市町村章図鑑を自作していたのを思い出してしまった。

親が読書をしない家庭だったため、家にある文字の書いてある書物といえば、新聞、辞書、電話帳ぐらいしかなかった。そのため、電話帳は新しいものが来るたびにむさぼり読んでいたのだ。

 

 

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