鹿児島が地元
鹿児島は九州にあり、暖かいイメージがある。それはその通りで2018年のデータでは平均気温は19度で全国で2番目に暖かい数字となる。食べ物も美味しく、サツマイモの生産量はぶっちぎりで1位だ。
私は鹿児島が地元である。今は東京に住んでいるけれど、小学校3年生から卒業するまでの4年間を鹿児島で過ごした。楽しい思い出しかない、非常に大好きな土地だ。自然が豊かで、適度に都会だった。
鹿児島中央駅は九州新幹線の終点の駅だ。大きな商業施設があり、鹿児島市電に乗り換えることもできる。私が住んでいた頃は「西鹿児島駅」という駅名だったけれど、2004年に今の駅名になった。
海が美しく、景観もよく、天文館というアーケード街もある。鹿児島は非常に素晴らしき場所なのだ。だって私の地元だし。そんな場所を地元の方のオススメで旅する。空港や車を借りる時、ホテルなどでオススメを聞いた。さぁ、旅の始まりだ。
1万羽を越えるツル
空港で今の時期のオススメはありますか? と聞いて教えてもらったのが「ツル」だった。出水市には日本一のツルの渡来地があり、毎年10月から12月にかけてツルがシベリアから渡来して、3月頃まで滞留する。そのツルの数は1万羽を越える。
ツルが渡来する冬の時期だけオープンする「出水市ツル観察センター」を目指していると、普通にツルがいた。たとえば私が住んでいる東京ではツルがその辺を飛んでいるのをまず目にしない。しかし、出水市では普通だった。道路を普通にツルが横断しているのだ。
出水市ツル観察センターでなくても、ツルは観察できるけれど、この施設では展望台のような感じで一段高いところからツルを見ることができる。上から見るとよくわかる。ツルが群れている、と。とても群れている。1万羽だもの。
この時は、ナベヅル15511羽、マナヅル1314羽、カナダヅル4羽、クロヅル8羽、ソデグロヅル1羽、ナベクロヅル2羽、総数16840羽が渡来していた。1羽、2羽のツルは美しいという感想を抱くけれど、これだけいると純粋に、単純に「群れているな!」という感想だけを持つ。
今はやっているのかわからないけれど、私の母がここのツルの餌に寄付していた。だから、このツルの存在を私も知っていた。確かにこの時期にオススメを聞かれたら、ここを答える。ツルの数に衝撃を受けるのだ。見渡す限りがツルだらけってなかなかない体験だから。
よく観察しているとツルが圧倒的に多いけれど、カラスもそこそこいることに気がつく。実はこのカラスも越冬のための渡来しているものだ。日本でカラスと言えば「ハシブトガラス」、「ハシボソガラス」が有名だけど、こちらに越冬に来るカラスはシベリアからお越しの「ミヤマガラス」です。
晴れた青い空にツルが飛んで行く様はさぞ美しいと思う。でも、本日は雨でした。気温は5度でした。鹿児島は暖かいと冒頭に書いたけれど、寒い日だってあるし、桜島の上の方には雪も降っていた。ただツルはいつだって美しかった。
タツノオトシゴを見ながらコーヒー
次にオススメしてもらったのは、「タツノオトシゴハウス」。タツノオトシゴは水族館でも見ることのできる、立って泳ぐ生物。ヨウジウオ科の魚だ。確かに知っているけれど、そんなにじっくり見たことはなかった。
こちらの施設はタツノオトシゴの観光養殖場だ。2008年にタツノオトシゴの会社を立ち上げ、2010年にタツノオトシゴハウスをオープンさせた。カフェのような感じでタツノオトシゴを見ながらコーヒーを飲むことができる。
入場は無料でコーヒーなどを必ず頼む必要もないのだけれど、今までの人生でタツノオトシゴを見ながらコーヒーを飲んだことなんてないので、当然コーヒーを注文した。今までの人生で一番、タツノオトシゴと向き合った時間だ。結果、コーヒーがいつもよりキラキラしていた気がする。
店内には常時200匹以上のタツノオトシゴが泳いでいる。生まれて数日のタツノオトシゴも泳いでいた。世界で一番大きなタツノオトシゴ「ポットベリーシーホース」の販売もあり、1匹7000円だった。安い気がするけど、買おうと思ったことがないので、安いのか自信はない。直感的に安いと感じた私の前世はなんだったのだろうか。
タツノオトシゴは白身の魚で、日本で販売されている栄養ドリンクにもタツノオトシゴエキスが含まれているそうだ。たとえばユンケル黄帝ロイヤルに「カイバチンキM」という成分が入っているのだけれど、それがタツノオトシゴだ。
立って泳ぐ様、紐にしっぽを巻き付け固定する様など、見ていて実に面白い。飽きないのだ。コーヒーが冷めるほどに見ていた。あと剥製が売っていたので買った。こういうのは買っちゃう方なのだ。オススメに間違いはない。すごく興奮した。