開聞岳を見ながら砂むし温泉
ホテルでオススメを聞いたら砂むし温泉を教えてくれた。砂むし温泉とは、お湯ではなく、寝転がって温かい砂をかけてもらう温泉。指宿が砂むし温泉で有名なのだけれど、中でも山川にある「砂湯里」は開聞岳を望みながら砂むせるそうだ。
開聞岳は薩摩富士とも言われる山で、子供の頃から美しいと思っていた。それを見ながら砂むし温泉に入れるのは素晴らしい、ということで砂湯里を目指したわけだ。でも着いたら驚いた。
11月の終わりに崖崩れが発生したそうで当面の間、臨時休館しているそうだ。残念。砂むし温泉自体は経験があるので、開聞岳を見ながら入りたかった。あと、ここでカメラのキャップを落として少し凹んだ。
薩摩半島最南端「長崎鼻」
砂むし温泉に入れなかったので、誰もススメてくれていないけれど、近いので「長崎鼻」に向かった。薩摩半島最南端の岬だ。浦島太郎が竜宮へ旅立った岬とも言われ、開聞岳や天気がよければ、屋久島なども見ることができる。
私は最南端などに弱い。ぜひ行ってみたくなるタイプだ。今回の記事には登場しないけれど、近くにはJR日本最南端の駅「西大山駅」もある。そういうところが好きなので、長崎鼻もぜひ行っておきたい場所だった。
一瞬晴れた、と思ったけれど、振り返り海を見るとキチンと曇っていた。屋久島は当然見ることはできなかった。ただ海は透き通るように綺麗で、来て損はない場所だ。ここでダブルデートと思われる4人組にオススメを聞いた。
聞き方がまずかった。あっちが佐多岬ですかね? と大隅半島にある本土最南端の岬を指しながら話したら「じゃ、佐多岬じゃないですか」とオススメしてもらった。遠い、とても遠い。鹿児島市内から車だけでいけば、160キロを越える。
本土最南端「佐多岬」へ
長崎鼻から佐多岬を目指すとすれば、フェリーを利用することができる。薩摩半島の山川港から大隅半島の根占港へフェリーがあり、佐多岬まで40キロという場所まで連れて行ってくれる。ただこの日はフェリーの時間が合わず、次の日に目指すことになった。
ホテルが鹿児島市内だったので、薩摩半島の鴨池にある「鴨池港」から垂水フェリーに乗って大隅半島の「垂水港」をまずは目指す。45分の船旅だ。これを利用すれば、佐多岬まで70キロの距離まで行くことができる。そのために5時台にホテルを出て垂水フェリーに乗り込んだ。
この時期の鹿児島の日の出は7時頃。6時10分発の垂水フェリーは真っ暗な中を走った。45分で着いちゃうのだけれど、船内で売っている「南海うどん」が美味しいと聞いていたので、ぜひそれを食べようと思う。
7時10分発の便から営業するそうだ。つまり私の乗った便では南海うどんは買えないのだ。サイトを見ると桜島を眺めながら味わうといい、と書かれていたけれど、真っ暗だから桜島も見えない。ただ漆黒を走るフェリーは楽しかった。どこに連れて行かれるのかな、とワクワクする。
垂水港に到着する頃には明るくなっていた。ただおめでとうございます、雨です。素晴らしく雨です。そして寒いです。途中でガソリンスタンドに立ち寄ったら、店員さんが「雨でしょ、寒いでしょ、大変だね」と現実を言葉にしてくれた。雨で寒いのだ。
佐多岬に立つ
雨の中、右手に海を見ながら車を走らせて佐多岬を目指した。海は美しく、空は鉛色だった。ただ本土最南端に行けるので心は燃えていた。雨だけど、寒いけど。街の作りが東京とは違い、南国っぽい感じなので車で走るのは楽しい。
車を止めて800メートルほど歩けば、展望台に到着する。非常にわかりやすい景観で、ここからあそこまで歩くんだな、とわかる。一旦下って、また登る感じだろう。植生も東京とは違うので楽しい。椰子の木的なのが普通にはえている。
道は整備されおり非常に歩きやすい。たとえば、晴れた暖かい日ならば、スキップしているかもしれない。ただ本日は雨で、寒いから心のスキップに留め、滑って転ばないように一歩一歩慎重に歩いた。
絶景だ。天気がよければ屋久島なども見えるそうだ。長崎鼻に続き、天気がよくないので見えないけれど、天気がよければ見えるのだ。屋久島は見えないけれど、本土最南端にいるという喜びに私は浸っている。
朝、ホテルを出たのが5時35分、佐多岬に着いたのが、9時10分。3時間半ほどの旅だった。鹿児島は広い。考え方を変えれば3時間半で最南端である。寒かったので駐車場の近くにある売店で「びわ茶」を買った。温かくて美味しかった。