香川に着いたらまずうどん
「いきなり行ってあとは地元の人におすすめを聞いて旅をする」という企画趣旨のもと、家で仕事を終えてから何も考えずに新幹線に乗ってやってきた。
香川で食べるうどんを楽しみに、電車の中では間食せずにがまんした。早く!うどんを早く!
駅前のうどん屋さんへ直行する。
16時ごろに着いたので、もしかしたらまだアイドリング時間かなと思っていたのだけれどまったくそんなことはなく、駅前のうどん屋さんにはお客が並んでいた。
香川の人、いったいどういうタイミングでうどんを食べているんだ。謎だらけだが、徐々に体を慣らしていきたい。
注文方法がわからなかったので店員さんに「温かいのが食べたいんです」と聞くと、それならば「釜たま」がおすすめとのこと。それでお願いします!この瞬間から、滞在中ずっと釜たまを食べ続けることになる。
釜たま。
いい名前である。「釜」の切れ味ある響きを「たま」が丸めてくれている。「かま」と「たま」が韻を踏んでるのもいい。
釜たまはテーブルにあるだし醤油を好きに入れて食べるらしい(本当にうどん初心者)。
あつあつのうどんと、その熱で半熟になった玉子とが甘いだし醤油と一緒に絡み合って
こんにちは!!
である。トッピングしたおあげももちろん美味しいけれど、まずうどんが美味い。香川の人、こんなの毎日食べてたら他の県で暮らせないんじゃないのか。
うどん食べたら情報収集
うどんを食べ終え、一息ついたところで今回の旅の意図を思い出した。そうだ、地元の人に頼り切る旅だった。
駅にもどり観光案内所でおすすめを聞く。
観光案内所では一般的なおすすめと、係りの人の個人的なおすすめを聞いてみた。
「わたしショウドシマすっごくよかったですよー」
香川は関西文化圏と聞いていたのだけれど、対応してくれた案内所の人は、なんだかちょっと関西弁とも違うイントネーションだった。不思議に思い名札を見たら中国の方のよう。
「ちょっといそがしいけど1日あればかえってこられるとおもいます。」
方言かな、なんて勘違いして申し訳ない。むしろものすごい流暢である。なにより香川県のおすすめを中国の人に聞くというのが新鮮で面白い体験だった。
いくつかおすすめを教えてもらったあと、ホテルへと向かう途中でまたうどんが食べたくなった。でもこの時期、夜はどこも閉まっている。
香川のうどん屋さんはどこもだいたい朝早くから開けていて、麺がなくなる夕方には閉めちゃうのだとか。香川の人、うどん食べすぎだろう。
しばらく歩いてようやく一軒空いているうどん屋を見つけた。
滑り込みでお店のお兄ちゃんイチオシの肉うどんを注文した。
店内は落ち着いた照明とトランペットのジャズが流れていた。よく見るとカップルが多い。そうか、香川の人はデートでもうどん食べるのか。引っ越してこようかな。
これはもう食べる前から美味いとわかってる見た目だけれど、あらためて食べてみると。
甘く煮た牛肉が口の中でかるくほどける。だしもうまい。青ネギのシャキシャキした歯ごたえとつるつるの細麺がすごく居心地よさそうに箸に乗っかってくる。
これはうまいなー。と天を仰いだら僕みたいに感動したお客からの手紙がいくつも貼られていた。
実は香川に来るちょっと前から口内炎ができていて、胃もなんだか重くて食欲がなかったのだ。うどんを2杯食べたらもうおなか一杯である。ホテルに入って一瞬で寝た。
そして翌日である。