いざ「こんぴらさん」へ
朝起きたらまだおなかの中にうどんがいる感じがした。よく言えばすごく腹持ちがいい。ホテルの朝食はパスして観光案内で教えてもらった「こんぴらさん」へ向かった。
「こんぴらさん」って、正直なところ名前だけしか聞いたことがなくて、由緒正しいお宮さんなんだろう、くらいしか印象がなかった。
今これを書きながら調べたら、ここ香川の「こんぴらさん」こと金刀比羅宮(ことひらぐう)は全国に600もある金刀比羅宮の総本山なのだとか。つまりこんぴら界の大ボスなのである。
そういえば僕の知り合いはこんぴらさんでお参りして大学に受かったと言っていた。知らない問題がみるみる解けたのだと。そんなわかりやすいご利益あるだろうか。そしてそんな強力な場所に、信心深くない僕が行っても大丈夫なのか。
不安そうな顔をしていたからか、参道近くの駐車場でおじさんに呼び止められた。「あんたこんぴらさん行くの?初めて?」
そうなんです、初めてです。「じゃあこれあげる」
金曜日の早朝である。こんぴらさんのお膝元の商店街はまだ眠っていた。
東京みたいに人がひしめき合っているわけではないので「なにがなんでも3密を回避!」みたいな緊迫感はないが、子供も大人も当たり前のようにマスクをしている。
商店街を抜けるとちょっと空気が変わる。貸し出し用の杖が置かれていたりして、いかにも「ここから山が始まるよー」といった雰囲気。
ここからこんぴらさんの本宮までは階段で785段あるのだとか。それが多いのかそうでもないのか、数字だけではピンとこなかった。
でも
どこまでも続く階段を一段一段上っていくと、785段という数がとんでもない数だということに気づかされる。
なにしろ上っても上っても階段なんである。
一段飛ばしとかするとご利益が薄れるんじゃないかと勝手に思い(すでに信心深くなってる)、一歩一歩確実にふみしめていく。
御本宮で下界を見下ろすと、こんなに上ってきたのかと誇らしくなった。
しかしここからさらに先があるのだという。
御本宮だってしっかり力強いので達成感があるが、さらに上ると奥社と呼ばれる場所があるらしいのだ(対談で天久さんがばち当たりなことすると死ぬって言ってた場所である)。
ここでまた山の雰囲気が変わった。
御本宮からさらに583段上ると奥社がある。
これはすごい。ここから見える景色もすごいけれど、なにしろここまで1368段もの階段を上がってきた人だけが感じられる達成感みたいなものがある。会う人会う人、「たいへんでしたねー」「汗かいちゃいましたー」とお互いをねぎらっていて、この雰囲気がすでにご利益満点である。
こんぴらさん近くの足湯
こんぴらさんから下山したらぜひおすすめしたいのが、参道の温泉施設にある足湯である。
この足湯は温浴施設の外にあって、もちろんお金を払えば中で温泉に入れるのだけれど、時間のない人は足湯だけ使わせてもらうことができる。
足湯で足は復活したけど、そういえば朝からなにも食べていない。もう限界。昨日のうどんもすっかり消化した。
駐車場のおじさんに教えてもらったうどん屋さんに向かう。
こちらのうどん屋さんもセルフスタイル。最初にうどんを注文して、流れに沿って好きなトッピングを取り、最後に会計するシステムである。
うどんだけでいいや、って思っていても魅力的なトッピングの前を無視して通り過ぎることなんてできない。よくできたシステムなのだ。
今回トッピングコーナーでがまんできずに取ってしまったのは「とり天」。これがまた甘めの味付けでサクサクふわふわで、たまりませんでした。
豊稔池のダム
「知ったかぶり対談」で香川出身の天久さんが、香川にはとにかくため池が多かったと言っていた。
地図を見ると確かに「池」と書かれた場所が多い。ここ豊稔池はインスタグラムでフォローしていた香川の人がおすすめしていた場所である。
豊稔池のダムについてはデイリーのダム専門家萩原さんもイチオシだったので間違いないだろう(四国ご当地ダム詣で)。
豊稔池と聞いて子供のころ遊んだスケールの池を想像していたのだけれど、これはどう見ても湖の迫力である。
ダムがあまりにもかっこよかったので僕もインスタグラムに投稿してみた。
豊稔池からの帰り道、湧き水を汲んでいるおとうさんに出会った。
いつもここで水を汲まれているんですか?と聞くと「うん。まあ、な。」とのこと。
よく水不足になる香川では、こうやってこんこんと湧き出る水は貴重なのだろう。ありがたく汲んで帰りたくなる気持ちもよくわかる。