イカスミ料理といえばサイゼリヤのスパゲッティ
イカスミ料理を自作する前に、イカスミ界で一番身近な存在であるサイゼリヤのスパゲッティを確認しておこう。
過去にメニューの変更がおこなわれた結果、「イカの墨入りスパゲッティ」だったものは「イカの墨入りセピアソース」となり、その色は薄くなってしまったが、500円という値段で今もメニューにあることが嬉しい。
ところでセピアはイカのスミ、そしてイカのスミから作られるインクの色のことなのだが、哀川翔(ショウ) や柳葉敏郎(ジョニー)が在籍した「一世風靡セピア」というグループの印象が強く、セピアと聞くとデビュー曲の「前略、道の上より」がソイヤソイヤと頭をよぎってしまう。
久しぶりに食べてみると、味に深みを感じるとてもおいしいイカのパスタだった。この味わいがきっとイカスミの手柄なのだろうが、まだちょっとピンと来ていない。
たっぷり入ったイカの身がうれしいが、あえて細かいことを言うと、本来イカスミ料理に使うコウイカ目の丸っこいイカ(コウイカやカミナリイカなど)ではなく、ツツイカ目の細長いイカ(ヤリイカやスルメイカなど)の身が使われているようだ。
ここで使われているスミ自体はコウイカ目のものなのか、スミの量が少ないツツイカ目だからこの色なのかは不明である。
イカを釣りに行く
ここからが本題である。イカスミがたっぷり入ったイカを求めて、スミイカとも呼ばれるコウイカを釣ろうと思ったのだが、近年の東京湾ではコウイカがすっかり減ってしまい、モンゴウイカと呼ばれるカミナリイカを狙う船しか出ていなかった。
江戸前のスミイカが食べたかったのだが仕方がない。確かカミナリイカもスミがたっぷりのはずなので、まあいいかと真冬に釣り船へと乗り込む。
本日の目的はイカを釣ることであり、そしてイカスミを確保すること。そのために「SUMI TORI~NA(スミトリーナ)」というイカの墨袋に特化したフォーセップ(鉗子)を用意した。
さすがにその場での摘出は難しいだろうが、生きたイカの漏斗の付け根部分をこいつでロックし、すかさずクリップで止めて、スミを漏らさず持ち帰るという作戦だ。
スミの確保は難しかった
カミナリイカ釣りの方法をざっくり説明すると、テンヤと呼ばれる仕掛けを海底まで落とし、5~10秒おきに竿先をビシッと持ち上げて動かす。この動作を「シャクる」と呼ぶのだが、とにかく延々シャクり続けるという体力的にかなりハードな釣り。うまい人ほど余計な力を使わないから疲れないらしいけど。
この日は潮の流れがイカ的に好ましくなく、6時間ずっとシャクり続けてノーヒットという可能性もあるらしい。釣りって怖いですね。
本当にあの不自然すぎるテンヤでイカが釣れるのかなと疑いつつも、黙々とシャクり続けること2時間、ズシーンという嬉しい手ごたえが突然きた。ようやくのヒットである。
スミを吐かせないよう丁寧にリールを巻き上げたが、海面付近で景気よくブシャー。さらに抜き上げてからもう一度ブシャー。
それでもまだ少しはスミが残っているだろうと持参したスミトリーナを突っ込むのだが、スミが残っているであろうからこそ顔に吐かれそうでおっかなく、またスミトリーナでどこを挟んだらいいのかさっぱりわからない。導火線の見えない爆弾のようである。
諦めてイカをバケツに入れると、ため息のようにもう一度スミを少し吐いた。今思えば私はイカ素人なのだから、イカマニアのように生きたイカの墨袋を縛ろうとするのではなく、さっさと締めるのが正解だったのだろう。そもそもスミトリーナはヤリイカなどで使うものらしい。
結局この日は3匹のイカが釣れたのだが、スミの確保は全部失敗に終わった。いつだって人生は思い通りにならない。
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スミイカを捌く
そして帰宅後、スミにまみれたイカを洗わずにまな板に置き、コウイカ目の特徴である甲を外し、体内に残るスミを大切に集めながら捌いていく。白味噌みたいな色をした肝も大切にキープする。なんだか錬金術に使う材料でも集めている気分だ。
こういう撮影の時、丸洗いできる防水のデジカメは大変便利である。

