いつだって僕らの! ファストフード特集!
ファストフードをなんとかしたい、その気持は止まらない。
5/24(月)~28(金)、毎日16時に更新します!
ビッグマックの写真がたくさん出てくる記事です!
この記事は
- 大人になり量が食べられなくなってきた人が
- もう一生食べないだろうなあとなんとなく気づいたビッグマックを今あえて食べ
- そして別れを告げる
- 告げながらにして、あらためて「ビッグマック」の「ビッグ」さを確かめる
- 通常なんとなく好みが変わって食べなくなっていくものに、あえてわざわざ「さようなら」をするとどう感じるのか確かめる
という内容になっています。
そういえばビッグマックってどんなハンバーガーだっけ? と、思い出したい方にもうってつけです。
ビッグマックのバリューセットを注文する人生最後の日
42歳である。年齢的にまだまだ若輩なのはじゅうぶん承知しているが、ここ数年で食べられる量が目に見えて減った。
私の母は70歳を超えまだ健啖を謳歌しているのにそこは遺伝しなかったらしい。
かつてはそばやうどんといった麺類が苦手だった。1杯じゃ足りなくてとってもさみしいから。でも今では十分だ。
さて、ビッグマックである。
少なくとも20歳くらいまではマクドナルドに行けば頼むメニューの候補には入っていたはずだけど、それからは自分で注文したことは確かない。
だからそもそも、ビッグマックとはすでに決別していたといっても良いわけだ。でも、今までのは「延期」だったんだと思う。
言ってもいつかは食べるでしょうと。
それが最近になって止まらない食の細まりに「あ、これもう、無いな」と諦める気持ちがわいてきた。
それで、急に「ちゃんとお別れをしておくべきではないか」と思ったのだ。
行こう。今日は人生でビッグマックを食べる最後の日になる。
単品ではない、バリューセットでこそだ
食べるのはもちろんバリューセットに決めた。
ビッグマックを食べるということは「マクドナルドでビッグマックのバリューセットを頼む」こととイコールだ。
単品ではいけない。セットのサイドメニューはもちろんポテトのMということになる。
私はマクドナルトという絵、様式美に別れを告げたいと、そういうことだと思う。
私がはじめてビッグマックを食べたのは、小学校6年生のとき、近所の「子ども会」が3月に企画した6年生を送る会だった。
会は山の上にある公民館の和室で行われた。誰と行って、どんなことをしたかは全く覚えていない。ただ、大きなマクドナルドの袋からビッグマックが人数分取り出され、全員にふるまわれたのが意外でそれだけ覚えている。
私は小5の夏に引っ越してきた転校生だった。転校前よりも校風やクラスメイトの性質が先進的で馴染むのにかなり難儀した。
このビッグマックも、子ども会でマクドナルドが出るなんて……豚汁とかおにぎりじゃないんだ……! という驚きがフックになって覚えている。
なんと30年ちかく前の話だ。あのときビッグマックは発泡スチロールのケースに入っていた。(1978年から90年代最初のころまで、でかいバーガーはスチロールのケースで提供されていたんだ)。
自分で頼むのは久しぶりなのに既視感がすごい。こんな食べ物、他にないんじゃないか。
ビッグマックの体積は約496cm3
しっかりながめる用に、店内で食べるのとは別に単品でも買って帰ってきましたので、この際よーーーく見ようと思う。
なお、時間帯によっては単品価格に+10円でドリンクセットになると店員さんが教えてくれました。ドリンクを10円にする力を持つビッグマック。
測ってみると高さが約7cm、幅は9.5cmあった。
せっかくなので円柱の体積の計算式で計算したところ、ビッグマック、体積は約496cm3でした。だからなんでしょうかね! だからなんでしょうかね!
よし。よく見た。この見る用のビッグマックは家族に食べてもらった。
さあ、ではあらためて、私が食べた最後のビッグマックです。
セレモニーをはじめよう
……。
……!
これは……! これはビッグマックだ。既視感に続き、既食感もものすごくて笑ってしまった。
ぜんぜん久しぶりな感じがしないし、特別な感じもない。
もう一生食べない、だからお別れをする。感慨を味わうために食べているのに、対象であるビッグマックがあまりに平常心すぎてしみじみとした気持ちにまったくならない。
ビッグマックはビッグマックでしかない。ゆらぐものがない。さようなら! と言ったところで反応もない。ポップアイコンのとしてのちからがすごい。存在感があまりにもでかい。
バンズのごま、2枚でも発揮するピクルス、甘いソース、案外ひとすじなわではいかないタイプのチーズ、どストレートに効かせたパティの塩気、知っている味だけど、情報量が多いのも確かだ。
なんだろうこれは。どういう体験なんだ。
もう食べない、でも私が死ぬまでビッグマックは存在し、そして街に行けば、ポスティングのチラシで、その姿を確認し続ける。別れようとしたことでむしろ存在の大きさが迫ってきた。
もちろん、そもそもビッグマックの存在を消すなんてつもりは毛頭なくて、ただ私があなたから消えますと、そういうだけのつもりだったのだが、影のあまりの、あまりの濃さにひるまざるを得ない。
おじいちゃんがいない
すごいなビッグマックと感心して食べすすめていた。
店内が少しざわっとした。「うちのおじいちゃん、帰っちゃいましたか」と誰かお客さんが店員さんに聞いている。
「あら! 白髪の方ですよね、さっきまでいらしたんですが」店員さんが答えた。
六本木ヒルズのお店と違って、ちいさな街の駅前のこのマクドナルドは、店員さんがみんなここいらの人だなという印象がある。
近所から自転車で来ているような、だからお客さんと店員さんにも制服を着ているかどうかくらいであまり差がない。
お客さんが「うわ~、どっかいっちゃったな」というと、店員さんも「お帰りのときに声をかければよかったですね!」と慌てたようす。常連さんなのかな。
「いえいえ! すみません、探してみますんで」とお客さんは出ていった。店員さん同士で「心配……」「見つかるよねえ」と話している。
あ、これいま本当の「マクドナルドで聞いた話」だ。おじいさんになるとマクドナルドではなにを選ぶんだろう。よもやビッグマックではなかろうな。
手のなかの私の最後のビッグマックはぐんぐんむしゃむしゃ食べて10分で食べきった。手早く食べないと満腹になってしまうと急いで食べた。でもおかげでおいしく食べ切れた。
いやはや、ほんと、おいしかったなあ。でも、やっぱりビックマックはこれで卒業だ。
のんびりバーガーとポテト行ったり来たりしながら食べる、セットを楽しみながら食べる余裕がビックマックだともうぜんぜんない。
ポテトは持って帰ろう。
残ったポテトを持ち帰りの紙袋に入れて、コーラのカップを持って立ち上がった。
さっきのお客さんが戻ってきて「おじいちゃんいました!」と声をかけてまた出ていって、店員さんたちがわっとなった。
ビックマック、1個525kcal
今回の記事は「そういえばあれ、このままだともう一生食べないだろうな」というもの、これは結構人それぞれあるんじゃないかと思うのだが、それをあえて「生涯最後」として食べるというものでした。
ほとんどの食べ物について、ふつうは別れなんてなくなんとなく食べなくなっていくものだけど、それにわざわざ「さようなら」を言う。
どうなったかというと、相手(ビッグマック)にぽかーんとされた、という感覚だった。
そりゃそうだ。別れていくのは私の都合でしかなくて、ビッグマックにとっては「お、おう……」といったものだ。
あえて調べずに出かけたカロリーを、帰って調べた。1個525kcal。
高いかな……低くはないけど……思った以上に高いわけでもないんじゃないだろうか。だって体積496cm3だもんな。
それから、ポテトのMが410kcal。あわせて935kcal。
……935kcal!
なるほど……。カロリー値はセットて立ち上がってくるんだな……。
さようなら、ビッグマック。元気でがんばってるところ、これからもまぶしく見ています。
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