くまは100歳
もともと、ハリボー社は1920年創業。その代表的商品である「ゴールドベア」が1922年に誕生し、ことしが100周年ということらしい。
あのちっさいクマちゃんたちが全員100歳と思うと食べることにも霊験をかんじる。
情報を教えてくれたのは、ベルリン在住のライターほりべさん。先日一時帰国した際に、おみやげでたくさんハリボーのグミを買ってきてくれたのだ。
本場ドイツからほりべさんが運んできてくれたものだけに、パッケージもオールドイツ語仕様。高まる……。
知らんケーキが6種類
スペシャルな100周年記念ゴールドベアは、その名も「Kuchenzeit(ケーキタイム)」。
いつものゴールドベアは6種類のフルーツの味が入っているが、そこをケーキ味でいきます、ということらしい。
ドイツの公式サイトの商品紹介ページもあわせて見つつフレーバーを整理すると、どうもこんな内容のようだ。
ピンクのくま
Erdbeer-Biskuitrolle(イチゴのスポンジケーキ)
みどりのくま
Apfelstrudel(アップルシュトゥルーデル)
あかのくま
Schwarzwalder-Kirsch-Torte(ブラックフォレストチェリーケーキ)
きいろのくま
Zitronen-Kuchen(レモンケーキ)
とうめいのくま
Himbeer-Berliner(ラズベリーベルリン)
オレンジいろのくま
Orange-Rublikuchen(オレンジキャロットケーキ)
……??? なるほど……どこれは……訳してもわからないやつがある。ケーキ以上に、まず異文化だ。
シュトゥルーデルってなんだろう。ブラックフォレストチェリーケーキとは……。きっと、ドイツではメジャーなスイーツなのだろう。
ドイツの方に「こちらのグミ、お羊羹味となっておりまーす!」と言ったところで「……??」となるのと、いまの私の不明はおなじだ。
グミを通じ、ドイツの文化にふれられるのがまたしびれるではないか。
調べてみると、アップルシュトゥルーデルはどうもそもそもはオーストリアの郷土菓子のようだ。
シュトゥルーデル生地という、パイよりも薄い生地でりんごのフィリングを何層にも包んで焼いた、アップルパイに近いお菓子らしい。
ドイツの大型スーパー、Kauflandのツイートにめちゃおいしそうな画像が載っていた……。
ブラックフォレストチェリーケーキは、単語としては「Torte」とあるが、日本語でイメージする「タルト」とは違うのだそう。
ほりべさんに聞くと
ドイツ語のTorteは言葉は「タルト」に似ていて紛らわしいんですが、クリーム入りのケーキのことを言うそうです!
ドイツのケーキの中でもメジャーなもので、ショートケーキぐらいの知名度はあります。でも、作るのが大変なのかカフェではなかなか見かけないような気がします。
たまに義理の父がクリスマスに作ってくれます(ですが、特にクリスマスに食べるケーキというわけでもないみたいです)。
とのこと。カフェにはない凝った甘味で、行事に合わせて家で作ることもある。ぼた餅みたいなものだろうか。
そしてそして、ラズベリーベルリンとは。こちらももほりべさんに聞いてみると、ずばり「ごくごく普通のジャム入りドーナッツです!」とのこと。
ベルリンでは「ファンクーヘン」と呼ばれ、大晦日に食べる習慣のあるお菓子なんだそうだ(そうか! この記事に書いてあったやつだ!!!)。
ミスタードーナツのエンゼルクリーム的なものの中にラズベリーのジャムが入ったもの、と考えると味の想像がつきやすいだろうか。そんなのぜったいにうまい。
ハリボー、おまえ……いけるのか
ゴールドベアの基本のフレーバーはフルーツ。フルーツの甘酸っぱさはグミとして再現の手が届きやすいことは用意に想像できる。
いっぽう、このチャレンジな「ケーキタイム」のモチーフとなっているケーキはどれもそれなりに複雑な味わいのようだ。
総じてバター、小麦粉、砂糖、そしてチョコレートを味の軸にすえたものもある。
こってりした仕事が、ハリボーにできるのか……。
ひとつずつつまんで食べていく。
……?
……??
……???
3個目が途方にくれるピークだった。残りの3個はもう笑った。クマよ、ゴールドベアよ、これはケーキの味ではないかもしれないね……。
味は、ハリボーだった。いつものと、だいたい同じの、ハリボーのクマのグミだったのだ。
いや、もちろんおなじみのフルーツ味とは若干味は違う。
各フレーバーごとに繊細に6種類で味が違うのも、私の頼りない舌でもなんとかわかる。
でも、どれもジューシーでおいしいいつものゴールドベアなのだ。あの噛み応えもちゃんとあって口内にとどまり味を提供し続けてくれる。
ハリボー、ゴールドベアのケーキタイム、それはくまちゃんの100歳を祝うハリボー社と世界のハリボーファンの心意気そのものなのだろう。
おめでとう、黄色いくま(名前はそのまま、ゴールドベアというらしい)。 そして味わう私たち。
なお、ほりべさんにも味の感想を上記の通り伝えたところ、「いつも思うんですが、ハリボーってどんな形のを食べてもだいたい同じ味ですよね……! あはは!」とのことだった。
世界中が思っている、ハリボーの味のこれが本質!