混雑具合がフェス並み
まず見てもらいたいのがバレンタイン時期のチョコレート売り場の混みようである。
すごい。正直なめていた。
このデパートでは毎年この時期になると1階にすごいチョコのオブジェが置かれるため、これに生気を抜き取られてしまい、上階にある特設会場まで上がったことがなかったのだ。
とはいえせっかくこの時期の名古屋に来たのである。一度くらいはあのオブジェから先の世界も覗いてみようと思った。で、入ってみたのがさっきの写真だ。
案内板によるとチョコレートフェスのメイン会場は10階だが、他にも10階までの各階に小会場が設置されているとのことだった。もはやビルまるごとチョコレート売り場といってもいい。
特設会場には世界各国のチョコレートブランドがそれぞれブースを構えていた。サイドウォールには職人の巨大な顔写真が象徴的に飾られていて、何度も折り返して列を作るお客を品定めしているかのよう。溜息と嬌声とがまじりあい、フロア全体の酸素が薄い。
ゴディバ発見
どうやらメイン会場は長い列に並ばないと買い物ができないようだったのでいったん離れ、地下の常設売り場へと向かった。地下にはチョコレート以外にもういろうとか鬼まんなんかも売られていて、少しだけ落ち着けるのだ。
とはいえここでもゴディバのブースはやっぱり大人気だった。
さすがゴディバである。正直値段も知らずにやってきたのだけれど、お菓子だと思ってなめてかかると驚くことになる。
チョコレート界、こういうことになっていたのか、とここでも思った。円安チョコ高である。
そんなキラキラしたゴディバの店頭にそれはあった。
ゴディバ「東海」とは
漢字で「東海」と書かれた箱がブースのいい位置を占めていた。
東海。
もう一度確認するが、ここはゴディバであってみどりの窓口ではない。説明書きを読むと「Red Miso & Milk Chocolate」と書かれている。Red MIso?赤、味噌?
ゴディバで赤味噌である、そんなの買うだろう。
ピンと来ない人のために説明すると、赤味噌というのは主に東海地方で好まれている色の赤い味噌である。味が濃い。
スイーツに味噌というと合わない気しかしないが、そういえば前に八丁味噌の本場、岡崎で八丁味噌味のソフトクリームを食べたのを思い出した。
岡崎で食べた八丁味噌ソフトはびっくりするほど味噌の味がした。風味どころの騒ぎじゃなく、味が味噌なのである(ただし美味しい)。しかしゴディバがどこまで許すだろうか。
開封
買って帰った「東海」の箱を開けると、なるほどゴディバらしい上品なチョコクッキーたちが「なによ」という顔で並んでいた。
しかしパッケージをよく見るとそこには金シャチが。ゴディバに名古屋がひたひたと忍び寄っている。
開封。香りに味噌は感じられない。やはりゴディバに牙を抜かれたのだろうか。どうする赤味噌。
しかし食べてみて安心した。
味噌だった。びっくりするほど赤味噌である。
赤味噌のコクが完全にチョコの甘さを凌駕している。恥ずかしながらゴディバさんが我らが赤味噌を取り入れて「くださった」くらいに思っていたのだが、申し訳ありませんでした。味的にはむしろ、ゴディバに赤味噌塗ったったがや、くらい味噌あじ。ゴディバの本社はよくこれ許したなと思う。いまさらだけどゴディバと名古屋って語感が似てる。
味に意外性があって、しかも岡崎の八丁味噌ソフトクリーム同様ちゃんと美味しいのだけれど、チョコと思って食べると甘くないから驚くと思う。これは大人の食べ物だ。バレンタインデーにこれをプレゼントされたら名古屋の人ならいちころだろう。とにかく今回は、ゴディバよありがとう、と強く言いたい。