映画「一杯のモヒンガー」に出てくるモヒンガーを作ってみよう
モヒンガーはミャンマーの朝食に欠かせない国民食だそうで、ナマズスープの麺料理。このレシピは映画で主人公が作ったモヒンガーの元となった、Yin Yin Soeさんの伝統的レシピとのこと。
レシピを眺めてみたら、作業工程が26番まであって驚いた。しかもメインの材料は二種類のナマズと難易度は相当高い。これを見て実際に作った日本人はいるのだろうか。
もちろんわざわざ作らなくても、レシピを読んで理解するだけでも映画をより深く楽しむことにつながるのだが、せっかくなので挑戦してみよう。


まずミャンマー料理店で食べてみた
モヒンガーを作るにあたって、あまりにも味の想像がつかな過ぎたので、下手に勘違いしたものを作って理解した気にならないように、一度本物を食べてみることにした。
調べてみると、どうやら高田馬場周辺にミャンマー料理の店が多いらしく、ミンガラバーという店でモヒンガーが食べられるようだ。

メニューを確認すると、『モッヒンガ(温かい魚スープかけソーメン)』という名前でお目当てが載っていた。
英語表記だと『Catfish and Thin Noodles Soup』なので、魚はやっぱりナマズなのだろう。

作っていただいたモッヒンガを食べてみると、天下一品のこってりくらいドロドロなのだが、それでいて軽い口当たりでおもしろい。
ナマズらしさはよくわからなかったが、魚の出汁が効いたおいしいスープと、細い米粉の麺がよくあっていた。
ランチタイムに食べてみたが、これは朝食に最適だろう。台湾で食べた麺線を思い出す優しい味。


ナマズが捕れたので作ってみよう
いつかモヒンガーを作ろうと思いつつ、やっぱり面倒くさいよなあと先延ばしにしていたのだが、たまたま良型のナマズを捕まえる機会があったので、ようやく重い腰を上げて作ってみることにした。

もちろんナマズだけではモヒンガーは作れないので、足りない材料は高田馬場にあるミャンマー食材店で店員さんに相談しつつ購入。
普通に冷凍のナマズも売られていたので、ミャンマーでは一般的な食材なのだろう。

ナマズとレモングラスを煮る
まず内蔵を取ったナマズをよく洗い、ぶつ切りにして魚醤を加えて強火にかけて、そこに叩いて香りを立たせたレモングラスを加えて煮込む。
ナマズの臭み消しにレモングラスという組み合わせが新鮮だ。

続いて『ナギナタナマズ』という種類のナマズをすり身にして、ニンニク、ショウガ、塩を加えると書かれている。
ナギナタナマズ?
調てみたところ、ナギナタナマズは英名でナイフフィッシュと呼ばれる、平べったい形をした東南アジアの淡水魚。ナマズではなく観賞魚として有名なアロワナの仲間の古代魚だとか。

探せばどこかで買えるのだろうけれど、冷凍庫に眠っているタチウオがあるので、薙刀の代わりに太刀を振るうことにした。
生物学的な分類上は遠いかもしれないが、刃物という点では同じである。

だがタチウオだと思って解凍した魚はウツボだった。
ナイフのような鋭い歯を持っているからこれもナイフフィッシュだよねと自分に言い聞かせて、とりあえず進めることにする。


乾煎りした小麦粉を濾す
この次の工程が謎だった。小麦粉(米粉を使う場合も)を香ばしくなるまで乾煎りして、水で洗って濾すというのだ。しかもそれを三回繰り返すと書かれている。
レシピは写真付きなのだが、乾煎りした小麦粉を溶いたドロドロの液体を器に流し込んでいる。この器がザルなのかはちょっとわからない。




実際にやってみても正解がまったくわからないのだが、おそらく香ばしさと粘度をスープに加えるための作業なのだろう。
なにを三回繰り返すべきかわからなかったので、とりあえず次へ行こう。
※後日、平田さんに確認したところ、精製度の低い現地の小麦粉に含まれるゴミや焦げを取り除くために濾すということで、日本で市販されているような小麦粉であれば、乾煎りして溶くだけでいいそうです。