食材探しは安全第一
川海苔はなかなかおいしかったのだけど、それでも記憶にある海の海苔のような、はっきりとしたおいしさを引き出すことはできなかった。比べるには海の海苔がうますぎたか。
とはいっても、味云々よりも、採る過程がけっこう楽しいので、年に一回くらいはきのこ狩りのついでに採りにいきたいと思う。
でもうちの車だと、次こそ遭難する可能性が高いので、とりあえずは海の海苔とアオサでいいかなとやっぱり考え直した次第だ。
翌日、早起きして採ってきた貴重な貴重な川海苔をよく洗って、巻き簀の上で四角く整えて、ベランダで天日干しをして板海苔を作る。
さすがは天然物。よくみると川海苔とは明らかに違う苔類が混ざっているけど気にしない。でもカワムシはノーサンキュー。
干してから数時間が経ち、海苔もすっかりと乾いたところで写真を撮ろうとしたら、カメラを30センチ上からコンクリートのベランダに落としてしまった。
ガシャン。
壊れたのが車じゃなくてカメラでよかったと思うことにします。
できあがった板海苔は、いろいろと高くついたにもかかわらず、穴だらけのなんだかボコボコした海苔になってしまった。
しかしこれは川海苔だからというよりも、私が川海苔を細かく刻むのをさぼったためだと思われる。
まあお店に出すものではないので見た目はなんでもいいのです。海の海苔を作った時と同じように、この川海苔を食べてみることにしましょう。
川海苔でつくった板海苔を直火であぶり、醤油をつけてご飯をくるむ。シンプル。
食べてみると川海苔は繊維すべてがパリッとしていて、やっぱり普通の海苔とは明らかに違う。味そのものはそれほど濃くはなく、磯臭さではなくて青臭さを楽しむような感じで、これはこれでおいしい。
続けて冷蔵庫にあったえのきを巻いての天ぷら。これはおいしいかなと思ったけれど、えのきは揚げると水分が飛んじゃってだめですね。歯に挟まりまくりまくりすてぃとかいいたくなる。海苔の部分はサクッとしておいしかった。
そして鰹だしで川海苔のお吸い物。汁だけ飲むとほぼ鰹だしそのままの味だったけれど、そこに川海苔が加わることで、歯に楽しい食感と若干の青臭さが加わる。椀種のひとつとしてありだと思う。だしはぜんぜんでないけど。
川で試食したときに思いっきり味のハードルを自分の中で下げておいたので、川海苔は思ったよりもおいしく食べることができた。
きっとこんな料理でも、山間の日本旅館でふろ上がりに食べれば、「オツな味ですな」とかいいたくなることだろう。
うまいは気から。
川海苔はなかなかおいしかったのだけど、それでも記憶にある海の海苔のような、はっきりとしたおいしさを引き出すことはできなかった。比べるには海の海苔がうますぎたか。
とはいっても、味云々よりも、採る過程がけっこう楽しいので、年に一回くらいはきのこ狩りのついでに採りにいきたいと思う。
でもうちの車だと、次こそ遭難する可能性が高いので、とりあえずは海の海苔とアオサでいいかなとやっぱり考え直した次第だ。
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