特集 2025年1月18日

料理撮影用の板が欲しかったので、古いちゃぶ台を買って手入れをした

やすりで傷と汚れを消していく

さあ、紙やすりでやっていきましょう。

いきなり天板を削るのは怖いので、裏側でちょっと試してみようかな。

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240番から試してみよう。

ここから先は、文字通り取り返しのつかない作業。

あー、なんだか胃がキリキリする。

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紙やすりを軽く押し当てて、木目に沿って軽くこする。

紙やすりを動かすと、雑巾で拭くのとはわけが違う、明らかに表面が削られている実感が指先から伝わってくる。

どんなものかと削った場所を確認すると、当たり前だが削ったところが削れていて、そこだけ付いていた時代を失っていた。あれ。

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時代が削れて、ものすごく不安になってきた。これでは明らかに擦り傷でしかない。

これで正解なのだろうか。なんだかすごくもったいないことをしてしまったような気がするし、満遍なく削るのがすごく難しいやつなのでは。

胃をシクシクさせながら、その上から今度は400番のやすりで磨き、雑巾で拭きとってみる。すると、うっすらと時代を残しつつも新鮮さを取り戻した木目のようなものが確認できた。

これならどうにかいけるかも!

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こうなるのか。

 

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天板を全部削る

それでは本番スタート。撮影に使う表側を上に向けて、気になる部分を240番でゴシゴシと削っていくと、裏側よりも黒く汚れているからこそ、削った後の違和感が目立ってしまった。

白い傷を消すことはできたのだが、その一帯が時代を失い、残念な感じで天板から浮いていく。きゃー。

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この傷を消したい。
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傷は消えたが、消えてはいけない時代も消えてしまった。

やっぱり一か所だけ削ると不自然になるので、全体を満遍なく削るしかないようだ。アンチエイジングは難しい。

ところで私は紙やすりを雑巾のように使っているが、木片などを使って押しこするのが正解なのだろうか。店主は電動やすり(サンダー)でガーっとやるとかいっていたような。DIYに関する基本的な素養が乏しいことを実感する。

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ヤカン跡(と思われる傷)は物理的に凹んでいるので、少し削ったくらいでは消えてくれない。
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240番で全体を削った後に400番で磨きをかけたところ、なんだか安っぽい板になってしまった。

せっかくの古いちゃぶ台なので、その味わいを残しつつ清潔さを与えたいのだが、どこまで削るべきなのか本当に悩む。

もしかしたらこのちゃぶ台がとても貴重な古道具で、私がとんでもない間違いをしていたらどうしようと考えてしまう。

ヤフオクに出ている自称レストア済みの家庭用製麺機を見て、勝手な意見として「それをやっちゃだめなんだよ~」と思うことがあるのだが、今は私がそれをやっていないだろうか。

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左半分を拭いてみた。この黒いしみが、落とすべき汚れなのか、残すべき時代なのかがわからない。

やすりで削った後の天板を絞った雑巾で拭いてみると、傷を消そうと張り切ったところが白く目立っているものの、そもそも均一な色という訳ではないので、気にならないといえば気にならないレベルのように思えた。思おう。

このちゃぶ台は売り物じゃないし、使うのは自分なので、これで良しとしようじゃないか。でももうちょっと削ろうかなと、しばらく手を入れ続けた。

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何度か拭いたり削ったりを繰り返した。
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ヤカン跡は消そうとすると周辺が白くなって逆に目立ってしまう罠。もう天板に映る三日月だと思おう。
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こういう傷も同様。深追いしてはいけなかったのだ。
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仕上げのオイルを塗る

どうにか下処理が終わったところで、店主におススメされたワトコとやらのオイルを刷毛で塗っていこう。

刷毛とか筆とかを使うという行為、アナジャコ捕りを除くと何年ぶりの作業だろうか。

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ナチュラルに仕上げてやるぜ。
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予想よりもさらっとした液体が入っていた。

オイルをたっぷりと刷毛に含ませて、微妙な風合いを見せている天板の上を木目に沿って撫でる。

さすがはそこそこ高いオイルだけあって、雑巾の水拭きよりもずっと艶のある色見を引き出してくれた。伸びもよく、とても塗りやすい。これは気持ちが良い作業だ。

せっかくなので裏側も塗ってしまおう。

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おー、こういう色になるのか。
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削りすぎたところも自然な色になってくれる魔法のオイルだ。
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なんだか楽しくなってきたので裏側も塗る。
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別に誰が見るという部分じゃないけど、隙間を塗る細い刷毛も用意すればよかった。

全体が塗り終わったら15分ほど待ち、塗りすぎたオイルを布で拭いていく。

車のワックスがけはターゲットが大きすぎてまったくやりたくないが、これくらいのサイズだったら面倒臭いよりもおもしろいが勝る。あと二つくらい磨きたい。

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余計なオイルを古くなったTシャツでふき取る。一種のマーキングである。

こうして拭きあがったちゃぶ台は、買値の三倍くらいは輝いて見えた。これは成功なのではとほくそ笑む。

古道具の手入れ、楽しいじゃないか。これ以上増やしたくないと思っている趣味の一つにしたくなってきてしまった。

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これはなかなか良いものになったのでは。右上に浮かぶ月の明かりが曇り空を照らしているようだ。
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板の上で撮影してみよう

これまでのテカテカしたテーブルと、お手入れしたちゃぶ台を撮り比べてみた。

まずはテーブルから。題材は適当な夕ご飯。

やっぱりテカテカしている。

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鮭と蕪の定食。

お皿を移動させて、新入りのちゃぶ台に並べてみると、ものすごくしっくりした。

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全然違う。

まだちょっと塗ったオイルが馴染んでいない感じがするものの、テカテカはしていない。それなりに時代も付いているし、これはなかなかいいのでは。

これから長く使うことで天板にこぼした醤油などが染み込み、より自然な質感に育ってくれるはず。ストロボや照明の設定も、そのうち決まってくるだろう。

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おかずのお皿が大きくても入ってくれる大きさが頼もしい。丸じゃなくて四角いちゃぶ台でよかった。

これは良い撮影台が手に入ったと喜びつつも、この辺がやっぱりちょっと眩しいなと紙やすりでまた削ったり、削りすぎたのでオイルを塗りなおしたり、しばらくは正解のわからない手入れを楽しんだ。

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このテカりを消したいんですよ。かまぼこ板って便利だな。

 

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ちゃぶ台なら外でも使える

それから数日後、自然光での撮影を試してみたく、近所の川原へとちゃぶ台を散歩に連れて行った。

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天気の良い川原で、お腹を見せて喜ぶちゃぶ台。へそ天というやつだ。
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楽しそうでよかった。やっぱり脚がかわいいよね。

外で見るちゃぶ台は大変かわいかったけど、斜めから射す真冬の自然光は影が強くなりがちで、意外と撮影が難しいことがわかった。

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このカブくらい大きいと全体が入らいない。もっと大きい板が欲しくなってきた。
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自然光だと影が強い。太陽の側から撮ると自分の影ができるし、やっぱり難しいものですね。
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ちゃぶ台は簡単に運べるので、アウトドアでのテーブルとしても活用できそうだ。アウトドア感のない写真になるけれど。

こうして手を入れたちゃぶ台をすごく気に入ったのだが、これが良いものだからこそ、色合いの違うものや、もう一回り大きいものも欲しくなってきてしまった。

すぐにまた古い板かちゃぶ台を買ってしまいそうである。その前に家のテカテカするテーブルを削ろうかな。

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