前日に予想外に地吹雪体験
地吹雪体験ツアーはことしは「地吹雪トレッキング」という名前で開催されているのだ。津軽半島のまんなかあたりの金木という町に12時集合のため、五所川原市で前泊した。
津軽半島の中央。ここは平野です。
五所川原は北海道以上に雪深かった。北海道は道路が除雪されていたが、青森はなんというか、わりと積もりっぱなしだった。それだけ積雪が多いのかもしれない。そしてすでに吹雪いている。地吹雪体験へのテンションがあがる。
ごはんを食べるために外出した。フロントに道を聞いたら、近くてもタクシーで行ったほうがいいと言われたので素直にタクシーを呼ぶ。青森の人は声が小さくて色白で文化系な感じである。親近感をおぼえる。
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で、食事の帰り。ここが間違いなのだが、帰りは歩いてみようと思ってしまったのだ。
タクシーで10分もかからなかったし、たぶん1キロぐらい。吹雪いているなんて滅多に体験できないので面白そうだ。酔いざましにちょうどいいのではないか。
大惨事ドキュメンタリーのイントロのように分かりやすい浅はかさである。同僚との会話に夢中になって大事なボルトを締め忘れる整備士だ。
外に出て歩きはじめた。
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雪が上下左右から舞っている。降ってるのか、地面に積もった雪が舞い上がっているのか分からない。寒さで顔が痛い。バナナを凍らせた北見よりも寒い(→参考「バナナで釘は打てるのか」)。風があるぶん寒さが遠慮ない。
しまった、予想以上に辛い。酔いざましとか言ってすいませんでした。
ごはんを食べた店にもどって「やっぱりタクシー呼んでください!」と言えばいいのだが、それも恥ずかしい気がしたのでやっぱり歩くことにした。
大事故ドキュメンタリーだと「彼はここで二つめのミスを犯します」というナレーションが入るところである。
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善行しても寒いものは寒い
寒さに耐えつつ歩いていると歩道に財布が落ちていた。中を見るとお金と身分証明書が入っていた。歩道の前のスーパーに財布を届けた。
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いいことをしたらこの辛い状況が変わったりして、なんて思ったが関係なく吹雪は寒かった。
やがて目の前に吉野家があらわれた。店に入ってタクシーの番号を聞くがわからないとのこと。みんな最初っから車で来るのだ。歩いて来て帰れなくなるやつなんていない(東京にもいない)。しかし外がどんな気候でも吉野家は吉野家のにおいがした。
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偶然、空車のタクシーが通りかかり、ほうほうのていでホテルに帰った。歩いたのはわずか10分程度だが、ことしいちばん知恵を使った気がする。生き延びるための知恵だ。
今回のツアーにいちど木曜日のライター住さんをやんわり誘ったのだが、あまり乗り気じゃなさそうだったのでそれ以上誘わなかった。
住さん、正解、と思った。