デジタルリマスター 2023年4月9日

地吹雪を体験しに行く(デジタルリマスター)

寒いところばっかり行ってます

サイト開設4周年企画で青森に行ったとき、地元の人に地吹雪体験ツアーがあることを聞いた。面白そうですね。行きます!と調子よく答えたものの、その年はすっかり忘れて行かなかった。

あ、いけね、忘れてた。と思って翌年に行こうと思ったがその年は雪が少ないため中止。今年こそあのツアーに参加せねば。

3年越しのツアーに参加してまいりました(1年は忘れてたんだけど)。

2008年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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前日に予想外に地吹雪体験

地吹雪体験ツアーはことしは「地吹雪トレッキング」という名前で開催されているのだ。津軽半島のまんなかあたりの金木という町に12時集合のため、五所川原市で前泊した。

津軽半島の中央。ここは平野です。

五所川原は北海道以上に雪深かった。北海道は道路が除雪されていたが、青森はなんというか、わりと積もりっぱなしだった。それだけ積雪が多いのかもしれない。そしてすでに吹雪いている。地吹雪体験へのテンションがあがる。

ごはんを食べるために外出した。フロントに道を聞いたら、近くてもタクシーで行ったほうがいいと言われたので素直にタクシーを呼ぶ。青森の人は声が小さくて色白で文化系な感じである。親近感をおぼえる。

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街灯が並んでいるところが道路です。

で、食事の帰り。ここが間違いなのだが、帰りは歩いてみようと思ってしまったのだ。

タクシーで10分もかからなかったし、たぶん1キロぐらい。吹雪いているなんて滅多に体験できないので面白そうだ。酔いざましにちょうどいいのではないか。

大惨事ドキュメンタリーのイントロのように分かりやすい浅はかさである。同僚との会話に夢中になって大事なボルトを締め忘れる整備士だ。

外に出て歩きはじめた。

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わー

雪が上下左右から舞っている。降ってるのか、地面に積もった雪が舞い上がっているのか分からない。寒さで顔が痛い。バナナを凍らせた北見よりも寒い(→参考「バナナで釘は打てるのか」)。風があるぶん寒さが遠慮ない。

しまった、予想以上に辛い。酔いざましとか言ってすいませんでした。

ごはんを食べた店にもどって「やっぱりタクシー呼んでください!」と言えばいいのだが、それも恥ずかしい気がしたのでやっぱり歩くことにした。

大事故ドキュメンタリーだと「彼はここで二つめのミスを犯します」というナレーションが入るところである。

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こんなに寒いのに-1.9度。
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善行しても寒いものは寒い

寒さに耐えつつ歩いていると歩道に財布が落ちていた。中を見るとお金と身分証明書が入っていた。歩道の前のスーパーに財布を届けた。

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僕のテンションとは関係なくスーパーはふつうだ。

いいことをしたらこの辛い状況が変わったりして、なんて思ったが関係なく吹雪は寒かった。

やがて目の前に吉野家があらわれた。店に入ってタクシーの番号を聞くがわからないとのこと。みんな最初っから車で来るのだ。歩いて来て帰れなくなるやつなんていない(東京にもいない)。しかし外がどんな気候でも吉野家は吉野家のにおいがした。

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目の前に吉野家があらわれた。でも歩道が雪に埋もれて行けない。

偶然、空車のタクシーが通りかかり、ほうほうのていでホテルに帰った。歩いたのはわずか10分程度だが、ことしいちばん知恵を使った気がする。生き延びるための知恵だ。

今回のツアーにいちど木曜日のライター住さんをやんわり誘ったのだが、あまり乗り気じゃなさそうだったのでそれ以上誘わなかった。

住さん、正解、と思った。

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