特集 2021年9月26日

バナナで釘は打てるのか(デジタルリマスター版)

5年かけてバナナで釘を打つ話です

2003年、始まったばかりのデイリーポータルZで「バナナで釘うって日曜大工」という記事を書いた。

しばれフェスティバルという氷点下20度になる場所でひと晩過ごすイベントに参加し、その間にバナナを凍らせた記事だった。

しかしバナナだけ外に置けば、僕はあたたかいところにいてもよかった気がする。あの夜、携帯電話やパソコン、デジカメが寒さで次々と動かなくなる恐怖を味わったが、あの経験はいらなかったのではないか。

5年を経て老獪になった僕はスマートにバナナを凍らせることができるのか。

2008年2月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

前の記事:でかいテレビ,レースのテーブルクロス,急な階段~これが人んち

> 個人サイト webやぎの目

撮影しながらバナナ凍らせる

今回は火曜日担当ライター石川、大北による北海道取材チームへの同行である。写真撮影が主な役割のため、自分ひとりの時間はあまりとれない。

ほかの作業をしながらバナナを凍らせるのがよかろう。「ながら」だ。ながら族。そしてバナナがほどよく凍ったころに釘をカッと打って終わりだ。小粋なスピード感である。世界ではじめての小粋さだと思う。

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さて、どこにバナナがあるでしょう
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ここです

バナナは腰にぶら下げることにした。これならば両手が使えるために撮影の支障にならない。なおかつ外気に当たっているためバナナも冷える。

エビアンホルダーをイメージとしたのだが、それ以上にかっこいい。これはありだ。美容師のハサミをいれるポーチ、電気工事の人の工具を入れるかばん。腰からぶら下げるのは職人っぽくてかっこいい。バナナでも。

こうして、僕は世界でただひとりのバナナを凍らせながら写真を撮るカメラマンになった。

撮影中

イベントは北海道北見市で行われた「厳寒の焼き肉祭り」である。大変すばらしいイベントであった。このイベントについてはライター大北くんが後日レポートをあげてくれた。(厳寒の焼肉祭りであの世を見た

僕は撮影(とはしゃぎ役)である。

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イベントを撮影し
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急な電話に対応。
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食事をして
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氷点下の演歌に聞き惚れる。

撮影役でありながら、自分がずいぶん撮られているのが気になるが、腰からバナナをぶら下げたままの3時間が過ぎた。

バナナで釘をうつ

機材を置くためにホテルに戻る途中、バナナで釘を打つことにする。

石川・大北の両名に「ちょっとバナナで釘うつから少し待って」と言う。変わったセリフだと思いながらもそれを言うのが5年ぶりだと思うと感慨深い。

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バナナは僕の腰で冷たくなっている
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ではまいります
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ケーキ入刀みたいな気分で
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振り下ろす
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あ、この感触は
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どこかで見たことがある光景だ

バナナで釘は打てず、釘がバナナに刺さった。イベント会場は火がたかれ、時間もまだ午後8時ぐらいだったのでさほど寒くなかった(といっても氷点下5度ぐらい)。それが敗因だろう。

わかったこと:腰からぶら下げたバナナは凍らない

外国のことわざの下手な翻訳みたいになってしまったが、わかったことは以上だ。

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うっかり雪に触れると、痛い

企画意図を間違えていないか

僕自身も寒さを避けて七輪で暖を取ったりしていたのでバナナも凍るほど冷えなかったのかもしれない。

しかし考えてみれば今回の趣旨は僕は楽してバナナだけを凍らせるということではなかったか。結局僕は外にいたではないか。

もっと楽な方法でバナナを凍らせないといけない。

いったん広告です

ホテルの入り口にバナナを放置する

いったんホテルに戻り、ちょっとだけ食事に行くことにした。同行のライター2名がそれぞれ部屋で荷物の整理をしているあいだ、僕はひとりホテル入り口の植え込みにバナナを置いた。

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雪に触れないようにバナナを置く

これでこのあと僕がごはんを食べたり寝たりしているあいだもバナナが勝手に冷えてくれる、はずだ。

バナナを雪に触れないようにしたのは雪の中はあたたかいからだ。5年前のトライのときに地元の人に聞いた。雪の中はあたたかいからバナナは凍らないよ。かまくらの知恵がバナナに生きている(逆の方向で)。

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北見の街。手袋してないと手が痛い
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寒くて温度計が変な表示に。たぶん-9.7度。

食事をしてホテルの部屋に戻って一息ついた。そのあいだも常に頭の片隅にはバナナがあった。バナナよ冷えよ。

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北見名物の目丼(目玉焼きが乗ってる)を食しているあいだにもバナナは冷える
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ホテルでひと休み、そのあいだもバナナは冷える

翌朝

そして翌朝は快晴であった。しかも-17度まで冷えこんでくれた。バナナは凍っているだろうか。ひとつ気がかりなのはバナナがあるかどうかだ。

カラスや酔っぱらいが持っていってないか心配だ。

同行の石川くんに撮影を頼んで外に出た(大北くんはまだ寝ている)。

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ホテルにはこんなプレートがあった。
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道東の寒さを感じる写真になった
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バナナ発見!

バナナはあった

バナナはかちんかちんに凍っていた。黄色が濃くなっている。5年前のしばれフェスティバルで見た凍ったバナナの色だ。懐かしい。バナナの色で懐かしさを感じる人生を歩むことになるなんて子どものころは想像しなかった。

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じゅうぶんな硬さ
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せーの
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カン、カン
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ばっちりです
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あっさりと達成

僕が楽していようといまいと凍るときは凍る

目的を達成した。僕が屋内でのんびりしていても寒ければバナナは凍る。自分も一緒に凍る必要はなかった。

わかったこと:うまくいくときは楽しててもうまくいく(だめなときはがんばってもだめ)。

同行のライター大北くんが起きてくる前に釘を打つ撮影を終えた。彼はバナナが凍っていたことも知らないし、それで釘が打てたことも知らない。

知らないうちに奇行を達成できたことも妙に爽快である。


冷蔵庫でもいいのかも

帰宅して、撮影に使わなかったバナナを家の冷蔵庫に入れた。

そのとき思った。わざわざ北海道まで行ってバナナを屋外で凍らせずとも、冷蔵庫でよかったのではないか。冷蔵庫では凍らないとしても冷凍庫がある。したの扉だ。冷蔵庫でバナナは凍るか、それで釘は打てるのか。釘が打てたらショックなので試していない。

それはまたまた5年後にしよう。5年ごとにバナナを凍らせる人生である。

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東京に帰ってきたバナナ(イメージ)。

 

(~ここで13年の時間が流れる~) 

2021年からのまとめ:
はい、ここで2021年の林からの解説です。この記事の写真を探しているときに、北見厳寒の焼肉祭りの焼肉祭りの写真が出てきてそれがあまりにいい写真だったので記事とは関係なく並べます。
北海道の地方都市は楽しかった想い出しかない。寒すぎてテンションがあがってしまうのだと思う。 

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これは北見じゃなくて士別(北見のあとに士別に移動し、雪はね大会に参加した。その記事はこちら。「雪かきをスポーツ化・国際雪ハネ選手権に参戦!」
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