うどんのために早起きをする
8月2日の日曜日、文学フリマ高松という同人誌即売会に参加した。
この日のために作った本が、以前このサイトで記事にした「香川県でさぬきうどんを食べ歩く2泊3日14杯の旅」を大幅に加筆修正し、さらにもう一度2泊3日で別の店を巡り、合計31杯を食べた旅日記「さぬきうどんを食べ歩く旅」である。
いきなり宣伝から始まって恐縮です。通販や委託販売もしています。
文学フリマ高松はサークル入場は午前10時から。せっかくだからその前に、さぬきうどんを食べていこうかなと考えたそのとき、確か日曜日の午前中だけ、どこかのお寺で食べられる幻のうどんがあったようなことを思い出した。
スマホで検索してみると、田村神社の日曜市うどんというもので、その値段はなんと200円らしい。年一のイベント価格とかではなく、週に一度ながら通常価格だ。
宿のある高松市街地から、がんばれば車が無くてもいける場所なので、ちょっと早起きをしてそのご利益がありそうなうどんを食べに行くことにした。
長い参道を通ってうどんを食べに行く
スマホの地図アプリによると、一宮駅から田村神社までは徒歩10分ほど。この時間でも30度を超える暑さなので日傘を広げた。埼玉生まれなので馴染みのないクマゼミの大合唱がすごい。
私はアプリが示す道をなにも疑わずに歩いたのだが、ずっと魅力的なルートがあることを帰り道で気が付いたので、そっちで行ったという風に記録しておく。
日曜市うどんを食べる
長い参道を抜けた先、本堂を前に日曜市うどんとやらはどこだろうとキョロキョロしたところ、社務所っぽい建物に「うどん二百円」とだけ書かれた小さな看板を発見。
日曜市というが賑わっている感じはまったくなく、ちょっと不安になりながら入口へ向かうと、硝子戸の向こうにうどんを食べている人たちがいた。どうやらここであっているらしい。
引き戸を開けてそっと入ると、公民館の一室みたいなスペースで老若男女15人くらいがうどんをすすっていた。私のような旅行客よりも、地元の人が多いように見える。
どうやら部屋の奥が受付らしく、また人の出入りもそっちからしているので、私は裏口から入ってしまったようだ。別に誰も気にしていないだろうが、ちょっと恥ずかしい。
こそこそと入口側へと進んで、受付のおじさんに注文をする。
私:「うどん、お願いします」
受付:「なんぼ?」
私:「一玉で!」
受付:「冷たいんと温かいんがあるんやけど」
私:「えーっと、冷たいの」
ここは定番であろう温かいうどんを食べるべきだと思ったが、暑すぎたので冷たいうどんを注文。冷たいうどんにもいろいろあるが、冷たい麺に冷たいかけだしをかけた「ひやかけ」だろうか。
ポケットに用意しておいた200円を渡して、「食券」とだけ書かれた食券をいただく。メニューがうどんしかないからこそのシンプルな食券だ。麻雀の牌みたいに文字が彫ってあるタイプ。
食券販売所とうどんの受け取り口の間には、こちらで「天ぷら」とも呼ばれる揚げ蒲鉾が置かれていた。前の人が自分でお金を払って自分で持って行ったので、どうやら無人販売所のようである。120円。
今でこそ、うどん屋には店で揚げる天ぷらが当たり前のように用意されているけれど、揚げ物をやっていかった小さなうどん屋や製麺所では、こうやって揚げ蒲鉾が置かれていたのだという、香川県におけるうどん屋のトッピングの歴史を感じさせてくれる素敵な展示である。
無人販売所の先で待ち構えるおばちゃんに食券を渡すと、そうめんみたいに水に入ったうどんと、ネギ入りのつけつゆを渡された。
おおお、これは釜揚げうどんの逆バージョン、「冷やしうどん」と呼ばれる提供方法ではないか。ひやかけでも、ざるうどんでもなく、冷やしうどんが出てくるところに歴史と地域性を感じる。
ワカメと天かすは無料サービスなので、下品にならない程度にいただく。


