まとめ
最後にちゃぶ台を返すようだが、コーヒーは濃けりゃいいわけではない。実際に妻はこの「一番搾り」は苦くて飲めたものじゃないと言っていた。なので、この記事での感想はあくまで個人的なものだ。
しかしこんな簡易な方法でも十分濃いラテベースのようなものになるというのは発見だった。また、これまでは「これ以上は薄めちゃってるんじゃないか・・」と漠然と思っていたものが、具体的に何投め以降がそうなのかが分かったのも面白かった。そんなことわざわざ実験しないもの。個人的には5投め以降がそうだった。
パックのコーヒーにお湯を入れていくと、抽出されるコーヒーの色はだんだん薄くなっていく。ということは、最初の一注ぎめだけを集めたものはさぞかし濃くておいしいんじゃなかろうか。
最近コーヒーをよく飲んでいる。なかでも、コンビニやスーパーで売っている20パックで一袋みたいになっているやつが気軽に飲めて好きだ。
パックを開けるとなかにコーヒーの粉が入っていて、そこにお湯を注いで飲む。
こんな感じだ。
商品に書かれた目安によると、1パック8gのコーヒー豆にたいして140mlのお湯を注ぐことになっている。そのとおりに入れて飲むとたしかにおいしい。
なのだが、あるときお湯の量を試しに半分にしてみたところ、これがびっくりするほどおいしかった。甘さや酸味といった味、香りが強くはっきり感じられたのだ。
これはと思いさらにお湯の量を減らしてみたところ、減らせば減らすほど強く味を感じることが分かった。つけ麺のつけだれみたいな感じだ。しかしもちろん量を減らせば、飲める量も減ってしまう。
そこでつねづね、パックに一注ぎしたら次のパックを開けてまた一注ぎ・・という贅沢なことをしたらさぞかし濃くておいしいかろうと夢想していた。ビールの「一番搾り」という商品のコンセプトも同じようなのではないかと(ビール飲めないので雰囲気で)思っている。
しかし二注ぎめ以降を捨ててしまうのはさすがにバチあたりだ。そこで、コーヒーパックに少しづつお湯を注ぎ、注いだ回数ごとの味や色の濃さを比べるのはどうかと思った。
具体的には一注ぎを10mlとして、10回分、合計100mlの抽出をやってみるのだ。まずは最初の一投めから(以降、一投、二投と数えることにします)。
下にあるのは百均で買ってきたミニビーカーだ。小さいのにちゃんとできていて、かわいい。
初回の10mlを抽出してみると、さすがにすごく濃い色をしている。向こうが見通せない。味も確認したいが、飲んでしまうと量が減ってこのあとに差し支えるので、別に用意したパックで同様に抽出して飲んでみた。以下、感想。
・濃い! うまい。
・鮮烈なコーヒーの味
・甘みとか酸味とかいろんな味を強烈に感じる
・これでコーヒーゼリーを作ったらおいしそう
さすがに一投めはおいしい。
以降同様にして10mlずつ10投めまで抽出してみた。
色の点では、一投めが飛び抜けて真っ黒だ。二投めもたいがい黒いが、かろうじて底面の縁が茶色く透けて見える。以降だんだん薄くなっていくものの、6投め以降はあまり変わらなかった。
全体を通して、味の感想はこんな感じだ。
下の方に行けばいくほど字が読みにくくなるが、「薄い。苦い。」しか書いてないのであまり問題ない。
一投ごとの濃さの違いをもうちょっとだけ定量的に比べることはできないだろうか。調べてみると、コーヒーの濃度を測る機械はあるらしい。
ただし3万円以上もするものらしく、ちょっと洒落では買えない。そこで、非常に簡易ながら、1投ごとのコーヒーの色の濃さを画像的に比べることにした。色の要素のうち、明度というやつを比べる。これが低いほど暗い、つまり濃いコーヒーというわけだ。
というわけでやってみた。
・・・あまり参考にならない感じのグラフになった。背景の白い紙の明度が100なので、そこに向かって漸近していくような感じになるかなーと思ったが、そうでもない。
右に行くに従ってそもそも部屋が暗くなっているのでその分を勘案しないとダメかと思ったが、それで補正しても結果はあまり代わり映えしなかった。あるいは20投、30投とやることでまた違うのかもしれない。
ところで4と5の間で明度が急に変わっているが、上に書いた味の感想でも「4と5で明確に違う」と書いているのが面白い。お湯を勢いよく注ぎすぎたりしたのかもしれない。
というわけで、当初の目的どおり、別々のパックからお湯の最初の一投めだけをあつめた「一番搾り」を作ってみた。
これがそうだ。真っ黒。ただし3パック分を集めたところで「もう十分だな・・」という気持ちになったので30ml分しかない。エスプレッソ(専用の機械で抽出したすごい濃いやつ)もだいたいこれぐらいの量らしいので、そういうもんだと思って飲んでみる。
スプーンにすこし掬うときれいな茶色だ。カラメルのよう。
1投めだけを集めたものはなんといっても甘みを強く感じる。そこに酸味とか苦味とかが合わさって、いろんな味が強く感じられてうまい。
それは10投めと比べるとより分かりやすい。
10投めは甘みをほぼ感じない。その代わり、遠くに酸っぱさと苦さがいる。
「一番搾り」を牛乳に入れてみた。
もはやカフェオレ(牛乳+コーヒー)ではなくてカフェラテ(牛乳+エスプレッソ)のようだ。うまいー。
というようにしてコーヒーの一投めだけをぜいたくに使った一番搾りを飲み終えたところで、驚きの連絡が入った。
この記事の前日(水曜日)のライターほりさんの記事で、緑茶を何杯も淹れてだんだん薄めてグラフを書く企画をやるというのだ。
まじかよ。趣旨は違うものの、見かけはほとんど同じ記事だ。前日にほりさんが緑茶をやって、次の日にぼくがコーヒーって、まさに n番煎じ(n=2)じゃないか。しかもほりさんのほうが明らかにちゃんと調べて書いている。
しかも、ほりさんの方も公開の前日に同じような記事があったことが分かったという。
これだ。ライターの榎並さんによる10年前の記事。これも、薄くするか濃くするかという趣旨の違いはあるものの、ほぼ同じ見かけだ。つまりぼくのは3番煎じである。
逆にいうとこれで紅茶、緑茶、コーヒーを薄めたらどうなるかの記事が揃ったというわけだ。いらない蓄積ではあるが、そういうことで許していただきたい。
最後にちゃぶ台を返すようだが、コーヒーは濃けりゃいいわけではない。実際に妻はこの「一番搾り」は苦くて飲めたものじゃないと言っていた。なので、この記事での感想はあくまで個人的なものだ。
しかしこんな簡易な方法でも十分濃いラテベースのようなものになるというのは発見だった。また、これまでは「これ以上は薄めちゃってるんじゃないか・・」と漠然と思っていたものが、具体的に何投め以降がそうなのかが分かったのも面白かった。そんなことわざわざ実験しないもの。個人的には5投め以降がそうだった。
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