特集 2022年9月6日

中国の地方都市に日本語だらけの店があった

日本語を惜しみなく使う店を見つけた。すごいです。

海外で、突然目についたクリエイティブな日本語に惚れることがありませんか。あるんですよ。あってください。

中国の上海でも北京でもなく内陸の湖南省衡陽市にすごい店があったと知人が教えてくれた。以前、「変な日本語品評会」の記事に出ていただいた華村さんだ。

店の名前は喜代手返アルファベットにするとKIYOKO ABURIだという。

 外観からすでに圧倒的な存在感。これは入るしかあるまい。

変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

前の記事:ベトナムのすごい電柱を鑑賞する(デジタルリマスター)

> 個人サイト 旅ライターユニット、ライスマウンテンのページ

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だいまんぞくコクふかいあじわい。そして
おいしいまんぷくになるいいにおいだ。完璧すぎる!
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づぼらやっぽい絵には「うまみ」と書かれていた。

さらに日本語が充満する店内

美味しさが口いっぱいに広がるとはよくいうが
独特な日本語が視界いっぱいに広がるレストランというのはそうそうない。

例えるなら外国人が描くサイバー日本のような、そんな世界がKIYOKOの店内で広がっていた。

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ここにあった。快楽の部屋であり、超幸せな東京の夜が。
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天上、いや天井には「コクがある」「コクふかいあじわい」とあり、奥の壁にも「コクがある」
どうにも味覚でなく視覚でコクにこだわる店のようだ。
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渋谷や上野という地名はバーチャル日本を感じさせる。タイのターミナル21のようだ。他にも鎌倉や札幌や金沢が。

既視感があるとすれば、池袋リアルチャイナ街で見るようなキラキラネオンの中国料理店風景だ。

あの中華料理屋の内装を日本料理屋にいれるとこんな感じになるのだ。

昔はこのような装飾は高コストだったが、今ではそんなキラキラネオンを安く作れてしまう電飾屋さんがいる。草の根の技術力があがった。単に作れる時代になったのだ

将来はAIで描いた日本の街を背景に食事ができるようになるかもしれない。

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改善される変な日本語

キラキラした日本語だらけの店内にも驚かされた。もう少し日本語を見てみる。

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「肉を飲む」「心をゆるめる」「思う存分楽しむ」など普段僕らが使わない組み合わせの言葉を投入してくる。このセンスは学びたい。
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外国あるある、縦書きでも長音を「ー」にしがち。長音は外国人泣かせだ。
日本語は難しい。
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ひらがなにパワーがある。力士人形もクセがある。
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すしと来て、なっとうと来て、またすしだ。それを電球パワーで強める。
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中国の日本語マニアともなると、「の」の微妙な違いを味わうようになる。
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言葉になんかできなくてもいい。
こぼれた日差しに心がにじん~
たまに簡体字が混じってきて意表を突かれる。
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行走の味蕾歩く味蕾
味蕾(みらい)とは味細胞の集まりで、甘味・苦味・塩味・酸味などを感じることができるんですと。ミライトワ。
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この店をアピールするきよこさん。KIYOになったりKIYOKOになったり、この辺のゆるさがいい。

店内の日本語を見ると、使い方が斬新なだけであって、意外にも文法的には変ではない。

実は中国のECサイトでは日本語の内装素材が売られていて、それを利用する日本料理店も多い。だがこの店にあるのは見たことがないものばかりだったので、自力で作ったのだろう。

翻訳クオリティがあがった、これらの日本語は、かつての間違いだらけの定番で懐かしい変な日本語とは違い、斬新さで僕に訴えかけていた。

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昔中国で見た変な日本語とは全然ちがうのだ。
中国のお菓子には変な日本語がいっぱい!より

行きたい店には理由がある

思い出に残るいい店がある。

例えばボリュームが多かったとか、大将と会話して優しかったとか、味だけではないいろんな理由がある。こうやってビジュアルショックで圧倒する店、それもまたいいものだ。

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食事は中国の日本料理屋によくあるラインナップ。
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