行きたい店には理由がある
思い出に残るいい店がある。
例えばボリュームが多かったとか、大将と会話して優しかったとか、味だけではないいろんな理由がある。こうやってビジュアルショックで圧倒する店、それもまたいいものだ。
海外で、突然目についたクリエイティブな日本語に惚れることがありませんか。あるんですよ。あってください。
中国の上海でも北京でもなく内陸の湖南省衡陽市にすごい店があったと知人が教えてくれた。以前、「変な日本語品評会」の記事に出ていただいた華村さんだ。
店の名前は喜代手返アルファベットにするとKIYOKO ABURIだという。
外観からすでに圧倒的な存在感。これは入るしかあるまい。
美味しさが口いっぱいに広がるとはよくいうが
独特な日本語が視界いっぱいに広がるレストランというのはそうそうない。
例えるなら外国人が描くサイバー日本のような、そんな世界がKIYOKOの店内で広がっていた。
既視感があるとすれば、池袋リアルチャイナ街で見るようなキラキラネオンの中国料理店風景だ。
あの中華料理屋の内装を日本料理屋にいれるとこんな感じになるのだ。
昔はこのような装飾は高コストだったが、今ではそんなキラキラネオンを安く作れてしまう電飾屋さんがいる。草の根の技術力があがった。単に作れる時代になったのだ
将来はAIで描いた日本の街を背景に食事ができるようになるかもしれない。
キラキラした日本語だらけの店内にも驚かされた。もう少し日本語を見てみる。
店内の日本語を見ると、使い方が斬新なだけであって、意外にも文法的には変ではない。
実は中国のECサイトでは日本語の内装素材が売られていて、それを利用する日本料理店も多い。だがこの店にあるのは見たことがないものばかりだったので、自力で作ったのだろう。
翻訳クオリティがあがった、これらの日本語は、かつての間違いだらけの定番で懐かしい変な日本語とは違い、斬新さで僕に訴えかけていた。
思い出に残るいい店がある。
例えばボリュームが多かったとか、大将と会話して優しかったとか、味だけではないいろんな理由がある。こうやってビジュアルショックで圧倒する店、それもまたいいものだ。
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