特集 2025年6月24日

地図将棋

頭のなかに日本地図を思い浮かべて遊ぶ二人対戦ゲームを考えた。スタートとなる県から頭の中だけで交互に都道府県を進んでいき、自分の番でゴールの県に辿り着いたプレイヤーの勝ち。実際に試してみた。


地図将棋という遊びを考えた

詳しいルールはこんな感じだ。以下、都道府県のことを県と書く。

1. スタートとなる県とゴールとなる県を審判が決める
2. プレイヤーは先手と後手に分かれる
3. プレイヤーは、現在の県に隣接する県を思い浮かべ、1つを選んで進むことを宣言する
4. 隣接する県かどうかを審判が判断する。隣接していればその県に進み、次のプレイヤーに交代してその県から進む。
5. 交互に一手ずつ県を進めていき、ゴールに到達したほうの勝ち

次の場合は反則負けになる
・隣接していない県に進んだ
・これまでのプレイですでにどちらかが訪れた県に進んだ
・次に進める県がない

文字だと分からないと思う。そこで説明を兼ねてライターのみんなに遊んでもらうことをお願いした。ぼくとしても、この遊びが成立しているか、遊んで楽しいかを試してもらいたかったのだ。

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東京から栃木まででやってみる

橋田さん(左)とべつやくさん(中央)にお願いした

ライターのべつやくさんと編集部の橋田さんに試しに遊んでもらうことをお願いしてみた。よく分からないゲームにいきなり参加をお願いして恐縮である。

あまり土地勘のないところだと本当に難しいので、二人の出身地である関東地方を舞台にすることにした。初回のスタートとゴールがあまり遠くても大変なので、スタートは東京、ゴールは栃木でやってみた。審判はぼく(三土)が行う。

スタートは東京、ここから栃木を目指すことにする
じゃんけんに勝った橋田さんが後手を選んだ

じゃんけんの結果、先手はべつやくさんになった。スタートの東京から隣接する県に交互に進んでいき、自分の番でゴールの栃木に辿り着いたほうの勝ちだ。

まずはべつやくさんが進む県を決める。

べつやく(先手)「東京から栃木?・・(しばらく考える)」
べつやく(先手)「えーちょっと待って。これあいだ一個で行けちゃったりするよね」

するどい。そのとおりだ。

ーー はい。だから、ある県に進むと次で負けちゃいます」​​​​​​
べつやく(先手)「・・・・じゃあ、千葉」

先手は千葉へ進むことを宣言した。もし千葉が東京に隣接していなければ、この時点で先手の負けになる。実際につながっているか審判(ぼく)が確認する。

千葉は東京に隣接していた

千葉はちゃんと隣接していたので「OKです」と告げる。

次は後手の橋田さんに交代して、千葉から隣の県へ進む。ただし、すでにいた東京へは戻れない。

橋田(後手)「栃木に行くのよね?」
ーー そうです。
橋田「千葉に隣接してないとダメなんだよね」
ーー そうです。そして東京以外です。
橋田(後手)「・・・」

橋田さんが長考する。すると会場から「鳥取!」と小声でアドバイスが飛んで来た。

「鳥取!」

ささやき女将を思い出すような小声だったが、その手を指すと即負けである(つながってないので)。

橋田(後手)「隣接してなかったら恥ずかしいんですけど・・」
ーー いえいえ、テストプレイなので気にせずお願いします
橋田(後手)「・・茨城」

橋田さんは茨城へ

会場から歓声があがる。

ーー OKです。隣接してます。

橋田さんがほっとしている。確かにこれ、みんなの前で間違った県を言ったら恥ずかしいってなりますよね。すみません。

次はべつやくさんの番だが、すでに分かっているようですぐに手を指した。

べつやく(先手)「・・栃木」

先手は栃木へ

茨城はたしかに栃木につながっている。そして栃木がゴールだったので、これでゲーム終了だ。

ーー OKです。べつやくさんの勝ちです!

おなじくほっとするべつやくさん。協力ありがとうございます。 

将棋なら「以上3手を持ちまして、先手、べつやく七段の勝ちになりました」みたいなことを記録係が宣言する場面だ。

とまあ、こんな感じのゲームだ。すくなくとも簡単すぎるということはなく、遊びとして成立していそうな気がする。

全員手探りでやっているので、会場からも質問が出た。

聴衆1「橋田さんが千葉から茨城に行ったところで、他に選択肢あったんですか?」
聴衆2「ないですね(即答)」

 

先手が千葉に行った時点で後手は負けが決まっていた

図にするとこう。さっきは後手橋田さんが千葉から茨城に進んだが、仮に埼玉に行ったとしても先手べつやくさんが次の手で栃木に進めるので、結局べつやくさんの勝ちだった。

べつやく「(初手で東京から)埼玉に行ったらわたしが負けるから・・。千葉なら絶対勝てるなと思って」

先手のべつやくさんはそれを見越して、千葉に進んだのだ。地図を見ればそういう手もあるなと分かるが、見ないでやるのは相当難しい。すごいと思う。

ところで、上の図を見ても分かるが埼玉と栃木ってほんのわずかな線でしか接してない。

ここだけ

このわずかな線で接しているのを覚えていたのもすごい。

埼玉、栃木、群馬の三県境が観光地化している?」より

ちなみに栃木と埼玉の県境はこんなところだ。群馬も合わせた三県境にライターの西村さんが訪れて記事にしている。

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旅の写真

地図と室内の写真ばかりになったので、実際にこの棋譜(県の旅)を辿った場合の風景を見ておきたい。

東京を出発して、
べつやくさんが千葉に進み、
橋田さんが茨城へ進んで、
栃木でゴール

最後の栃木の写真は、ライター小堺さんの記事から借りました。(「宇都宮では餃子があちこちで待ち受けている~地元の人頼りの旅 in 栃木県宇都宮市~」

⏩ 次はもうちょっと遠くへ

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