特集 2025年6月18日

生を実感する!週末夜行バス→ネカフェ1泊→夜行バス→そのまま仕事の旅

5月の下旬、京都・大阪へ行ってきた。

思い立って一人、週末の仕事終わりに夜行バス→ネカフェ1泊→夜行バス→出勤という弾丸旅行だ。

しかも夜行バスもネットカフェも10年以上ぶり。

大学生の頃とはあきらかに違う35歳の体には、正直なところどう響くのか。

実録したい。

そこには、忘れていた独特の旅情があった。

平成元年生まれ。令和から原始まで、古いものと新しいものが好き。

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きっかけは鑑真だった

5月の中旬、大阪市立美術館の『日本国宝展』で、教科書にも載る鑑真(がんじん)和尚坐像が2週間だけ展示されると知った。

あの、5度の渡航失敗の末に、日本に戒律を伝えた中国の高僧・鑑真だ。普段は年に3日間だけ公開され、すごい行列の中見るしかない鑑真を、美術館でまじまじと見れる。

行かねば。西域へ。

でも急に有給をとるわけにもいかないし、ホテルも万博の影響で高い。新幹線は1泊2日にはちょっとコスパが悪く感じるし…。

ならばと、10年以上ぶりに夜行バスとネカフェをつかうことにした。

退勤後、
金曜23時 東京出発
土曜6時 京都到着
土曜夜~日曜朝 ネカフェ
日曜24時 京都出発
月曜7時 東京到着
そのまま仕事へ

これなら、安いうえに滞在時間も丸2日とれる。

誰でも思いつくけど、なかなか実行に移す勇気のない弾丸旅行。

実録していきたい。

 

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中央道深大寺バス停へ

学生時代は京都で一人暮らしをしていたため、いやというほど乗った夜行バス。

当時はバスタ新宿がまだなくて、新宿西口の中途半端な場所から乗っていた気がする。

今は東京都調布市に住んでいるため、中央道深大寺バス停という、中央高速のバス停に直接乗れる便がある。これがけっこう便利だ。

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下にシェアサイクルのポートがあるため、家から借りてここで乗り捨てできる

退勤後家に帰ってシャワーを浴びて、自転車でバス停までいける。そして気づいたらもう京都なのだ。

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怖いけどトイレもついている。寝る前のトイレはここ
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暗い階段を上ると…
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中央フリーウェイだ。金曜夜はけっこう渋滞している

22:50頃に到着予定。でもこの渋滞だと、すこし遅れるか。

15分早めに来てくださいと案内があったので来たが、バスはいつ来るか。

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白熱灯に虫がぶつかる、小さな待合所がある

座ろうか、でも中で座って待っている間に、バスが来ていってしまったらどうしよう。やっぱり外で待とう。

何度も時計をみる。

もう出発時刻を過ぎたけど、この渋滞だから早く着いたってことはないだろう。待ってればいいんだと思うけど…。

ああ、この無駄にやきもきする感じ、なつかしい。

夜行バスを待つ時間は、新幹線よりもこころぼそいのだ。

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20分遅れで無事到着。が、乗れたという写真を撮る余裕はなかった

 今回乗るのは3列シートのすこし余裕のあるタイプである。

週末なので正直9000円くらいしたが、さすがに学生時代に乗っていた4列はもう勇気がない。

あの頃は夏休みの平日の4列、2000円くらいでいけたな…。

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上からネックピロー、アイマスク、耳栓、目薬、マスク、腰当て。大人は準備がよいのだ
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ネックピローに空気を入れる。シューという音が静かな車内ではすこし目立って焦る。そういえば昔は乗る前に準備してたぞ
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フル装備である。これだけあれば誰も俺を起こせないはずだ

さあ、あとは眠りさえできればすぐである。

気付いたら、京都についているはずなのだ。

社会人としての、仕事の疲れも大きい。

バスに乗るだけでテンションが高まってしまう大学生とは違う。

眠ろう。

眠ったらすぐだ。

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おやすみなさい

……とはいえ、このバスは中央道深大寺のあとも、日野や八王子でも停まり、SAでの休憩をはさんだ後にならないと完全消灯しない。

暗い時間は正味5時間。

また、最大140度リクライニングだが、後ろの人との兼ね合いで、それなりのところで空気を読まないといけない。

何より10年ぶりだ。慣れてない。

自宅のソファを思い浮かべる。

本当は自宅にソファはないのだが、自宅にこんなソファがあったら、睡魔が襲ってきて抗えないはずだ。

いつも仕事終わりは眠くてたまらないじゃないか。

眠い、眠い。

俺は眠いぞ。

どこかに意識を残したまま、夜は過ぎていった。

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その後はスムーズに進み、30分早く京都につきました

まあなんだかんだ3列は快適で、微妙に寝返りをうてるし、慣れている人なら熟睡できるだろうと思う。

すっきり…とはいえないが、眠いわけではない。肩~首の後ろがちょっと凝っている、それが頭痛につながりそうな雰囲気はある。

週末に入りテンションが上がって2時くらいまで起きてしまい、習慣で7時過ぎに起きた…それくらいの感じ。

家にいたら、間違いなく布団でゴロゴロして昼寝する感じだ。

とはいえ、旅行のテンションもあり結局1日元気に過ごすことができたので、これはこれでアリだと思った。

 

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ああ懐かしの京都八条口、そして早朝のマクド

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懐かしの京都駅八条口についた

夜行バスで発着する京都駅八条口は、新幹線の京都駅とは雰囲気がことなる。例えるなら新幹線は激込みでドキュメンタリー調なのに対し、こっちは人の出会いと別れが染みついているというか、ちょっと哀愁ある人間ドラマなのだ。

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茶色く景観規制されていることも影響してるかも

東京なら上野駅に感じるような、にぎやかな寂しさ、というものがある。懐かしいな。

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夜行バスの友、早朝からやっているマクドだ
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開店前から行列になっている、さすがインバウンド時代

 ここでちょっとだけ思い出話をさせて欲しい。

筆者は2009年4月京都にある大学に入ったのだが、もともと京都に憧れて…という話ではなく、東京の志望校に落ちて、うわあどうしようと頭が真っ白の中、急遽受けて受かったのがこの大学だった。

日帰りで大急ぎで部屋を借りた後、引っ越しの日の朝、はじめて夜行バスをつかって京都に着いたのだ。

その朝も、この八条口のマックに入ったのだった。

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店内は混んでいるし、今の京都は店員さんもグローバルだ

知らない土地ではじめての一人暮らしをする心細さ、それほど行きたかった大学ではないこと、でも懐深く送り出してくれた親、ここで何とかしていかないといけないんだな…という、じんわりとした決意。そんな懐かしい気持ちが蘇ってきて、すこし気恥ずかしくなる。

記憶の中のマックはもっと薄暗くて、人もまばらで、朝帰りの若い女性がだべっていたような気がする。確か場所も移転したような…。

あの時は、店内から聞こえてくる関西弁のたわいもない雑談が新鮮だった。京都にきたんだなあと実感した。オチのない話を、関西弁でしてもいいんだと知った。

それから数年、マックはマクドになったし、この八条口を何度も何度も使うことになるのだ。

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(とりとめない思い出話に付き合ってくれてありがとうございます)

 

⏩ そして夜になりネカフェ一泊

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