特集 2024年11月19日

実際、お札を燃やすと明るくなるのか

「どうだ明るくなったろう」

そう言いながら紙幣に火をつける男性を描いた有名な風刺画がある。

今まで見過ごしてきたが、実際のところお札を燃やして明かりになるものなのだろうか。模擬紙幣で試してみよう。

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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「どうだ明るくなったろう」の風刺画

学生時代の歴史の授業は、教科書をペラペラめくって風刺画を眺める時間である。中国分割や釣りの絵を穴が空くほど見たものだ。

今回取り上げる「どうだ明るくなったろう」の絵も教科書に載っている有名な風刺画のひとつ。

当サイト岡本さんの記事『「どうだ明るくなったろう」山本唯三郎の意外な人生をたどる』より。ためになります。

暗がりで靴を探す女性のために、とある成金が百円札に火をつけている様子を描いたものだ。お札は1枚ではなく束だったという。

紙幣に火をつけて燃やすというスカッとした方法でお金持ちアピールができた時代というのは微笑ましい。今はスマホゲームのガチャをしこたま引いてみたり、他人を密室に閉じ込めて賞金を渡したり、持って回ってせわしない。

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100万円分の模擬紙幣

成金アピールはけっこうなことだが、あれが本当に明かりになったのかどうかが気になる。まず、熱いだろう。次に、火元があるならそれで照らせばいいじゃないか。

いろいろ引っかかるが、実際にやってみて解像度を上げよう。そういうわけで札勘用の模擬紙幣を買った。

100万円分の模擬紙幣
「どうか諦めずに頑張ってください!」同封の説明書のテンションが高い

触ってみると実際のお金とはちがいテカテカした素材だったが、大きさは申し分ない。説明書の熱意あるメッセージに心が痛むが、これを燃やそう。 

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せいいっぱいの成金スタイル

せっかくなので家にあるもので当時の成金の格好に寄せてみた。

せいいっぱい

おかしいところがいくつもありますが、一番おかしいところはどこでしょうか。ランキング形式で発表します。

3位:パンツにめちゃくちゃ穴が空いている
2位:金持ちの家の壁にしては木の節が多すぎる(右側に注目)
1位:ネクタイがランチョンマットを折りたたんだものである
ほらネ

それでは、気分も高まったところで財布に模擬紙幣を入れて外に出ます。

バケツの水も持っていきます
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札に火をつける

風刺画では玄関の暗がりを照らしていたが、僕にそんなことはできない。火事を起こしたときに責任が取れないからだ。

あの成金はもしボヤ騒ぎを起こしてもカネですべて解決できるという余裕をアピールしたかったのかもしれない。そう思うと強い。

見えていますか

外は暗かった。

風刺画では靴を照らすために札に火をつけていたが、確かにこの暗闇の中で靴を探すのは大変だ。靴の色が黒ならなおさらで、なにか明かりが必要というのは頷ける。解像度が上がっていく。

確かに暗いとお靴が分からないわ。

ここでおもむろに財布から札を取り出す。本物の札はすべて抜いてきたが、なにぶん暗くて不安になる。

20万円ぶんくらいの模擬紙幣を手に取ったところ

よし、今こそ火をつけて靴を照らそう。

ちなみに僕は小学生のころ区の少年消防クラブに所属していたので、火の取り扱いや消火については心得がある。いま思えばどういうツテで入会するんだそのクラブは。

ありし日

 それじゃあいきます!着火!make a fire!

懸念通り、ライターで明るくなってしまっている
着いた!明るい!

火がついたが、足元を照らすほどの明るさにはならない。これが屋内だとまた違うのかもしれないけれど。あと手元に火があるのがめちゃくちゃ怖い。

火を靴に近づけて照らしてみよう。

靴と火が1mほどの距離。全然わからない
50cmくらい。少し靴が見えてきた
30cm。しっかり見えた!

おお、札で靴が照らせた。

札を燃やして靴を探すなら30cmほど近づけなければいけないということが分かった。ためになるサイトである。

水を張ったバケツの上で限界まで燃やしてみる
熱い!!!
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ハウツー・その他

せっかく試したことなので、紙を燃やして辺りを照らすときの知見を共有しておきたい。

まず、束だと火がつきづらいということ。酸素の供給の問題だろうか。少なくとも着火に際しては1枚でのぞんだほうがいい。

1枚をクシャクシャにしてから火をつけるとよかった

また、火が上がってくると熱くて手を離さざるを得ないのだが、そうするとお札の形がわりかし残るということ。明かりとして使ったあとでも銀行で満額交換してくれそうなくらい残る。

結構そのまま残っている

手の中で燃やしきるにはよっぽど勇気が必要で、それは成金たることの条件のひとつかもしれないと思った。僕はぜんぜんだめでした。

それはそれとして、月が明るいですね

これも気づきのひとつだが、明かりもつけずに外に出ると月の明るさを感じるのだ。雲で覆われると暗くなり、露出するとまばゆい。お札に火を着けるだの着けないだのは小さなことなのだ。

ところで、これは何をしているところでしょうか
答えは資金洗浄でした(ゲス顔)

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