バンクシーから東京への贈り物?
過日、あの覆面アーティストのバンクシー作と思しき落書きと、知事が一緒に写っている写真を、ツィッターの公式アカウントで拝見いたしました。
たしかに、防潮扉の端っこにバンクシー風のネズミの落書きが見えます。
この落書きは、ずいぶん昔からあったようで、グーグルストリートビューを確認しますと、2009年にはすでに描かれていたようです。
件の落書きが、バンクシーのものかどうかはわかりませんが、社会的な批評性があると言われているバンクシーの作品を、東京都の知事が「カワイイ」「東京への贈り物」というのは、とてもユニークなものの見方だと感じ入りました。
さて、そんなことはどうでもよく、知事にぜひお伝えしたいのは、このバンクシー風の落書きは、影絵で簡単に再現できるのでは? ということです。
バンクシーの作品は、ステンシルという技法が使われますが、これは型紙を切り抜いて、その空いた部分にスプレー塗料を吹き付けて絵を描くというやり方です。公共物への落書きは、本来ならば、犯罪となってしまうため、すばやく落書きを描くための方策として、このような手法が使われると聞きます。
しかし、このステンシル、逆に、切り抜いたほうを透明なプラ板かなにかにはりつけて、後ろから光を当てれば、影絵になるのではないか。と、そんなことを思いつきました。
デイリーポータルZでは、なんどもバンクシーのネタ(その1、その2)を取り上げており、いささか食傷気味かもしれませんが、寛容なる心でもってご覧頂きたい所存でございます。
切り抜くよりも、なぞったほうが早い
そんなわけで、バンクシーの落書き部分を拡大し、色調補正で2階調化しコピー用紙にプリントアウトしてみました。
切り抜いたものを、懐中電灯で照らしてみたところ、びっくりするほど、とてもよい感じの影絵になってしまいました。バンクシーの絵が家の中に、しかも合法的に現れたわけです。
しかし、ここでさらにふと思ったのです。これって、わざわざ切り抜きしなくとも、プラ板の下に元の絵を入れて、上からなぞればそれでいいのでは? つまりトレースすればよいのではと気づきました。
写真を画像処理ソフトなりアプリなりで、2階調化し、拡大コピーしたものを、プラ板の下に入れて、ポスカや油性マーカーでなぞるだけで影絵のプラ板が完成しますので、めちゃめちゃ簡単です。私のようにまったく絵心が無くても、かなり完成度の高い影絵を作ることができます。
せっかくなので、ネズミだけでなく、影絵をいくつか作って例の場所に持って行きました。
例の場所で、バンクシーの絵を再現
あの、ネズミの落書きがあった防潮扉近くの日の出駅にやってまいりました。
報道では、落書きのあったぶぶんの板を取り外し、交換したとのことで、そのとおり、いちばん左の板が真新しくなっていました。
暗くなるまで待ち、ネズミの再現を行ってみます。
みてください、この再現度。バンクシーの影絵としては100点満点に近いものが、懐中電灯の明かりに照らされ、浮かび上がってきました。さらに、これのすごいことは、公共物に落書きをしなくても済むということです。コンプライアンス遵守のバンクシーです。
バンクシーの絵は、あえて、公共物に落書きするという行為によって、社会的な批評性をもたせるという一面もあるわけですが、この影絵は、その部分をまるごと取りさってしまっているので、白湯みたいなものといえます。
ちなみに、後ろからあてる懐中電灯は、LEDにしろ、電球にしろ、1個のものがおすすめです。複数のLEDを光らせるタイプのライトは、光源が多すぎて影絵の輪郭がぼやけてしまいます。
さらに、プラ板と懐中電灯の間隔を調節すれば、影絵のサイズとピントを調整することができますが、プラ板の影絵があまりに小さいとこれも輪郭がぼやけてしまいます。影絵の大きさはA4かB5サイズぐらいのものがちょうどよいようです。
以上、バンクシー風の絵は、影絵で再現できる。ということのご報告でした。
影絵は絵心がなくても簡単にできる
都知事、いかがでしたでしょうか。
バンクシー風の影絵、というかプラ板で絵をなぞってトレースし、懐中電灯で照らすという手法は、絵心がないぼくでも簡単に影絵を作ることができたので、ぜひおすすめしたいと思います。材料はすべて東急ハンズやホームセンターに行けば売っています。
都知事も、普段は議会やら政務やらのお仕事が大変でしょうから、お時間のある時で構いません、ぜひ、影絵を作ってみていただければと考えております。
以上、乱筆乱文ながら、バンクシー風の影絵について、お伝えさせていただきました。
寒さ厳しき折、みなさまにおかれましては、一層ご自愛なさいますようお祈り申し上げます。 敬具。