特集 2019年2月2日

もし家のあちこちにバンクシーが現れたとしたら

昨年、オークションでのドッキリも話題になった世界的覆面アーティスト・バンクシー。

世界各地に(先日は東京にも?)神出鬼没で現れ、社会問題を提起するアートを描く、だいぶカッコイイやつである。

ところで、そんなバンクシーが、もし僕らの家の中に現れたとしたら一体どんなことになるのだろうか。

誰しも気になると思うので、実際にアートしてみて、調べてみたいと思う。

多摩在住のイラストライター。諸メディアにおいて、フマジメなイラストや文章を描くことを専門としながらも、昼は某出版社でマジメな雑誌の編集長をしたりするなど、波乱の人生を送った後に、新たなるありのままの世界へ。そんなデイリーポータルZでのありのままの業務内容はコチラを!(動画インタビュー)

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先日も、大気汚染で悪名高い町の一角に、

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焼却炉からの灰が雪のように少年に降り注ぐさまを描き、環境問題を訴えるアートとして世界的に話題になった。

そんな社会に警鐘を鳴らすバンクシーが、

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もし僕らの家の中に現れたとしたら一体どんなことになるのか、

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さっそく見ていこう。

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●出没ポイント(1)「CDラジカセ」

まず最初は、家になんとなくありがちなこのアイテム

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CDラジカセにて。いきなりの昭和的なフォルム感、グッとくる。あらゆる音源がデータ化される昨今、実家においてはまだ現役だったりするのが胸アツだが、

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しかもヤバイのが、カセット部分。懐かしすぎる。とりあえず、昭和的な形状のボタンを、

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昭和的な質感でガッと押すと、昭和的な開閉音でガチャッと開く。

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と、懐かしの感覚に、昭和の思い出が駆け巡りそうになったそのとき、カセットデッキの中から、

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このたび、登場してしまったのが、コチラである。

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あらまぁ。シャーラップとのことでね。

つまりはこれ、ラジカセによる騒音問題に対してその撲滅を訴える、アートなのであった! …まぁ今まったく聴いていないのだけれどね。でも一応気をつけましょう。

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…ちなみに、今さっきココから取り出したカセットなのだが、よりによってこれ

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「パラダイス銀河」ということでね。

子供時代に書いた直筆ラベルも震えるけど、あの光GEなにがしのチョー名曲である。すっかり大人になった僕らだが、実は誰もがシャカリキコロンブス。ときにはパラダイスで、遊ぼうじゃないか…。

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●出没ポイント(2)「片隅」

そして続いては、家のチョー片隅であるが、

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そんな場所に積まれがちなのが、そう

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ジャンプ。

買われ続けてきた積年のジャンプが、捨てられなくてなんとなく放置されているものだろう。全員ジャンプっ子前提で話を進めてしまうのは、ジャンプっ子の悪い癖だが、

そんなジャンプを

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久方ぶりに

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ちょっと片づけてみようとしたところ、

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いわばゴミ問題とも言えるこの状況に警鐘を鳴らすべく、登場してしまったのが、コチラである。

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あらまあ。この大量のジャンプの下敷きになって、ずっとぶっ倒れていた方が。つまりはこれ、無造作にジャンプを置き続けないでくれ、という非業のアートなのであった。

ここまでの大ダメージ。さぞ重かったことでしょう。しかし、ぶっ倒れているこの彼、よく見たら、ジャンプ的には、ぶっ倒れレジェンドと称される、あの

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ヤムなにがし? っぽく見えるのは、偶然なのだろうか。

栽培マンという明らかなザコ敵に対し、「オレにやらせてくれ」と強者感出し余裕たっぷりで挑むも、あっけなくぶっ倒された名シーンが確かによぎるが

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きっと偶然であろう。とりあえず、ゴミはためすぎないでくれよなッ!

ではこんな調子で、まだまだ家の中を見ていこう。

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●出没ポイント(3)「キッチン」

今度はキッチンである。

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キッチンと言えば、お湯。みんなも沸かすだろう。

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例えば鶴瓶のとか。

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そんな鶴瓶の満面の笑みとは裏腹に、辛い思いをしているのが

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ヤカンである。

何かを熱したいという人間のエゴによって、IHとはいえ、いつもガンガン熱せられて、さぞ熱いことだろう。

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そんな問題に警鐘を鳴らすべく、このたび登場してしまったのが、コチラである。

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あら熱そう。つまりはこれ、ヤカンによるアツみを訴えている嘆きのアートなのであった。

そりゃ熱いよね。直にチョー熱だしね。

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でもこの体形、加熱関係なく、アツそうではあった。まぁ今後はちょっと気を遣おう。

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●出没ポイント(4)「ドア」

続いては、家の中にある

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ドアである。

人間がどこかに移動するたびに、開閉させられるアレだが、そもそもこんな板が、なぜ器用に開閉してくれるのか。

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なんだかももも気になっているようだが、それはさておき、

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そんな人間のエゴの犠牲となっているモノが

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確かに存在するのであった。

そこで、そんな問題に警鐘を鳴らすべく、このたび登場してしまったのが、コチラである。

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あら痛そう。つまりはこれ、ドアの開閉のたびに痛い目にあっている蝶番(ちょうつがい)の憤慨アートなのであった。人間が開閉するたびに、バッタンバッタン潰される彼。

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蝶番ゆえに、うっすら蝶っぽくなってはいるが、そんなの慰めにもならない。開閉の度にもがき苦しみ、もう身体はボロボロであろう。

こんな犠牲のおかげで我々はドアを開閉できるのであり、

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今後開閉時には、蝶番に罪悪感を抱くようにしよう。

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●出没ポイント(5)「バルコニー」

場面変わって、家の庭にあるバルコニーにて。

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バルコニーという名称なのかは知らないが、ももは暇な時(いつもだけど)、ココでだらりと日向ぼっこしている。

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ココは日当たりがいいらしく、温かくとても快適な模様。のんべんだらりといい身分である。うらやましい。そこで、また

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飼い主としてちんたらいじっていたところ、ん? ももの下に何かちょこっと黒ズミが。そこで、ももを

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物理的にはこういうベクトルで、ズラすことにする。

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はい、ももごめんねー

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と、ズラし続けていくと

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「いや~ん!」

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と、ついに立ち上がったもも。あらごめん、と告げたその時、そんなスペースに、このたび登場してしまったのが、コチラである。

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あらまぁ。もっと光をと。つまりはこれ、ももがその場で日向ぼっこするせいで、太陽の光を受けられないという、日照権を訴えるアートなのであった。

まぁこればっかりは、ももの気まぐれな日向ぼっこ欲次第の運ゲーゆえ、しょうがないってことでね。運命を恨んでくださいませ。

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しかし、「もっと光を!」とはほぼゲーテ、この犬が不憫になったのは確かであった。

ではまだ気丈に、家の中を見ていこう。

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●出没ポイント(6)「スマホ」

一方、今度は家でスマホをやっている、

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ようなのだが、その手にしているスマホ、やや様子が変。

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 スマホからスマートさが感じられない。

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とにかくカバーがメッタメタ。純粋に汚れているうえに痛々しく崩壊している。

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そんな悲惨な事態に警鐘を鳴らすべく、このたび登場してしまったのが、コチラである。

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あらまぁ。さすがにボロすぎる、ということでね。
おそらく4か5S、というスペックの古さはもちろん、カバーも大概だが、このご時世、この形状にあったスマホカバーがもうなく、買い換えられないのだッ!!

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で彼も、どことなくタートルネックっぽくプレゼンしてくれているが、彼も嘆いてしまうほどのボロさなのであろう。

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 でも、いけるところまでいこうと思うぜ。

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●出没ポイント(7)「犬のゴハン」

そうこうしているうちに、いつしか愛犬ももに、ゴハンをあげる時間になった。

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いつも謎のビジュアルになるもものゴハン。あげる前にはシツケ的にも「お手」をさせているので、

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じゃあ、もも、食べる前に「お手!」と強いてみるが、

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…ちょっと、「お手!!お手を!!」…しているのかどうかはよくわからない。

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けど、もうゴハンの前ではアウトオブコントロール。食べ始めてしまうのであった。もういいや。

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その怒涛の流れで、目を輝か喰らいまくるもも。

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それそんなに美味しいのか。
と、そんななか、ゴハンの合間から

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何かが現れつつある!?

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一体あれは…! ということで

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ももの実食完了とともに、このたび登場してしまったのが、コチラである。

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あら悲惨そうな。もっとくれ、と。つまりはこれ、もっとゴハンを欲しいという、

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犬の飢餓を訴えたアートなのであった。

って、いやいや犬、十分もらっている。四六時中、いろんなもの欲しがって、間食しまくってるから、結局は相当量食べているはずである。もうそれで許してくれたまえ。

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     「もっとくれ」

というわけで、いろいろ見てきた結果、家の中にバンクシーが出没するとだいぶウザくなる、けれど、生活における様々な問題への意識が高まる、ということになったのでした。

ではもうそろそろいいでしょう。ではまたおやすみなさい。

 

はい、以上いかがでしたでしょうか、今週の「俺たちバンクシー」。これからも社会問題に警鐘を鳴らしていきましょう。

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※今回のバンクシー出没アート、自宅で実際やってみたい方のために、その制作の真相を「コチラ」にこっそり公開しておきます。

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●出没裏話「大人のやり方」

そんなバンクシーが出没しまくった我が家だったが、自宅でバンクシーしたい人もいるかと思うので(いるの?)その制作の真相を、こっそり紹介しておこうと思う。

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今回のこの不毛アートだが、やってることは事実上、ただの落書き。
ただ、家の中に落書きしまくるのは子供時代ならならまだしも、大人な今ではさすがに良心の呵責がある。
そこで、今回駆使していたのがこの

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テープ。もちろん100均でGETだが、

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なんと透明という優れもの! 地の部分がなんかテカっていることからもわかるように、

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各出没スポットにまず

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この透明テープをベターっと貼り敷いたうえで、

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そこにペンで(本家はスプレーだが諸事情により今回はペンにて)

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絵を描きまくっていたのであった。

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できるかぎりバンクシー的なモノクロ感を意識してね。

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いちおう部屋や家具は汚さないモラルと人間的成長は認めていただきたい。
ただ、現場に直で描きにくい場合には、

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完成をイメージして

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透明テープに直接

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書いてから

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現場に貼りつける、という謎の職人スキルにて、アートを誕生させていたのであった。

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と、そんな形で最低限は具現化できるので、

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バンクシーしたい人はぜひ参考にしていただけたら幸いです。どうぞよろしくおねがいいたします。

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