特集 2023年8月3日

700kgのソリを引いて走るばんえい競馬は、馬だけでなく人も走る

今年の6月、北海道の帯広に行ってきた。前に記事で書いた天売島の後である。

帯広にはばんえい競馬という一風変わった競馬があるという。普通の競馬は騎手が馬に乗って疾走するが、ばんえい競馬は700kgほどもあるソリに騎手を乗せて引きずるのである。馬はサラブレッドではなく、輓馬(ばんば)という屈強な農耕馬。なんとダイナミック!

競馬のことはほとんどわからないが、頑張る馬たちの姿を見たくてばんえい競馬に行ってきた。

変わった生き物や珍妙な風習など、気がついたら絶えてなくなってしまっていそうなものたちを愛す。アルコールより糖分が好き。

前の記事:北海道・天売島にて、子育てするウミネコの大群に感動した話

> 個人サイト 海底クラブ

思ったより空いていた帯広競馬場

競馬のことはほとんどわからない私だが、大昔に一度だけ阪神競馬場で宝塚記念のレースを見たことがある。

それまで競馬というと「みどりのマキバオー」しか知らなかったので、競馬場といえば全裸のおっさんがひしめき合っている場所という刷り込みを受けていたのだが、もちろんそんなことはなく、実際の競馬場は老若男女あらゆる人々がひしめいていた。

人が多いのには辟易したが馬と騎手たちはかっこよかった。

だから帯広競馬場へ来た時もそれなりの混雑を覚悟していたのだが、

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割とすいている。
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外もこんな感じで人がまばらだ。

帯広競馬場は思ったより空いていた。

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「本日のイベント:入場無料」とあるが、基本的にいつでも無料らしい。

「入場無料なのにこんなに空いてる!ありがたいけど大丈夫なの!?」と心配になったが、新型コロナウイルスの流行以降にネットで馬券を買う人が増えたため業績としてはここ数年は絶好調の状態らしい。

とりあえずよかった。

が、競馬は賭け事なので栄えたら栄えたで世の中の行く末が不安になってくる。勝手なものである。

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入り口横には神社があった。その名も輓馬(ばんば)神社。
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パドックで馬を品定めする

場内に入るとすぐ、次のレースに出場する馬がパドックを行進するというアナウンスがあったので、行ってみることにした。いわば出走前の馬のコンディションの最終チェックである。

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騎手とばんばが颯爽と登場。かっこいい!

一目見て驚いたのがそのすさまじい重量感。大きくいかついのだ。

サラブレッドが歩く音が「パカッパカッ」なら、こちらは「ノッシノッシ」という音が聞こえてきそうだ。荷車や、畑を耕すための鋤を引っ張る仕事は軟弱な馬ではつとまらないのだな。

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たてがみの飾りがきれい。

派手な鞍を載せたり、馬によってはたてがみに飾りをつけてもらったりしているが、隠しきれない質実剛健さというか素朴さというかが滲み出ていて、そこがまたよい。

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りんごがモチーフになっているところが渋いではないか。
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場内の売店で売られていた蹄鉄。左がサラブレッド、右がばんば。車格の違いがわかると思う。

競馬の予想の立て方にはいろいろな理屈があるらしいことを、今日ここに来てからGoogleで検索して知った。

慣れてくるとそれなりにコンスタントに勝てるものらしい。が、こちとら今日が生まれて2回目の競馬場という素人(友人数人と一緒に来たが競馬経験が皆無に近い者ばかりだった)だ。小難しい分析などできるわけもない。

自分たちの目を信じて、フィーリングで選んで馬券を買うことにした。

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興奮して跳ねる馬もいた。危ないから手綱をもつ飼育員も二人がかりだ。

暴れる馬は注意力散漫ともとれるが、やる気に満ち溢れているということもできる。口の周りに泡をつけているのが人間なら救急車を呼ぶところだが、馬にとっては興奮して力がみなぎっていると見ることもできる。ソリを引くわけだから大きい馬の方が有利な気がするが……。

だめだ、考えてもきりがない。友人とあれこれ言い合って頭が混乱しているうちに、パドックは終了して馬たちは去っていってしまった。

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スタートラインに向けて去っていくばんば達。

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