思ったより空いていた帯広競馬場
競馬のことはほとんどわからない私だが、大昔に一度だけ阪神競馬場で宝塚記念のレースを見たことがある。
それまで競馬というと「みどりのマキバオー」しか知らなかったので、競馬場といえば全裸のおっさんがひしめき合っている場所という刷り込みを受けていたのだが、もちろんそんなことはなく、実際の競馬場は老若男女あらゆる人々がひしめいていた。
人が多いのには辟易したが馬と騎手たちはかっこよかった。
だから帯広競馬場へ来た時もそれなりの混雑を覚悟していたのだが、
帯広競馬場は思ったより空いていた。
「入場無料なのにこんなに空いてる!ありがたいけど大丈夫なの!?」と心配になったが、新型コロナウイルスの流行以降にネットで馬券を買う人が増えたため業績としてはここ数年は絶好調の状態らしい。
とりあえずよかった。
が、競馬は賭け事なので栄えたら栄えたで世の中の行く末が不安になってくる。勝手なものである。
パドックで馬を品定めする
場内に入るとすぐ、次のレースに出場する馬がパドックを行進するというアナウンスがあったので、行ってみることにした。いわば出走前の馬のコンディションの最終チェックである。
一目見て驚いたのがそのすさまじい重量感。大きくいかついのだ。
サラブレッドが歩く音が「パカッパカッ」なら、こちらは「ノッシノッシ」という音が聞こえてきそうだ。荷車や、畑を耕すための鋤を引っ張る仕事は軟弱な馬ではつとまらないのだな。
派手な鞍を載せたり、馬によってはたてがみに飾りをつけてもらったりしているが、隠しきれない質実剛健さというか素朴さというかが滲み出ていて、そこがまたよい。
競馬の予想の立て方にはいろいろな理屈があるらしいことを、今日ここに来てからGoogleで検索して知った。
慣れてくるとそれなりにコンスタントに勝てるものらしい。が、こちとら今日が生まれて2回目の競馬場という素人(友人数人と一緒に来たが競馬経験が皆無に近い者ばかりだった)だ。小難しい分析などできるわけもない。
自分たちの目を信じて、フィーリングで選んで馬券を買うことにした。
暴れる馬は注意力散漫ともとれるが、やる気に満ち溢れているということもできる。口の周りに泡をつけているのが人間なら救急車を呼ぶところだが、馬にとっては興奮して力がみなぎっていると見ることもできる。ソリを引くわけだから大きい馬の方が有利な気がするが……。
だめだ、考えてもきりがない。友人とあれこれ言い合って頭が混乱しているうちに、パドックは終了して馬たちは去っていってしまった。