特集 2023年8月3日

700kgのソリを引いて走るばんえい競馬は、馬だけでなく人も走る

馬券を買う

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マークシートにいろいろ書き込んで機械に投入すると馬券が買える。
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馬券。勝っても負けてもなんともないショボい金額だ。

単勝は一着になる馬を予想する賭け方、複勝は選んだ馬が三着以内に入れば勝ちとなる賭け方。わかりやすいものだけにしたけれど、他にもいろいろな賭け方があって複雑なものほど勝った時の還元率がよいらしい。

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馬券を買ってしまってから、壁にプロの予想が張ってあることに気がついた。

競馬新聞はともかく、名前を出して個人で予想を掲載している人がたくさんいて驚いた。プレッシャーがすごそうだ。

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横にいた友人が「予想が外れて全財産すった人に焼き討ちされそう」と物騒なことを言っていた。

ともかく、もう馬券は買ってしまったわけだから今さらあれこれ言っても仕方がない。我々は馬たちの勝負を見届けにコースへと向かった。

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そしてレース開始!

ここでばんえい競馬の特徴をおさらいしておこう。

まず、なんといっても一番おもしろいのは馬たちが重たいソリを引いて競争することだ。

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700kgのソリ+騎手を引いて走る。

そして、もう一つの特徴というか、馬たちにとっての受難が、コースの途中に小さな「山」が設置されていることである。

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コースにこんな感じの「山」が二箇所設置されている。

よく、途中で投げ出さずに走り切ってくれるものだとばんばたちの従順さに感心する。しかしただ走るだけではなくて、こういう不確定要素があることがレースにいっそうの面白さを与えているのだ。

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行儀良く並んだばんばたち。
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正装したスターターが赤い旗を振る。
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ゲートが開いて馬たちがいっせいに飛び出す!
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スタートダッシュの勢いにのっていっきに一つ目の山を駆け上がり
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そして駆け降りる!スピードがのってる!
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うおおおおおおお!

坂を駆け降りてくる馬に見惚れていたら、ここで予想していなかったことが起こった。

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走る人々。

走り出したのだ。人間が!

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つられて自分も走り出す。

人々は

「がんばってー!」

「行け!行け!」

などと口々に叫びながら馬と並走していた。

なんと自由で、爽快なのだろう。なにかと並走して叫んだことなど今までの人生でなかった気がする。軽くカルチャーショックを受けた。

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坂の途中でピタッと止まる馬たち。

二つ目の山に登る途中で、馬たちが電池が切れたみたいに突然立ち止まった。

過酷なばんえい競馬のレースではスタートからゴールまで全力疾走するのは難しいので、適当なタイミングで馬を休ませるのだそうである。

休憩が足りないと終盤でバテてしまうし、かといって止まっている時間が長過ぎても周りに遅れをとってしまう。そのへんのタイミングは馬がきめているのか騎手が決めているのかはわからないが、戦略的な行為なんである。

わかってはいても、止まった馬を見ていると「早く動いてー!」とじりじりさせられた。先のことなど考えないで、今は死ぬ気で足を動かして欲しいと思った。自分にはリーダーの資質はないなと思った。

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二つ目の山を越えるとあとはゴールまで平坦なコースが続く。
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全ての馬がゴールすると順位が発表される。あくまで「荷を引く速さ」を争う競技なので、馬の鼻先ではなくソリの後ろ端がゴールラインを通過した順番なのだそうだ。
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次のレースにそなえて、すかさず荒れた地面をならす。トラクターが出てくるところが牧歌的。
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一着になった⑤ワールドスカイに賭けていたので、よくわからないが数十円儲かった。

次のレースまで1時間くらいある。

そこで、ばんばを間近に見にいくことにした。馬たちと接することができる触れ合いコーナー的なものが併設されているのである。

⏩ 厩舎で馬たちと触れ合える

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